物理 関連用語解説 (索引)

 ここでは,物理を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 
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  サ行 し で始まる用語を  ( しあ ~ しす ) ,  ( しせ ~ しや ) ,  ( しゆ ) ,  ( しよ ~ )  に分けて紹介する。

 用語一覧  さ行  しゆ

重イオン線 】     【 自由エネルギー 】     【 周期 】     【 収差 】     【 重心 】     【 自由振動 】     【 集積回路 】     【 収束光線束 】     【 従属変数 】     【 自由端 】    

終端速度 】     【 集中抵抗 】     【 自由電子 】     【 自由度 】     【 周波数 】     【 自由表面波 】     【 自由変数 】     【 自由膨張 】     【 シューマン(人) 】     【 シューマン共鳴 】    

自由落下 】     【 重量 】     【 重量キログラム 】     【 重力波 】     【 重力 】     【 重力加速度 】     【 重力質量 】     【 重力波 】     【 重力ポテンシャル 】    

ジュール(人) 】     【 ジュール(単位) 】     【 ジュール熱 】     【 ジュールの第二法則 】     【 瞬時値 】     【 縮退半導体 】     【 シュテファン(人) 】     【 シュテファン=ボルツマンの法則 】    

主量子数 】     【 シュレーディンガー(人) 】     【 順圧 】     【 循環 】     【 瞬時音圧 】     【 瞬時電力 】     【 準静的 】     【 準静的過程 】     【 準静的断熱過程

 用語の概要と関連ページ


 【重イオン線】( heavy ion beam )
 ⇒ 放射線
 関連ページ : 電磁気学:電磁波の性質 ,  
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 【自由エネルギー】( free energy )
 ヘルムホルツが,静力学におけるポテンシャルエネルギーと同様な形で導入した熱力学における状態量。
 静力学における位置エネルギー(ポテンシャルエネルギー)と同様な形で,熱力学における状態量で,等温等積過程の記号 F で表されるヘルムホルツの自由エネルギー(Helmholtz free energy),等温等圧過程の記号 G で表されるギブズの自由エネルギー(Gibbs free energy)に大別される。
 なお,ヘルムホルツ自由エネルギー F とギブズ自由エネルギー G との間には,その定義により,系の体積変化がする仕事 pV だけ異なる。
   G = F + pV
の関係にある。
 関連ページ : 物理学のあゆみ ,  古典力学の基礎:仕事とエネルギー ,  熱力学:熱力学とは ,  熱力学:断熱変化・等温変化 ,  
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 【周期】( period )
 ある現象の各状態が一定の間隔で繰返し現れるとき,その間隔の最小値(振動数 f の逆数)で,一般的には,記号 T ,単位 s(秒)が用いられる。
 関連ページ : 波:波・波動とは ,  波:波動の基礎 ,  
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 【収差】( aberration )
 JIS Z 8120 (光学用語)の定義では,
 光学系によって結像する場合,像の理想像からの幾何光学的なずれ。球面収差,コマ収差,非点収差,像面の湾曲,ディストーション,色収差などがある。
 関連ページ : 波:光学とは ,  
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 【重心】( center of gravity )
 質量中心ともいわれ,重力場でその点を支点にしたとき,どの方向で支えてもうまく釣り合うような点。
 関連ページ : 古典力学の基礎:円運動・剛体の運動 ,  
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 【自由振動】( free vibration )
 振動系に復元力だけが働くときの振動。
 関連ページ : 波:波・波動とは ,  
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 【集積回路】( integrated circuit )
 略語 IC で表され,JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“数多くの超小形素子が一つの基板上に一体的に作り込まれている回路。”と定義している。
 一般的には,ケイ素などの半導体でできた基板上に素子と配線を形成した電子回路をいう。
 関連ページ : 電気回路:直流電気回路の基礎 ,  
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 【収束光線束】( convergent pencil of rays )
 JIS Z 8120 (光学用語)の定義では,
 一点に向かって収束する光線束。
 関連ページ : 波:光学とは ,  
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 【従属変数】( dependent variable )
 独立変数の変化に応じて変わる数,すなわち予測の対象となる変数をいう。
 束縛変数(bound variable)ともいわれる。回帰分析では応答変数(response variable , responding variable)や目的変数(target variable)といわれる。
 関連ページ : 流体:流体動力学の基礎 ,  熱力学:熱力学とは ,  熱力学:熱力学第一法則 ,  
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 【自由端】( fee end )
 ⇒ 位相の変化
 関連ページ : 波:波動の基礎 ,  波:物理光学とは ,  
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 【終端速度】( terminal velocity )
 重力場において,浮力や抗力などの粒子に作用する上向きの力と下向きの重力とが釣り合ったときの速度である。浮力は粒子の速度に依存しないが,前述のように,抗力は粒子と流体の相対速度に依存するため,落下速度の増加と共に抗力が増加する。
 関連ページ : 流体:流体の抵抗 ,  
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 【集中抵抗】( constriction resistance )
 小さな接触面を電流が流れるときに,電流通路が狭い部分に制限されることによって生じる抵抗。
 ⇒ 電気抵抗
 関連ページ : 電気回路:電気回路の基礎 ,  
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 【自由電子】( free electron )
 自由電子とは,束縛を受けていない電子をいう。即ち,特定の原子核の近傍に留まらず結晶全体に非局在化している電子である。
 自由電子の存在が,電気や熱の高い伝導性の要因の一つとなっている。このため,自由電子は伝導電子とも呼ばれる。
 関連ページ : 電磁気学:電荷と帯電 ,  電気回路:電気回路の基礎 ,  
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 【自由度】( degree of freedom )
 一般には,変数のうち独立に選べるものの数をいう。物理的には,ある運動状態や平衡状態を表すのに必要な任意に独立に変化させることができるものの数をいう。
 分子種の自由度と比熱比
 気体分子の自由度の観点からは,He , Ar などの単原子分子,N2 , O2 などの 2 原子分子,CO2 , NH3 , CH4 などの多原子分子に分けられる。
 単原子分子:自由度 f = 3 (並進),γ≒ 5/ 3(1.67)
 2 原子分子:自由度 f = 4(並進 3 +回転2 ),γ≒ 7/ 5(1.40)
 多原子分子: f= 6(並進 3 +回転 3 ),γ≒ 4/ 3(1.33)
 関連ページ : 熱力学:熱膨張,比熱容量 ,  熱力学:断熱変化・等温変化 ,  
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 【周波数】( frequency )
 周期的なパターンが1秒間に繰り返される回数で,記号 f ,単位ヘルツ (Hz) で表される。周波数の逆数は,周期 T(= f–1 )という。
 JIS Z 8120 (光学用語),JIS Z 8105(色に関する用語)では,“時間当たりの光の振動数。 周波数に 2 π(パイ)を乗じたものを角周波数という。 ”と定義されている。
 関連ページ : 古典力学の基礎:エネルギー保存の法則 ,  波:波動の基礎 ,  波:光学とは ,  電磁気学:電位と電流 ,  
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 【自由表面波】( free surface wave )
 水深一定の水平な底の上にある水の表面の波。
 関連ページ : 波:重力波(表面波) ,  
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 【自由変数】( free variable )
 ⇒ 独立変数
 関連ページ : 流体:流体動力学の基礎 ,  熱力学:熱力学とは ,  熱力学:熱力学第一法則 ,  
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 【自由膨張】( free expansion )
 物体が外部に対して仕事をせずに膨張することをいう。例えば,真空中に気体を拡散させた場合などは,外部からの圧力がなく,仕事をしたことにならないため自由膨張とみなされる。
 関連ページ : 熱力学:熱力学第二法則 ,  
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 【シューマン】( Winfried Otto Schumann )
 ヴィンフリート・オットー・シューマン(1888年 ~ 1974年)は,ドイツの物理学者で,シューマン共振の発見者として知られる。
 関連ページ : 電磁気学:電磁波の性質 ,  
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 【シューマン共鳴】( Schumann resonance )
 ドイツの物理学者シューマンが予測したもので,波長が地球一周の距離の整数分の一に一致する電磁波 ELF などが地表と電離層との間の空間を伝搬する際に,特定の周波数で共振する現象をいう。その周波数は電磁波の伝播速度を地球の円周で割った値の整数倍,すなわち 7.83 Hz(一次),14.1 Hz(二次),20.3 Hz(三次)と多数存在する。
 雷が ELF の発生源と考えられ,地表上では太古から常にシューマン共振が存在していたと考えられるため,生物への影響を憶測する記事も少なくない。しかし,これらの多くは科学的根拠に欠けていものが多い。
 関連ページ : 電磁気学:電磁波の性質 ,  
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 【自由落下】( flee fall )
 ⇒ 放物運動
 関連ページ : 力と運動:等加速度運動 ,  古典力学の基礎:運動エネルギー・位置エネルギー ,  
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 【重量】( weight )
 ⇒ 重さ
 関連ページ : 力と運動:はじめに ,  
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 【重量キログラム】( kilogram-force )
 1948 年に国際単位系( SI 単位)として N (ニュートン)が採用されるまで用いられていた力の単位である。
 重量キログラムは,加速度に重力加速度 g (9.80619920 ms‐2 ≒ 9.8 N/kg)を用いているため,地上では感覚的に受け入れやすく,バネばかりなどによる重さ測定などの実用面でも受け入れやすい。このため,現在でもしばしば利用されている単位である。
 関連ページ : 力と運動:力の基本 ,  
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 【重力波】( gravity wave )
 日本語の重力波には,表面波,水面波とも呼ばれる流体の表面の上下動の復元力として重力が作用する重力波(gravity wave)の他に,重力場の変化によって生じ光速で伝わる波動としての重力波(gravitational wave)がある。
 関連ページ : 波:波・波動とは ,  
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 【重力】( gravity )
 ⇒ 万有引力の法則,保存力
 関連ページ : 力と運動:力の基本 ,  古典力学の基礎:運動エネルギー・位置エネルギー ,  
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 【重力加速度】( gravitational acceleration )
 重力(gravity)で生じる加速度をいう。重力のみが作用する物体の運動は,等価原理により物体の質量によらない。なお,重力という場合は,一般的に,地球上の物体に作用する地球の万有引力を意味する。
 関連ページ : 力と運動:はじめに ,  流体:ベルヌーイの定理 ,  
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 【重力質量】( gravitational mass )
 重力(gravity)を起こす質量で,重力 FG は,地球上では,観測した場所での重力加速度 g (9.80619920 ms‐2 ≒ 9.8 N/kg)に比例し,その比例係数 mG が重力質量となる。 ⇒ 質量,万有引力の法則
 関連ページ : 力と運動:はじめに ,  力と運動:運動の法則 ,  
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 【重力波】( gravitational wave )
 一般相対性理論における変動する重力場が光と同じ速さで波として伝わる現象。
 関連ページ : 波:波動の基礎 ,  波:重力波(表面波) ,  
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 【重力ポテンシャル】( gravitational potential )
 重力による質量あたりの位置エネルギー。⇒ 位置エネルギー
 関連ページ : 古典力学の基礎:仕事とエネルギー ,  
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 【ジュール】( James Prescott Joule )
 ジェームズ・プレスコット・ジュール(1818 年~1889 年)は,イギリスの物理学者。ジュールの法則の発見,熱の仕事当量,マイヤー,ヘルムホルツと共にエネルギー保存則(熱力学第一法則)の発見者,など熱力学の発展に寄与し,単位ジュール( J )として名をとどめる。
 関連ページ : 物理学のあゆみ ,  古典力学の基礎:仕事とエネルギー ,  古典力学の基礎:エネルギー保存の法則 ,  熱力学:熱力学とは ,  熱力学:気体の基礎 ,  電気回路:電気回路の基礎 ,  
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 【ジュール】( joule )
 仕事の単位で,1 ニュートン( N )の力がその力の方向に物体を1メートル( m )動かすときの仕事。記号 J ,1 J = 1 N・m
 関連ページ : 古典力学の基礎:仕事とエネルギー ,  熱力学:熱力学とは ,  
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 【ジュール熱】( Joule heat )
 抵抗を有する導体に電流を流したときに生じる熱で,イギリスの物理学者ジュールが実験で発見した物理法則(ジュールの法則:Joule's laws)である。
 電気抵抗 R(Ω)の導体に定常電流 I(A)を t 秒間流したときのジュール熱の発生量 Q(J)は, Q = R I2 t で与えられる。
 この式にオームの法則を用いることで,Q = R I2 t = V I t = V2 R–1 t と変形できる。
 関連ページ : 電気回路:電気回路の基礎 ,  
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 【ジュールの第二法則】( )
 理想気体の内部エネルギーはその圧力や体積には依存せず,温度にのみ依存。
 関連ページ : 熱力学:気体の基礎 ,  
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 【瞬時値】( instantaneous value )
 時間とともに変化するコイルに生じる起電力のある時間における起電力をいう。
 関連ページ : 電磁気学:電位と電流 ,  
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 【縮退半導体】( degenerate semiconductor )
 JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“不純物半導体でドナーやアクセプタ密度が大きいためにフェルミ準位がエネルギーギャップ中のバンド端に近いところか又はバンドの中に位置し,キャリヤ密度の表式のためにボルツマン統計の近似を用いることができず,フェルミ統計を用いる必要のある半導体。”と定義されている。
 関連ページ : 電気回路:電気回路の基礎 ,  
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 【シュテファン】( Joseph Stefan )
 ヨーゼフ・シュテファン(1835年 ~ 1893年)は,オーストリアの物理学者,数学者で,シュテファン=ボルツマンの法則で知られるボルツマンの師である。
 関連ページ : 熱力学:相転位,熱の移動 ,  
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 【シュテファン=ボルツマンの法則】( Stefan-Boltzmann's law )
 シュテファンが黒体から熱放射される電磁波のエネルギー( I )と熱力学(的)温度( T )の関係( I = σ T4 )を実験的に明らかにし,その後に弟子のボルツマンが理論的に解明したため,この関係をシュテファン=ボルツマンの法則という。
 なお,比例定数σはシュテファン=ボルツマン定数といわれる。
 関連ページ : 熱力学:相転位,熱の移動 ,  電気回路:電磁気学の基本法則 ,  
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 【主量子数】( main quantum number )
 ⇒ 量子数
 関連ページ : 電磁気学:電荷と帯電 ,  
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 【シュレーディンガー】( Erwin Rudolf Josef Alexander Schrödinger )
 エルヴィーン・ルードルフ・ヨーゼフ・アレクサンダー・シュレーディンガー(1887年~1961年)は,オーストリア出身の理論物理学者で,「波動力学」を提唱し,シュレーディンガー方程式,シュレーディンガーの猫などで知られる。
 シュレーディンガー方程式(Schrödinger equation)は,量子力学における基礎方程式で,その解は一般的に波動関数と呼ばれる。
 関連ページ : 電磁気学:電荷と帯電 ,  物理学のあゆみ ,  
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 【順圧】( barotropic )
 バルトロピックともいい,圧力が密度のみに依存(等圧面と等密度面が一致)することをいう。この性質の流体をバルトロピー流体という。
 関連ページ : 流体:流体動力学の基礎 ,  流体:ベルヌーイの定理 ,  
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 【循環】( circulation )
 循環とは,一様流に対して物体を置くと,物体を回る流れが誘発されるが,流体力学では,この流れの大きさ(渦の強さ)を示す量を循環(Γ:ガンマ)とよび,閉曲線上での流体の速度の線積分で与えられる。
 定性的に示すと,翼を傾けて置いた時,翼の循環 Γは流速Uに比例し,傾きの大きさが大きいほど大きくなる。
 関連ページ : 流体:流体の抵抗 ,  
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 【瞬時音圧】( instantaneous sound pressure )
 ⇒ 音圧
 関連ページ : 波:音波(弾性波) ,  
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 【瞬時電力】( instantaneous electric power )
 ⇒ 有効電力
 関連ページ : 電気回路:交流の基礎 ,  
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 【準静的】( quasistatic process )
 物質系の変化が熱力学的平衡に十分近い状態を保ちながら起こること。
 関連ページ : 熱力学:熱膨張,比熱容量 ,  
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 【準静的過程】( quasistatic process )
 系がある状態から別の状態へ移る場合に,途中のどの状態も熱力学的平衡の状態から極めてわずかしかずれないようにして,ゆっくり変化する過程をいう。
 準静的過程は,理論的には無限の時間をかけて変化ことを想定した熱力学上の理想的な概念である。しかし,実用上では変化の速度が十分に遅ければ準静的過程とみなされる。一般的には,変化に要する時間が緩和時間(外的条件の変化で,系が新しい状態に移行するまでの時間)より長い場合に準静的過程とみなされる。
 関連ページ : 熱力学:断熱変化・等温変化 ,  
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 【準静的断熱過程】( quasistatic adiabatic process )
 等エントロピー過程ともいい,外部と仕事のやりとりのみが存在する可逆の過程で,カルノーサイクルが代表的な準静的断熱過程である。
 関連ページ : 熱力学:断熱変化・等温変化 ,  熱力学:熱力学第二法則 ,  
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