物理 第六部:電磁気学

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 ここでは,電気回路を理解するための基本に関し, 【導体・抵抗とは】【電気伝導】【誘電分極】【誘電体】【抵抗材料】【コンデンサ】【半導体】 に項目を分けて紹介する。

【導体・抵抗とは】

 導体(conductor)
 伝導体(conductor)ともいい,電気を通す物質(電導体,電気伝導体,電子伝導体),イオンを通す物質(電解質,イオン伝導体),を伝え易い物質(熱伝導体)などを意味する。
 JIS C 5600「電子技術基本用語;Glossary of basic terms used in electrotechnology 」では,導体を“導電率(電気伝導率)又は熱伝導率の大きい物質。金属は自由電子又は正孔密度が高く,導電率,熱伝導率ともに大きい物質である。伝導体,良導体ともいう。”と定義している。
 
 抵抗(drag ,resistance)
 素直に受け入れがたい気持ち,外部からの力に対し逆らう(政治的,物理的)ことを意味する。 政治的には権力への抵抗,抵抗勢力などが挙げられる。物理的な抵抗には,力学的な抗力(空気抵抗;aerodynamic drag ,摩擦抵抗;friction drag など),電磁気学的電気抵抗(electrical resistance)などがある。
 JIS C 5600「電子技術基本用語」では,抵抗を“物体の電流の流れ難さを表す量で,コンダクタンスの逆数。単位(Ω= 1/ S )”と定義している。
 
 電気抵抗は,電流の流れ難さを表し,SI 組立単位オーム(記号:Ω)を用いる。
 電気抵抗の逆数は電流の流れやすさを表しコンダクタンス(conductance)と呼ばれ,SI 組立単位ジーメンス(記号: S )を用いる。
 すなわち,電気抵抗は,物質の内部,又は表面での荷電粒子の移動し易さを評価できれば求めることができる。電子やイオンなどの移動のし易さの尺度として,単位電界を印加したときに流れる電流密度を表す電気伝導率が用いられる。
 
 電気抵抗の分類
 電気回路を構成する場合に,一般的な物体の電気抵抗(体積抵抗: volume resistance )の他に,形状や接続状態により次の分類がある。
 JIS C 5600「電子技術基本用語」には次の抵抗が定義されている。
 シート抵抗(sheet resistance)
 厚さの薄いシート状の物体の面に平行な方向の電流の流れ難さを表す量で,正方形のシートの相対する辺の間の抵抗。単位は Ω であるが,電気抵抗と区別するために Ω/ と書くこともある。
 なお,材料学の分野では表面抵抗や面抵抗ともいわれる。
 広がり抵抗(spreading resistance)
 径の小さな金属線を試料面に接触させたときの抵抗。金属細線から試料への電流通路の広がりの形状が広がり抵抗に関係し,接触部の金属線の径,接触形状及び試料の抵抗率で決まる。
 集中抵抗(constriction resistance)
 小さな接触面を電流が流れるときに,電流通路が狭い部分に制限されることによって生じる抵抗。
 接触抵抗(contact resistance)
 二つの物体を接触させたときに,物体間に生じる抵抗。物体の材料特性のほか,接触形状,接触面積及び界面介在物に依存する。
 
 電気抵抗率(electrical resistivity)
 抵抗率(resistivity)比抵抗(specific electrical resistance)ともいわれ,物質・材料の電気の通しやすさを比較する時に用いられる材料固有の物性値で,後述の電気伝導率の逆数である。材料学の分野では,体積抵抗率(volume resistivity),体積固有抵抗という場合もある。
 物質の電気抵抗 R は,物質の電気抵抗率ρ,物質の長さ L ,断面積 Aのとき,
       
で表される。単位は,Ω・m が用いられる。
 なお,電気抵抗率は,温度,材料に含まれる不純物,塑性ひずみの有無などにより変わるので,材料設計も容易で,ひずみや応力のセンサにも利用される。
 主な金属単体の室温付近での電気抵抗率を挙げると,銀(15.9 nΩm),銅(16.8 nΩm),金(24.4 nΩm),アルミニウム(28.2 nΩm),鉄(100 nΩm),鉛(208 nΩm),チタン(427 nΩm),水銀(962 nΩm)である。
 
 【参考】
 電気抵抗用材料の日本工業規格(JIS)
 JIS C 2521「電気抵抗用銅ニッケル線,帯,条及び板,Copper-nickel alloy wires, rolled wires , ribbons and sheets for electrical resistance 」
 成分規定:Ni 42.0 ~ 48.0%,Mn 0.5 ~ 2.5%,Cu+Ni+Mn 99.0% 以上,体積抵抗率:基準値 0.490μΩm ,許容差 ±0.030μΩm が規定されている。
 JIS C 2522「電気抵抗用銅マンガン線,棒及び板,Copper-manganese alloy wires, bars and sheets for electrical resistance 」
 成分規定:Ni 1.0 ~ 4.0%,Mn 10.0 ~ 13.0%,Cu+Ni+Mn 98.0% 以上,体積抵抗率:基準値 0.440μΩm ,許容差 ±0.030μΩm が規定されている。
 JIS C 2523「電気抵抗用銅ニッケル酸化皮膜線,Oxidized Copper−Nickel Alloy Wires for Electrical Resistance Use 」は,JIS C 2521に規定する電気抵抗用銅ニッケル線に酸化皮膜処理を施した抵抗線の品質に関して規定する
 
 電熱用抵抗材料の日本工業規格(JIS)
 JIS C 2520「電熱用合金線及び帯,Wires and rolled wires for electrical heating 」
 ニッケル(Ni)及びクロム(Cr),又は鉄(Fe),クロム(Cr)及びアルミニウム(Al)を主成分とし,発熱体に用いる電熱用合金の線及び帯を規定している。
 ニッケル-クロム合金の電熱用ニッケルクロム線(帯) 1 種,2 種,3 種,鉄‐クロム‐アルミニウム合金の電熱用鉄クロム線(帯) 1 種,2 種の品質が規定されている。

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 【電気伝導】

 電気伝導(electrical conduction)
 JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“物質に外部電界を印加することによって,電荷が移動して電流が流れる現象。 電荷を運ぶキャリヤの種類に応じて,電子伝導,正孔伝導又はイオン伝導という。”と定義されている。
 イオン伝導(ionic conduction )とは,“イオンの空間的移動によって生じる電気伝導。イオン結晶など電子密度,正孔密度の非常に小さい固体中,電解質溶液中,イオン化した気体中において流れる電流の主要伝導機構。”と定義している。
 
 物質の電気的性質は,物質中の荷電粒子の移動現象で説明されるが,物質が固体,液体,気体で異なる現象となる。
 固体の電気伝導
 原子やイオンの配置が固定され,動くことができない。このため,固体の電気伝導は,電子の移動(電子伝導),電子の抜けた正孔の移動(正孔伝導)による。
 金属の電気伝導性は,エネルギーバンドの形成で生じる自由電子の移動で説明される。
 半導体の電気伝導性は,軌道から価電子が抜け出て生じた自由電子と,価電子が抜けて生じた正孔の移動により説明される。
 
 液体の電気伝導
 溶融金属を除く液体では,電子が単独で存在できない。このため,電気伝導は電極表面での電子の授受で生じたイオン(陽イオン又は陰イオン)の移動で電流が流れる(イオン伝導)。 このような性質を持つ物質を電解質という。
 
 気体の電気伝導
 大気環境など通常の条件では気体に電気の伝導性はない。しかし,雷などに見られるように,高電圧の発生で気体分子の一部が陽イオンと電子プラズマに分かれて空中を移動することで電気が伝導される。
 
 電気伝導の理論
 古典的には,ドイツの物理学者パウル・ドルーデが提唱した電気伝導についてのモデル,すなわち気体分子運動論を固体中の電子に適用したドルーデモデル(Drude model)から始まった。ドルーデモデルから導かれる重要な関係式は,電子の運動方程式と電流密度と電場の関係式である。
 電流密度> j( A・m–2 )と電場 E( V・m–1 )との間の線形な関係式は,電子の電荷 q ,数密度 n ,質量 m ,緩和時間τ(陽イオンとの衝突の間の平均自由時間)とした時,
       
で与えられる。なお,この式からオームの法則を半定量的に説明することができる。
 
 電気伝導率(electrical conductivity)
 電気伝導度導電率(conductivity)ともいわれ,電気伝導のし易さを表す物性値である。
 なお,理学系では電気伝導率(electrical conductivity),電気伝導度,工学系では導電率(conductivity)を好んで用いる傾向がある。
 
 電気伝導率(導電率)は,電流密度 j ( A・m–2 ) ,電場 E ( V・m–1 ) ,電気伝導率(導電率)σとするとオームの法則が成り立つ範囲で,
       σ= j / E
となる。
 従って,電気伝導率(導電率)の単位は A・V–1・m–1 = Ω–1・m–1 = S・m–1 となる。
 
 【参考:基礎用語】

  • 正孔(positive hole)
     JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“半導体の価電子帯中の価電子が抜けて生じた孔(ホール)を仮想の正電荷 +e (電気素量)をもつ荷電粒子と考えたもの。
     備考 ホールの発生によって残りの価電子は運動が可能となり電荷を運ぶことができるようになる。その電流の表式は,ホールが +e の電荷をもち,これが電荷を運ぶと考えた場合と同じになる。”と定義している。
  • 半導体(semiconductor)
     JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“室温での導電率が金属と絶縁体との中間[およそ 105~10– 8 (S/m)]にある物質。およそ 2 ~ 3 (eV) 以下のバンドギャップをもち,絶対零度では自由電子(正孔)をもたないために絶縁体であるが,温度の上昇とともに自由電子(正孔)密度が増加し,室温では電気伝導をもつようになる。また,不純物のドーピングで N 形,P 形 の伝導の形の制御ができる。”と定義している。
  • パウル・ドルーデ(Paul Karl Ludwig Drude)
     パウル・カール・ルートヴィヒ・ドルーデ(1863年 ~ 1906年)は,ドイツの物理学者で,金属の電気伝導に関する経験則を自由電子モデルで説明するドルーデモデルを提唱したことで知られる。

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 【誘電分極】

 誘電分極(dielectric polarization)は,JIS C 5600「電子技術基本用語」で“電気的な分極で,電気分極ともいう。特に誘電体(絶縁体)の分極によって生じた単位体積当たりの双極子モーメント P を指すことが多く,電界を E ,電束密度を D とすると,次の式で表す。P = D –ε0 E ”と定義されている。
 なお,誘電分極に良く似た現象に,帯電した物体を導体に接近させと帯電した物体に近い側に逆の極性の電荷が引き寄せられる静電誘導(electrostatic induction)がある。
 
 誘電分極の度合いを示す双極子モーメント P (単位 C・m–2 )は,
 P = D –ε0E
と定義される。ここで,D は電束密度ε0 は真空の誘電率(8.854×10–12 A2·s2·N–1·m–2)である。すなわち,誘電分極は,電束密度の真空からのずれを表している。
 上式は,誘電体が均質な場合である。微視的に見ると,微小体積 ΔV の双極子モーメント Pi とした時,誘電体全体の誘電分極 P は,
       
で表される。
 
 分極( polarization )
 偏極ともいい,誘電体(又は磁性体)が電場(磁場)に置かれたとき,双極子モーメントが変化した状態や単位体積あたりの変化量をいう。
 電場に置かれた誘電体の場合を誘電分極や電気分極(electric polarization)といい,磁場に置かれた磁性体の場合を磁化(magnetization)という。
 
 誘電分極は,電荷が自由に動けない誘電体(絶縁体)に外部電場をかけたとき,その誘電体の微視的な電気双極子が整列することで引き起こされる双極子モーメント(dipole moment)である。この現象は,機構の違いにより,電子分極,イオン分極,配向分極,空間電荷分極などに分けられる。
 電子分極(electronic polarization)
 誘電体中の原子・分子を構成する電子分布の偏りで,プラスの電荷に偏った部分とマイナスの電荷に偏った部分に分かれることをいう。
 イオン分極(ionic polarization)
 イオン結晶に電場を与えることでプラスイオンとマイナスイオンの相対的な変位で双極子が発生する現象をいい,原子分極ともいわれる。
 配向分極(orientation polarization)
 極性を有する分子が誘電体の構成成分の時,ランダムな方向を向く分子が電場で配向し双極子を持つことをいう。なお,一般的には生じた双極子モーメントは,電子分極やイオン分極よりも大きい。
 空間電荷分極(space charge polarization)
 配向分極した状態を長時間維持した時に,極性を有する粒子が誘電体中を移動して発生する双極子をいう。
 
 変動する電場の中のでの分極
 誘電分散(dielectric dispersion)
 交流電流や電磁波のように外部電場が時間と共に変化する場合に,誘電体の誘電率が電場の周波数に依存することを誘電分散と呼ぶ。
 JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“誘電体にある周波数以上の交流電界を印加するとき,誘電体双極子の回転又は反転が電界の変化に追従できず,そのために誘電率の減少が生じる現象。”と定義している。
 
 小さい粒子(電子やイオン)に起因する電子分極やイオン分極は素早く移動できるので特定の周波数で誘電率が急変する共鳴型誘電分散を示す。一方,関与する粒子が比較的大きい配向分極や空間電荷分極では周波数の増加に追従できず分極の遅れが起きる緩和型誘導分散を示す。
 
 誘電緩和(dielectric relaxation)
 JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“誘電体中の電荷が中和して消失する現象。”と定義している。誘電体中に発生した電荷が中和して消失するまでの時間は,誘電緩和時間(dielectric relaxation time)という。
 一般的には,配向分極の関わる誘電体の変動電場による分子分極の遅れによって起こる誘電率の瞬間的な遅れのことを誘電緩和という。
 誘電緩和では,交流電場の周波数 f の増加に伴い,内部の電気双極子(electric dipole)が電場の変化に追随できなくなり,誘電率が低下し,同時に電気伝導度の増加,誘電 損失がピークを示す。
 低周波数側でみられる誘電率の最大値と高周波数側でみられる最小値との差を緩和強度という。
 また,誘電損失のピークトップを与える周波数から電気双極子の配向時間に相当する誘導緩和時間(relaxation time)τ(=1/ (2πfm) )が求められる。
 
 【参考:基礎用語】

  • 双極子モーメント(dipole moment)
     双極子モーメントは,微小な距離だけ離れた大きさの等しい1対の正負の電荷や磁極をさす双極子の強さを表わす量で,前者を電気双極子モーメント(electric dipole moment),後者を磁気双極子モーメント(magnetic dipole moment)というが,一般的には,前者を双極子モーメント,後者を磁気モーメント(magnetic moment)と称する例が多い。
     (電気)双極子モーメント P は,電荷の大きさδ,電荷の正と負の重心間の距離γとすると, P = δ ・ γ で与えられる。
  • 双極子(dipole)
     双極子には,電気双極子(electric dipole)と磁気双極子(magnetic dipole)がある。
     分子内に生じた電子の偏りを原因として発生する電荷のひずみである。すなわち,分子構造の中で,正の電荷の重心と負の電荷の重心が一致しない電荷の配置を電気双極子という。電荷を磁荷に置き換えた関係を磁気双極子という。

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 【誘電体】

 誘電体(dielectric substance)とは,静電場で分極するが,広いバンドギャップ(禁制帯)を有するため,自由電子を殆ど持たず直流電流が殆ど流れない絶縁体で,電媒質ともいわれる物質を指す。
 
 誘電体の電気的特性を表わす量は,分極率,誘電率である。誘電体のなかには外部電場なしに存在する自発分極を持つ強誘電体がある。
 
 誘電体は電子機器の絶縁材料,コンデンサの電極間挿入材料,半導体素子のゲート絶縁膜などに用いられている。高い誘電率を有する材料は,光ファイバー,レンズの光学コーティング,非線形光学素子などの光学材料に用いられる。
 
 分極率(polarizability)
 電場の中におかれた原子又は分子に誘起され,誘電分極の度合いを示す双極子モーメント p 電場の強さ E との比で,一般的には p =αE で定義されるαをいう。
 
 誘電率(permittivity , dielectric constant)
 電媒定数ともいい,誘電体の誘電分極が生じる程度を表す物質定数,すなわち,外部から電場を与えたとき,物質内の原子や分子の応答の程度を表す。
 電束密度 D 電場の強さ E との関係 D =εE を与えるε(電束密度と電場の強さとの比)を誘電率という。
 しかし,一般に誘電率といった場合は,誘電体の誘電率を真空の誘電率でわった比誘電率(relative permittivity)を指すことが多い。
 
 誘電体の分類と用途
 誘電体は,常誘電体,圧電体,焦電体,強誘電体の 4 種に分類される。なお,次に示すように,強誘電体は焦電体の部分集合で,焦電体は圧電体の部分集合の関係にある。
 常誘電体(paraelectric material)
 圧電体を除く誘電体で,外部電場によってのみ誘電分極する。一般的な誘電体は,電子機器の絶縁材料,コンデンサの電極間挿入材料,半導体素子のゲート絶縁膜などに用いられる。
 圧電体(piezoelectrics)
 外力を加えて応力変形を与えると分極する誘電体で,逆に外部電場で誘電分極を生じさせると,物質に外部電場に比例した機械的変形を生じる。この現象を圧電効果(piezoelectric effect)やピエゾ効果という。イヤホン,マイクロホン,振動センサ,発振子などに利用されている。
 焦電体(pyroelectrics)
 圧電体の一種で,焦電効果を示す誘電体をいう。焦電効果(pyroelectric effect)とは,温度変化によって分極(表面電荷)が変化する現象で,赤外線の検出素子などで利用される。
 強誘電体(ferroelectrics)
 焦電体の一種で,外部に電場がなくても電気双極子が整列(自発分極;spontaneous polarization)している。さらに,外部電場で双極子の方向が変化できる物質を指す。圧電効果を利用した点火装置,アクチュエータなど,焦電効果を利用した赤外線検出素子,X線発生装置などに利用されている。
 
 【参考:基礎用語】

  • バンドギャップ(band gap)
     巨大分子では,結合に関わる原子数が多いため,分子軌道は数多くの電子軌道に分裂する。電子軌道のエネルギー順位は連続していないが,あたかも連続した帯状の様相を呈するため,エネルギーバンド( energy band )という。
     電子に満たされたエネルギーバンドは,価電子帯,又は充満帯といい,電子を含まないエネルギーバンドを伝導帯,又は空準位という。
     価電子帯で最もエネルギーの高い軌道を最高被占軌道( HOMO )といい,伝導帯で最もエネルギーの低い軌道を最低空軌道( LUMO )という。伝導帯と価電子帯のエネルギーギャップをバンドギャップ(禁制帯)という。

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 【抵抗材料】

 抵抗材料(electric resistance material)には,ジュール熱を用いた抵抗加熱用(電熱用)の抵抗材料,電流の制限,電圧の分圧などを目的に電気回路に電気抵抗を与えるための抵抗器(resistor)に用いる抵抗材料に分けられる。なお,抵抗器レジスターや単に抵抗ともいわれる。
 
 ジュール熱(Joule heat)
 抵抗を有する導体に電流を流したときに生じるで,イギリスの物理学者ジュールが実験で発見した物理法則(ジュールの法則:Joule's laws)である。
 電気抵抗 R(Ω)の導体に定常電流 I(A)を t 秒間流したときのジュール熱の発生量 Q(J)は,
       Q = R I2 t
で与えられる。この式にオームの法則を用いることで,
 
       Q = R I2 t = V I t = V2 R–1 t
と変形できる。
 
 電熱用に用いられる抵抗材料
 ニッケル-クロム合金(例えばJIS C 2520 電熱用ニッケルクロム線(帯) 1 種 ),ニッケル-クロム‐鉄合金(例えば JIS C 2520 電熱用ニッケルクロム線(帯) 2 種,3 種 ),鉄‐クロム-アルミニウム合金(例えば,JIS C 2520 電熱用鉄クロム線(帯) 1 種,2 種 )などがある。
 
 抵抗器(resistor)に用いられる抵抗材料
 銅(Cu),鉄(Fe),ニッケル(Ni),クロム(Cr),マンガン(Mn),アルミニウム(Al)を用いた合金が用いられる。
 主な合金には,銅-ニッケル合金(例えばコンスタンタン;55%Cu 45%Ni),銅-ニッケル-マンガン合金(例えば JIS C 2521 電気抵抗用銅ニッケル),銅-マンガン-ニッケル合金(例えば JIS C 2522 電気抵抗用銅マンガン,マンガニン;86%Cu 12%Mn 2%Ni ),ニッケル-クロム-アルミニウム合金(例えばNi 70 ~ 79%,Cr 19 ~ 21%,Al 残)などがある。
 
 抵抗器の分類
 抵抗器は,機能や形状などによる分類が多くある。ここでは,主な分類例を紹介する。
 機能による分類
 固定抵抗(fixed resistor;抵抗値一定の抵抗器),可変抵抗(variable resistor;抵抗値を変更できる抵抗器),シャント抵抗(shunt resistor;電流の測定範囲を拡大するために分流器として電流計と並列に接続する抵抗器)に分けられる。
 材質や形状による分類
 金属皮膜抵抗,酸化金属皮膜抵抗,炭素皮膜抵抗(カーボン抵抗),メタルグレーズ抵抗(金属酸化物とガラスの混合物を高温で焼結させた皮膜),ソリッド抵抗,巻線抵抗(抵抗体に螺旋状の金属線を用いたもので,ホーロー抵抗,メタル・クラッド抵抗などがある),セメント抵抗(抵抗器本体をセメントで封止したもの),金属箔抵抗,ガラス抵抗,ネットワーク抵抗,液体抵抗器などがある。
 
 抵抗材料の特性
 温度による電気抵抗の変化
 通常の環境(常温付近)では,金属の電気抵抗は温度上昇に比例して増大し,半導体の電気抵抗が低下するのが一般的である。
 金属の抵抗
 ある温度 T での電気抵抗 R(T) は,近似的に,その材質の温度係数α ,基準とした温度 T0 の時の電気抵抗 R0 を用いて,
       
で表される。
 温度係数αは,単位温度当たりの電気抵抗率の変化率で,対象とする物質によって決まる定数であるが,実際には電気抵抗の変化は非線形で,温度係数も温度によって変化する。従って,温度係数は,それを測定したときの温度を添えて,例えばα25 などと表し,その温度周辺でしか使えない。
 金属の低温での抵抗
 オランダの物理学者,化学者デバイの考案した固体におけるフォノンの比熱(熱容量)への寄与を推定する手法であるデバイモデル(Debye model)では,低温における比熱が熱力学的温度(絶対温度)の三乗( T3 ) に比例(デバイのT3 法則)する。
 このデバイの T3 法則の成立する限界温度をデバイ温度(デバイの特性温度)という。例えば銅のデバイ温度は 343.5 K(ケルビン),鉄のデバイ温度は 470 K である。
 
 デバイ温度未満に温度を下げると,格子振動などのフォノンによる電子散乱が少なくなるため,絶対温度の五乗( T5 )に比例して金属の電気抵抗が低下する。
 さらに温度を下げてゆくと,電気抵抗に電子同士の衝突の寄与が加わり,T2 に比例して電気抵抗が低下する。
 しかし,ある温度まで下がると金属内の不純物の影響で,電気抵抗は低下しなくなる。この最低の電気抵抗は,不純物によってのみ決まり,温度の影響を受けない。
 この法則を確認するための実験から,オランダの物理学者 K.オネス超伝導(super conductivity)を発見した。
 
 歪みによる電気抵抗の変化
 導体に張力を加えることで,導体の長さが増加し,断面積は減少する。逆に圧力を加えると長さの減少,断面積の増加になる。
 すなわち,張力や圧力で導体の形状変化が起き,張力で電気抵抗が増加し,圧力で減少する。この現象を利用したものに材料の歪みを測定する「ひずみゲージ」がある。
 
 【参考:基礎用語】

  • ジュールの法則(Joule's laws)
     ジュールの第一法則ともいい,導線に電流を通したとき,一定時間に発生する熱量( Q )は電気抵抗( R )および電流の強さ( I )の2乗に比例( Q= I2R=I・V )する。
  • ジュール(James Prescott Joule)
     ジェームズ・プレスコット・ジュール(1818 年~1889 年)は,イギリスの物理学者。ジュールの法則の発見,熱の仕事当量,マイヤー,ヘルムホルツと共にエネルギー保存則(熱力学第一法則)の発見者,など熱力学の発展に寄与し,単位ジュール( J )として名をとどめる。
  • デバイモデル(Debye model)
     オランダの物理学者,化学者デバイにより考案されたモデルで,熱力学と固体物理学において,固体におけるフォノン(結晶中での格子振動などの振動を量子化した仮想的な粒子)の比熱(熱容量)への寄与を推定する手法である。
  • デバイ温度(Debye temperature)
     デバイの考案した固体におけるフォノンの比熱(熱容量)への寄与を推定する手法であるデバイモデル(Debye model)では,低温における比熱が熱力学的温度(絶対温度)の三乗( T3 ) に比例(デバイのT3 法則)する。このデバイの T3 法則の成立する限界温度をデバイ温度(デバイの特性温度)という。
  • デバイ(Peter Joseph William Debye)
     ピーター・ヨセフ・ウィレム・デバイェ(1884年 ~ 1966年)は,オランダの物理学者,化学者で,デバイ温度,電気双極子モーメントの単位(デバイ),デバイモデル,デバイ-ヒュッケルの式などで知られる。
  • K.・オネス(Heike Kamerlingh Onnes)
     ヘイケ・カメルリング・オネス(1853 ~ 1926年)は,オランダの物理学者で,ヘリウムの液化,超伝導の発見などの低温物理学の先駆者として知られている。

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 【コンデンサ】

 静電誘導と静電容量
 周囲と電気的に絶縁された導体に電圧を印加すると内部に電荷の偏り(静電誘導)が生じる。
 理想的な状況では,加える電圧と電荷の偏りには比例関係(電場の重ね合わせの原理)がある。加えた電圧 V ,電荷の偏りを Q とすると,
        Q = CV
で表せる。
 C は,導体の幾何学的な形状と導体の周囲の絶縁体により決まる比例係数で静電容量(electrostatic capacity),電気容量(electric capacity)やキャパシタンス(capacitance)とよばれる。
 
 静電容量の SI 単位には,イギリスの化学者,物理学者ファラデーに由来する組立単位ファラド(farad ,記号 F )が用いられる。
 1 F(ファラド)は“1 C(クーロン)の電気量を充電したときに 1 V(ボルト)の直流の電圧を生ずる 2 導体間の静電容量”と定義される。
   1 F = 1 C・V–1 = 1 C2・J–1 = 1 A・s・V–1
 
 コンデンサ(capacitor)
 キャパシタ,蓄電器ともいわれ,静電容量により電荷を蓄えたり放出したりするための受動素子として用いられる。
 なお,コンデンサ(condenserといった場合は,蒸気を冷水,冷媒などを使って冷却し,凝縮させる凝縮器や復水器を意味するので,受動素子としてのコンデンサの英訳は(capacitor)を用いる。
 混用を避けるため,キャパシタと称するのが良いが,電気素子であることが明白な場合は,慣用的にコンデンサが用いられてきた。
 
 コンデンサは,近接し相対する二つの電極(導体)の間に誘電体を挟み電気的に絶縁したものである。誘電体としては,空気,油,雲母,紙,プラスチックフィルム,磁器,酸化被膜等が用いられる。
 絶縁された電極が近接していると,電極の一方に正の電荷が,他方に負の電荷が生じて互いに引き合うことで,電荷が充電されやすくなり静電容量が大きくなる。コンデンサはこの性質を利用したものである。
 コンデンサ静電容量 C は,電極の対向する面の面積 S に比例し,電極間の距離 d に反比例する。
       C ∝ S/ d
 電極間の距離が十分に小さいとき,比例係数が電極間に用いられる誘電体の誘電率εになる。
       CεS/ d
 したがって,誘電率の大きい誘電体の使用や電極間の間隔を小さくすることで,単位体積当りの静電容量を大きくできる。
 
 コンデンサ回路の合成静電容量(combined capacity)
 並列接続では,各静電容量 Ci に対し,それぞれ等しい全電圧 V がかかるため,合成静電容量 C は各静電容量 Ci総和に等しい。
 直列接続では,各静電容量 Ci にかかる電圧 Vi の総計が加えた電圧 V になるので,合成静電容量 C は各静電容量 Ci逆数の総和の逆数に等しくなる。
       
 
 コンデンサの主な種類
 紙コンデンサ(paper capacitor):誘電体に木材パルプを加工したもの。
 オイルコンデンサ(oil-filled capacitor):絶縁油を含浸した紙を誘電体としたもの。
 真空コンデンサ(vaccum capacitor):内部を真空にしたもの。
 ガス封入コンデンサ:内部に六フッ化硫黄(SF6)等を封入したもの。
 プラスチックフィルムコンデンサ(film capacitor):誘電体として用いる有機フィルムの種類により,スチロールコンデンサ(スチコン),ポリエステルコンデンサ(マイラコンデンサ,マイラ),ポリプロピレンコンデンサ,テフロンコンデンサ,ポリフェニレンスルファイドコンデンサなどがある。
 セラミックコンデンサ(ceramic capacitor):誘電体にセラミックスを用いたもので,セラミックスの種類により,低誘電率系セラミックコンデンサ,高誘電率系セラミックコンデンサ,半導体セラミックコンデンサなどがある。
 電解コンデンサ(electrolytic capacitor):電極表面を化学処理して形成した薄膜の半導体を誘電体としたもので,アルミ電解コンデンサ,タンタル電解コンデンサ,ニオブコンデンサ,酸化ニオブコンデンサなどがある。
 電気二重層コンデンサ(electric double-layer capacitor):電気二重層という物理現象を利用し蓄電するコンデンサ。
 可変コンデンサ(variable capacitor):静電容量を加減することができるコンデンサ。
 
 【参考:基礎用語】

  • ファラデー(Michael Faraday)
     マイケル・ファラデー(1791年~1867年)は,イギリスの化学者,物理学者で,ファラデーの電磁誘導の法則,ファラデーの電気分解の法則,ファラデー定数など電磁気学,電気化学への貢献で知られる。
  • ファラデー定数(Faraday constant)
     ファラデーの電気分解の法則で用いられるファラデー定数 F は,1mol の電子の電気量を表し,電気素量 e (1.6021766208×10−19 C)にアボガドロ数 NA((6.022140857×1023 mol-1) をかけたもので,
        F = 96485.33289(C mol-1
    である。

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 【半導体】

 半導体(semiconductor)は,金属などの導体と絶縁体の中間的な抵抗率をもつ物質で,熱,光,磁場,電場などの影響で電気特性が顕著に変わる特徴を持つ単体又は化合物である。
 JIS C 5600「電子技術基本用語」では,半導体
 “室温での導電率が金属と絶縁体との中間(およそ 105 ~ 10–8 S/ m )にある物質。およそ 2 ~ 3 eV 以下のバンドギャップをもち,絶対零度では自由電子正孔をもたないために絶縁体であるが,温度の上昇とともに自由電子正孔密度が増加し,室温では電気伝導をもつようになる。また,不純物のドーピングで N 形,P 形 の伝導の形の制御ができる。”
と定義している。
 半導体の特徴は,バンド理論(band theory)で説明される。すなわち,半導体は価電子帯が完全に電子で詰まった充満帯で,禁制帯を挟んで,伝導帯が電子の存在しない空帯になっている物質として定義される。
 
 半導体の電気抵抗
 金属などの導体の電気抵抗は,電流と電圧に直線的な関係(オームの法則)が成り立つので,オーム性抵抗(ohmic resistance)と呼ばれる。半導体の電気抵抗は,オームの法則が成立しないので,非オーム性抵抗(non-ohmic resistance)といわれる。
 半導体の重要な性質の一つに,半導体と金属,半導体同士の接触で起きる非オーム性抵抗が挙げられる。
 
 半導体の抵抗と温度
 ケイ素(Si),ゲルマニウム(Ge),ヒ化ガリウム(GaAs)の単結晶など,不純物を含まない真性半導体(intrinsic semiconductor)は,温度が高くなると,電子の励起による伝導帯に移る電子が増え,価電子帯に正孔を残す。このため,自由に動ける電子や正孔が増える。
 この結果,温度上昇に伴い,真性半導体の電気抵抗 R は指数関数的に低下する。
       
 不純物半導体(impurity semiconductor)では,ドナー原子やアクセプタ原子の影響で複雑な過程を経るため,真正半導体のような連続的な変化は期待できないが,概して,
 
 半導体の型と主な種類
 JIS C 5600「電子技術基本用語」に定義される半導体の種類を次に示す。
 N 形半導体(N-type semiconductor , negative semiconductor)
 電子が多数キャリヤである不純物半導体伝導。
 P 形半導体(P-type semiconductor , positive semiconductor)
 正孔が多数キャリヤである不純物半導体。
 真正半導体(intrinsic semiconductor)
 I型半導体ともいい,理想的には,内部に不純物,欠陥を含まない半導体で,熱平衡状態のキャリヤが,価電子帯から伝導帯への価電子の熱励起だけによって生じる電子及び正孔で構成されるもの。電子密度と正孔密度とが等しい。
 不純物半導体(impurity semiconductor)
 外因性半導体(extrinsic semiconductor)ともいい,内部に含まれる不純物,欠陥のイオン化によって生じた電子又は正孔がキャリヤ発生の主体となる半導体。
 単元素半導体(single-element semiconductor)
 単一の元素の原子の化学結合で構成される半導体。
 化合物半導体(compound semiconductor)
 2 種類以上の元素の原子の化学結合によって構成される半導体。一般には元素比は一定であるが,元素比に自由度がある混晶半導体もこれに含める。
 混晶半導体(mixed crystal semiconductor)
 複数の元素の原子で構成され,その元素の組成比がある制限の下に連続的に変化できる結晶半導体。
 縮退半導体(degenerate semiconductor)
 不純物半導体でドナーやアクセプタ密度が大きいためにフェルミ準位がエネルギーギャップ中のバンド端に近いところか又はバンドの中に位置し,キャリヤ密度の表式のためにボルツマン統計の近似を用いることができず,フェルミ統計を用いる必要のある半導体。
 非縮退半導体(nondegenerate semiconductor)
 不純物半導体で,フェルミ準位がエネルギーギャップ中のにあり,その位置が両バンド端から少なくとも 2 kBT(kB:ボルツマン定数,T :絶対温度)以上離れている半導体。 キャリヤ密度の表式のためにボルツマン統計の近似を用いることができる。
 
 半導体用材料
 半導体となる材料には,単体としては,半金属元素(Metalloid)に分類されるけい素(Si),ゲルマニウム(Ge)である。
 この他に,化合物として半導体の性質を示す物質には,セレン化亜鉛(ZnSe),硫化カドミウム(CdS),酸化亜鉛(ZnO),ヒ化ガリウム(GaAs),窒化ガリウム(GaN),リン化インジウム(InP),炭化ケイ素(SiC),シリコンゲルマニウム(SiGe),カルコパイライト型半導体(銅,インジウム,セレンの化合物),有機半導体(ペンタセン,ドーピングしたポリアニリンなど)などがある。
 カルコパイライト型半導体とは,黄銅鉱に似た結晶構造をもつ銅,インジウム,セレンの化合物 CuInSe2 をいう。有機半導体とは,ペンタセン,ドーピングしたポリアニリンなど半導体の性質を持つ有機化合物をいう。
 
 【参考:基礎用語】

  • バンド理論( band theory )
     周期的な原子配列,分子配列を持つ物質(特に結晶)の電子状態を量子力学で記述する理論の一つである。通常は, 結晶中の電子のエネルギーと,電子の波数の関係を表す関数を計算する手法全般を指す。バンド理論では,エネルギーと波数の関係(分散関係)をエネルギーバンド(バンド構造)と呼ぶ。
  • 価電子帯(valence band)
     充満帯ともいい,価電子に満たされたエネルギーバンドをいう。
  • 伝導帯(conduction band)
     空帯ともいい,価電子を持たないエネルギーバンドをいう。
  • 禁制帯(forbidden band)
     価電子帯と伝導帯の間で,電子を採ることのできないエネルギー順位の領域をいう。
     禁制帯の幅はバンドギャップ( band gap )といわれ,価電子帯の電子は,分子軌道に固定されているが,熱エネルギー等でバンドギャップを超えて伝導帯に遷移した電子は,原子間を自由に移動(自由電子)できる。
  • キャリヤ(carrier)
     電荷キャリヤ(charge carrier)の一般的な呼称で,JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“真空,固体,気体又は 液体中を移動して電荷を運び電流を生じさせる電子,正孔,イオンなどの荷電粒子。半導体においては,伝導帯の自由電子と価電子帯の正孔とを指す。
     参考:厳密には電荷キャリヤ(charge carrier)というべきで,一般には,キャリヤガスなどのように何かを運ぶものという意味である。”と定義されている。
  • ドナー(donor)
     JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“N 形半導体を作るための不純物元素で,半導体中でイオン化して伝導帯に電子を供与し伝導電子を作り,自らは正に帯電する不純物及び欠陥。”と定義している。
  • アクセプタ(acceptor)
     JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“P 形半導体を作るための不純物元素で,半導体中でイオン化して価電子帯から価電子を授受し正孔を作り,自らは負に帯電する不純物及び欠陥。”と定義している。
  • ドーピング(doping)
     JIS C 5600「電子技術基本用語」では,“半導体結晶内部にドナー又はアクセプタ不純物を導入すること。半導体では,P 形,N 形の制御並びにそのキャリヤ密度の制御に用いる。”と定義している。

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