物理 関連用語解説 (索引)

 ここでは,物理を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
 
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音色 】     【 ねじり応力 】     【 ねじりモーメント 】     【 ねじれ波 】     【 】     【 熱移動 】     【 熱運動 】     【 熱エネルギー 】     【 熱含量 】     【 熱機関 】     【 熱圏 】    

熱振動 】     【 熱伝達 】     【 熱伝達率 】     【 熱伝導 】     【 熱伝導体 】     【 熱の仕事当量 】     【 熱輻射 】     【 熱平衡 】     【 熱放射 】     【 熱膨張 】     【 熱対流 】    

熱力学 】     【 熱力学関数 】     【 熱力学第一法則 】     【 熱力学第三法則 】     【 熱力学第ゼロ法則 】     【 熱力学第二法則 】     【 熱力学的温度 】     【 熱力学的平衡 】     【 熱力学ポテンシャル 】    

熱量 】     【 熱容量 】     【 ネルンスト(人) 】     【 ネルンストの定理 】     【 粘性 】     【 粘性係数 】     【 粘性抵抗 】     【 粘性摩擦力 】     【 粘性率 】     【 粘性流体 】     【 粘性力 】     【 粘度

 用語の概要と関連ページ


 【音色】( tinbre )
 (読み:ねいろ,おんしょく)JIS Z 8106「音響用語」では,“聴覚に関する音の属性の一つで,物理的に異なる二つの音が,たとえ同じ音の大きさ及び高さであっても異なった感じに聞こえるとき,その相違に対応する属性。備考:音色は,主として音の波形に依存するが,音圧,音の時間変化にも関係する。”と定義している。
 関連ページ : 波:音波(弾性波) ,  
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 【ねじり応力】( torsional stress )
 ねじり作用の結果生ずる,横断面にかかるせん断応力( JIS K 6900 )。
 関連ページ : 力と運動:主な力の概要 ,  
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 【ねじりモーメント】( )
 ⇒ トルク
 関連ページ : 古典力学の基礎:円運動・剛体の運動 ,  
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 【ねじれ波】( shear wave )
 横波,たわみ波,剪断波などとも呼ばれ,地震の S 波など弾性体の伝播方向と垂直な方向に振動(ねじれの状態を伝える)する波をいう。
 関連ページ : 波:音波(弾性波) ,  
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 【熱】( heat )
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  
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 【熱移動】( heat transfer )
 ⇒ 伝熱
 関連ページ : 熱力学:相転位,熱の移動 ,  
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 【熱運動】( thermal motion )
 微小な粒子のブラウン運動の原因となるランダムな運動をいう。
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  熱力学:相転位,熱の移動 ,  
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 【熱エネルギー】( thermal energy )
 ある温度での物質の内部エネルギーから絶対零度における内部エネルギーを差し引いたもの。
 熱機関と熱浴との温度の差を利用して取り出されるエネルギー。
 関連ページ : 古典力学の基礎:仕事とエネルギー ,  
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 【熱含量】( heat content )
 ⇒ エンタルピー
 関連ページ : 熱力学:熱膨張,比熱容量 ,  
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 【熱機関】( heat engine )
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  
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 【熱圏】( thermosphere )
 高層大気を温度の鉛直変化によって分類した場合の大気圏の一つで,中間圏の上( 80 ~ 500 km )に広がる層で,温度圏ともいう。
 高度とともに温度が急激に上昇し,高度 500 km で約 700℃になる。熱圏では,太陽からの紫外線によって窒素や酸素が解離して原子状になる。
 関連ページ : 電磁気学:電磁波の性質 ,  
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 【熱振動】( thermal vibration )
 分子や固体中の原子の基準となる位置を中心とした振動をいう。結晶格子上の原子の熱振動は格子振動(lattice vibration)という。
 なお,熱運動とは定義が異なる。
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  
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 【熱伝達】( heat transfer )
 熱伝導,熱対流,熱放射が,それぞれの現象が単独で作用する場合はまれで,液体と固体の接触など,実用面の熱の授受は,熱伝導と熱対流が関連した複雑な現象である。この現象を扱う場合は,熱伝達(heat transfer)という。
 関連ページ : 熱力学:相転位,熱の移動 ,  
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 【熱伝達率】( heat transfer coefficient )
 熱伝達率は,対流熱伝達,沸騰熱伝達,凝縮熱伝達などの流体と物体間の熱移動を扱うための係数で,単位面積,単位時間,単位温度差あたりの伝熱量である。
 関連ページ : 熱力学:相転位,熱の移動 ,  
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 【熱伝導】( heat conduction )
 伝熱過程の 1 種で,物質の移動を伴わず,物質間の接触個所を通して,高温側から低温側へ温度勾配を駆動力として熱が移動する現象を熱伝導という。伝熱への熱伝導の寄与は,気体や液体では小さく,固体で大きい。
⇒ 伝熱,熱伝達
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  熱力学:相転位,熱の移動 ,  熱力学:熱力学第二法則 ,  熱力学:熱力学第二法則 ,  
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 【熱伝導体】( thermal conductor )
 ⇒ 導体
 関連ページ : 電気回路:電気回路の基礎 ,  
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 【熱の仕事当量】( mechanical equivalent of heat )
 熱の単位( cal :カロリー)を仕事の単位( J :ジュール)に変えるための修正係数(W/ Q: 1 cal = 4.18605 J )をいう。
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  古典力学の基礎:仕事とエネルギー ,  
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 【熱輻射】( temperature radiation ,thermal radiation )
 ⇒ 熱放射
 関連ページ : 熱力学:相転位,熱の移動 ,  
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 【熱平衡】( thermal equilibrium )
 熱の交換が可能な物体系(例えば二つの物体を熱を通す壁を隔てて接触させた系)で,物体間の熱移動がなく相変化もない時に,両物体は熱平衡の状態にあるという。なお,熱平衡にある各物体の温度は等しい。⇒ 熱力学第ゼロ法則
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  熱力学:熱力学第一法則 ,  
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 【熱放射】( themal radiation )
 JIS Z 8120 (光学用語)では,“物質の粒子(原子,分子,イオンなど)の熱じょう乱の結果生じる放射。”と定義される。
 すなわち,熱が電磁波として運ばれる現象,物体が熱を電磁波として放出する現象をいい,熱輻射(temperature radiation ,thermal radiation),単に輻射(radiation)ともいう。
⇒ 伝熱,熱伝達
 関連ページ : 波:光学とは ,  熱力学:相転位,熱の移動 ,  
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 【熱膨張】( thermal expansion )
 JIS K6900(プラスチック用語)では,“温度の変化による試験片の寸法又は体積の変化。”と定義されている。
 関連ページ : 熱力学:熱膨張,比熱容量 ,  
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 【熱対流】( heat convection )
 流体(気体や液体)の巨視的な流れに伴い,流体の熱エネルギーや溶存物質などが運ばれる現象を対流(convection)や移流(advection)ともいう。熱の流れに注目した場合は,熱対流や対流伝熱という。
 外力を与えて起こした対流を強制対流,流体内部の温度差,密度差,重力,表面張力などの自然の作用により自発的に起きる対流を自然対流と呼んで区別することもある。
⇒ 伝熱,熱伝達
 関連ページ : 熱力学:相転位,熱の移動 ,  
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 【熱力学】( thermodynamics )
 熱力学とは,熱的な現象を,物質の微視的な構造ではなく,巨視的な立場から扱う古典物理学の一部門で,熱平衡の概念,基本法則(熱力学第一法則,第二法則,第三法則)に基づく理論体系である。熱や物質の輸送現象やそれに伴う力学的な仕事について,エネルギー,温度,エントロピー,圧力,体積,物質量(分子数),化学ポテンシャルなどの巨視的な物理量を用いて記述する学問で,平衡系の熱力学(equilibrium thermodynamics)と非平衡系の熱力学(non-equilibrium thermodynamics)とに大別される。
 熱力学の中で,分子論的立場から論じる別の取扱いは,統計熱力学(statistical thermodynamics)といわれる。
 関連ページ : 物理(目次) ,  物理学のあゆみ ,  物理学の主な分類 ,  熱力学:熱力学とは ,  
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 【熱力学関数】( thermodynamic function )
 ⇒ 状態量,状態関数
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  熱力学:熱力学第一法則 ,  熱力学:熱力学第一法則 ,  
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 【熱力学第一法則】( the first law of thermodynamics )
 「孤立系のエネルギーの総量は変化しない。」という熱力学の基本法則の一つで,内部エネルギー(internal energy)という概念を導入したエネルギー保存の法則( the law of the conservation of energy )である。
 関連ページ : 物理学のあゆみ ,  物理学の主な分類 ,  古典力学の基礎:エネルギー保存の法則 ,  熱力学:熱力学とは ,  熱力学:熱膨張,比熱容量 ,  熱力学:熱力学第一法則 ,  熱力学:断熱変化・等温変化 ,  
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 【熱力学第三法則】( the third law of thermodynamics )
 「完全結晶のエントロピーは絶対零度ではすべて等しくなる。」という熱力学の基本法則の一つで,エントロピーの基準値を決めることができることを意味する。
 熱力学第三法則はネルンストの定理(熱定理)「有限回の操作では決して,絶対零度には到達することができない。」と同等といわれている。
 関連ページ : 物理学の主な分類 ,  熱力学:熱力学とは ,  
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 【熱力学第ゼロ法則】( the zeroth law of thermodynamics )
 温度,熱などが定義される熱平衡状態の存在の仮定である。すなわち,系 A と B が熱平衡,系 B と C が熱平衡の時,系 A と C も熱平衡にあると仮定できる。
 第一法則~第三法則までの熱力学体系が出来上がった後に,マクスウェルが基本法則の一つとして数えたため,「第ゼロ法則」と呼ばれた。
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  
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 【熱力学第二法則】( the second law of thermodynamics )
 エントロピー増大の法則(law of entropy increase)ともいわれ,エネルギーの移動の方向とエネルギーの質に関する経験則で,様々に表現される。
 代表的なものには,断熱系において不可逆変化が生じた場合,その系のエントロピーは増大するエントロピー増大則,低温の熱源から高温の熱源に正の熱を移す際に,他に何の変化もおこさないようにすることはできないというクラウジウスの法則がある。他に,トムソンの法則,ケルビンの法則,クラウジウスの不等式などの表現がある。
 熱力学におけるエントロピー(entropy)は,系の微視的な「乱雑さ」を表す指標として,伝統的にはクラウジウスの不等式(Σ( Qi / Ti ) ≦ 0 )を用いて定義している。エントロピーの次元は,エネルギーを温度で割った次元(単位:ジュール毎ケルビン)をもつ。
 関連ページ : 物理学のあゆみ ,  物理学の主な分類 ,  熱力学:熱力学とは ,  熱力学:熱力学第一法則 ,  熱力学:熱力学第二法則 ,  
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 【熱力学的温度】( thermodynamic temperature )
 絶対温度ともいい,物質によらず熱力学の法則で定義される温度である。国際単位系 (SI) における単位はケルビン(記号: K)が用いられる。
 関連ページ : 物理学のあゆみ ,  流体:流体とは ,  熱力学:熱力学とは ,  熱力学:気体の基礎 ,  
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 【熱力学的平衡】( thermodynamic equilibrium )
 熱力学的系が熱的,力学的,化学的に平衡,すなわち,巨視的状態量が一定の値を保つ,変化しない状態をいう。⇒ 熱平衡,力学的平衡,化学平衡
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  熱力学:熱膨張,比熱容量 ,  熱力学:熱力学第一法則 ,  
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 【熱力学ポテンシャル】( thermodynamic potentia )
 熱力学ポテンシャルは,系(system)の熱力学的性質の情報を全て持つように作られた熱力学関数(状態関数)なので,完全な熱力学関数とも呼ばれる。
 ⇒ 状態関数
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  熱力学:熱力学第一法則 ,  
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 【熱量】( quantity of heat )
 高温物体から低温物体へ移動する熱,化学反応で発生,吸収される熱などの大きさをいう。
 関連ページ : 古典力学の基礎:仕事とエネルギー ,  熱力学:熱力学とは ,  
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 【熱容量】( heat capacity )
 限定された範囲であるが,熱を保存されるもののように考えることで,自然現象の説明を容易にするために導入された概念である。
 熱容量は,系に対して熱の出入りがあったとき,系の温度がどの程度変化するかを表す系固有の状態量で,記号 C ,単位 J・K‐1 (ジュール毎ケルビン)が用いられる。
 具体的には,物体の温度を 1 K 高めるのに要する熱量で,固体や液体では物質によってほぼ一定だが,気体では加熱時の体積と圧力の変化の仕方によって大きく変わる。
 関連ページ : 熱力学:熱膨張,比熱容量 ,  
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 【ネルンスト】( Walther Hermann Nernst )
 ヴァルター・ヘルマン・ネルンスト(1864年 ~ 1941年)は,ドイツの化学者,物理化学者で,ネルンストの式,熱力学第三法則の発見で知られ,その後の電気化学の発展に大きく寄与した。
 関連ページ : 電磁気学:電位と電流 ,  
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 【ネルンストの定理】( Nernst's theorem ,Nernst's postulate )
 ⇒ 熱力学第三法則
 関連ページ : 熱力学:熱力学とは ,  
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 【粘性】( viscosity )
 流れの速さの違いをならして一様にしようとする流体の性質をいう。
 流体内部に速度勾配があるとき,速度を一様にするような向きの接線応力(内部摩擦)が現れる。この力を粘性力といい,粘性を示す流体を粘性流体という。
 粘性力が速度勾配に比例するとき,この流体をニュートン流体という。ニュートン流体の単位面積あたりの粘性力と速度勾配との比を粘性率や粘性係数という。
 関連ページ : 流体:流体の運動 ,  流体:流体の抵抗 ,  
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 【粘性係数】( coefficient of viscosity )
 粘性率,粘度ともいわれる流体の粘性の大きさを表わす定数。粘性流体の変形の応力と変形速度の比で表される。⇒ 粘性
 関連ページ : 流体:流体の運動 ,  流体:流体の抵抗 ,  
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 【粘性抵抗】( viscous drag )
 摩擦抵抗ともいわれ,進行方向と平行の表面に働く空気の粘性力の合力から成る抵抗で,概ね速度に比例する。
 圧力抵抗と摩擦抵抗は,物体の形状に依存するのでまとめて形状抵抗(form drag)ともいわれ,一般的には速度のほぼ2乗に比例する例が多い。
 関連ページ : 力と運動:等加速度運動 ,  流体:流体の抵抗 ,  
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 【粘性摩擦力】( viscosity friction force )
 摩擦抵抗ともいい,固体と流体の接触の場合で流体の粘性に起因して生じる力をいう。
 粘性摩擦力は,固体同士の動摩擦力とは異なり,相対速度に比例した力である。
 関連ページ : 力と運動:等加速度運動 ,  
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 【粘性率】( coefficient of viscosity )
 ⇒ 粘性係数
 関連ページ : 流体:流体の運動 ,  
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 【粘性流体】( viscous fluid )
 運動した際に接線応力が発生する流体。実用の流体は粘性を持つため,粘性流体に分類される。
⇒ 粘性
 関連ページ : 流体:流体とは ,  流体:流体動力学の基礎 ,  流体:流体の運動 ,  流体:流体の抵抗 ,  
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 【粘性力】( viscous force )
 ⇒ 接線応力
 関連ページ : 流体:流体の運動 ,  流体:流体の抵抗 ,  
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 【粘度】( viscosity )
 ⇒ 粘性係数
 関連ページ : 流体:流体の運動 ,  
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