ここでは,物理を理解するうえで必要となる基礎用語,法則類,定義などについて,その概要を紹介するとともに,関連するページとのリンクを構成する。
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サ行 そ で始まる用語を紹介する。
用語一覧 サ行 そ
【 相 】
【 双極子 】
【 双極子モーメント 】
【 双曲線 】
【 双曲線関数 】
【 双曲線正弦関数 】
【 双曲線正接関数 】
【 双曲線余弦関数 】
【 像空間 】
【 相互インダクタンス 】
【 相互誘導 】
【 双軸結晶 】
【 相図 】
【 相対屈折率 】
【 相対性原理 】
【 相対性理論 】
【 双対 】
【 像点 】
【 相転移 】
【 総熱量不変の法則 】
【 造波抵抗 】
【 相反定理 】
【 相変態 】
【 像面 】
【 像面湾曲 】
【 層流 】
【 速度 】
【 速度水頭 】
【 速度ベクトル 】
【 速度ポテンシャル 】
【 束縛電流 】
【 束縛変数 】
【 ソクラテス(人) 】
【 素元波 】
【 塑性 】
【 素電荷 】
【 疎密波 】
【 素粒子 】
【 ソレノイド 】
【 損失水頭 】
用語の概要と関連ページ
【相】( phase )
境界面で空間的に区別された均質な部分を相と呼ぶ。例えば,固相,液相,気相と呼ぶが,同じ物質の固相でも結晶構造が異なれば,ほかの相とみなされる。
1 相だけの物質を均一系または単相系,2 相以上からできている物質を不均一系または多相系という。
各相を囲む領域を相境界(phase boundary)という。
関連ページ : 熱力学:熱力学とは , 熱力学:熱膨張,比熱容量 , 熱力学:相転位,熱の移動 , 熱力学:熱力学第一法則 ,
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【双極子】( dipole )
双極子には,電気双極子(electric dipole)と磁気双極子(magnetic dipole)がある。
分子内に生じた電子の偏りを原因として発生する電荷のひずみである。すなわち,分子構造の中で,正の電荷の重心と負の電荷の重心が一致しない電荷の配置を電気双極子という。電荷を磁荷に置き換えた関係を磁気双極子という。
⇒ 誘電分極
関連ページ : 電磁気学:電荷と帯電 , 電気回路:電気回路の基礎 ,
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【双極子モーメント】( dipole moment )
双極子モーメントは,微小な距離だけ離れた大きさの等しい1対の正負の電荷や磁極をさす双極子の強さを表わす量で,前者を電気双極子モーメント(electric dipole moment),後者を磁気双極子モーメント(magnetic dipole moment)というが,一般的には,前者を双極子モーメント,後者を磁気モーメント(magnetic moment)と称する例が多い。
(電気)双極子モーメント P は,電荷の大きさδ,電荷の正と負の重心間の距離γとすると,P = δ・γで与えられる。
関連ページ : 電気回路:電気回路の基礎 ,
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【双曲線】( hyperbola )
円錐曲線の一つで,平面上で 2 つの定点からの距離の差が正の定数となる点の軌跡をいう。2 つの定点を双曲線の焦点という。
⇒ 円錐曲線
関連ページ : 古典力学の基礎:惑星の運動 ,
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【双曲線関数】( hyperbolic function )
三角関数と類似の関数で,標準形の双曲線を表示するときに用いられる双曲線正弦関数(hyperbolic sine:sinh x ),双曲線余弦関数(hyperbolic cosine:cosh x ),双曲線正接関数(hyperbolic tangent:tanh x )などがある。
一般に,双曲線関数は,指数関数を用いて定義される。
x が十分に大きい場合は,双曲線関数 sinh x ≈ ex ,cosh x ≈ ex ,tanh x ≈ 1 で近似される。
x が十分に小さい場合は,双曲線関数 sinh x ≈ x ,cosh x ≈ 1 ,tanh x ≈ x で近似される。
関連ページ : 波:重力波(表面波) ,
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【双曲線正弦関数】( hyperbolic sine )
sinh x = (ex - e-x)/2 ⇒ 双曲線関数
関連ページ : 波:重力波(表面波) ,
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【双曲線正接関数】( hyperbolic tangent )
tanh x = (sinh x )/ (cosh x ) ⇒ 双曲線関数
関連ページ : 波:重力波(表面波) ,
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【双曲線余弦関数】( hyperbolic cosine )
cosh x = (ex + e-x)/2 ⇒ 双曲線関数
関連ページ : 波:重力波(表面波) ,
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【像空間】( image space )
JIS Z 8120 (光学用語)の定義では,
光学系の結像において,光線が入射する側の空間(屈折率 n)と,射出する側の空間(屈折率 n')とを考えるとき,屈折率 n'を用いて表される空間。
関連ページ : 波:光学とは ,
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【相互インダクタンス】( mutual inductance )
⇒ 相互誘導
関連ページ : 電磁気学:電流と磁場 ,
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【相互誘導】( mutual induction )
二つのコイル( A , B )が磁気的に結合しているとき,2つのコイルに流れる電流が互いに影響を及ぼす現象をいう。例えば,回路 A を流れる電流が変化(時間 Δt の間に ΔI 変化)したとき,電磁誘導により,回路 B に誘導起電力(-M(ΔI/Δt) )が生じる現象である。
比例定数 M を相互インダクタンス(mutual inductance)という。
関連ページ : 電磁気学:電流と磁場 ,
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【双軸結晶】( )
読み:そうじくけっしょう ⇔ 二軸結晶
関連ページ : 波:物理光学とは ,
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【相図】( phase diagram )
関連ページ : 熱力学:相転位,熱の移動 ,
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【相対屈折率】( index of relative refraction )
対象とする物質と,それを取り囲む物質との間の屈折率の比をいう。
関連ページ : 波:幾何光学とは , 波:物理光学とは , 電磁気学:電磁波の性質 ,
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【相対性原理】( principle of relativity )
ある範囲の座標系がすべて物理的に同等であって,これらのどの座標系でも物理法則はまったく同形でなければならないという要請をいう。
関連ページ : 物理学のあゆみ ,
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【相対性理論】( relativity theory )
相対論ともいい,特殊相対性理論(Special relativity)と一般相対性理論(general theory of relativity)の総称である。量子力学とともに,現代物理の基本的な理論である。
関連ページ : 物理学のあゆみ , 物理学の主な分類 ,
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【双対】( dual , duality )
読み;そうつい,互いに対になっている 2 つの対象の間の関係に対する数学用語である。例えば,1 つの対象に 2 つの等価な記述法があるとき,2 つの記述法を取り替える操作を双対という。
関連ページ : 電気回路:直流電気回路の基礎 ,
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【像点】( image point )
JIS Z 8120 「光学用語」では,“光学系の物点から出る共心光線束が,像空間において収束する点,又は共心光線束を光線の進む方向と反対の方向に延長したとき像空間において収束する点。”と定義している。
関連ページ : 波:光学とは , 波:幾何光学とは ,
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【相転移】( phase transition )
物質の三相(気相,液相,固相)が,温度や圧力を変えることで,相互に変化することをいう。
物質の三相間の相互転移などエントロピーや体積などの値が両相で有限の差をもつような一般的な相転移を一次相転移という。
鉄鋼の相転移など,固体であっても温度や圧力により結晶構造の違いなどで生じる複数の相の間での転移,例えば,磁性体における常磁性-強磁性転移,合金の秩序無秩序転移,液体ヘリウムの λ 点における正常流体から超流動流体への転移など定圧比熱容量や等温圧縮率の値に有限の差をもつような相転移を二次相転移という。
関連ページ : 熱力学:熱力学とは , 熱力学:相転位,熱の移動 ,
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【総熱量不変の法則】( the law of constant heat summation )
⇒ ヘスの法則
関連ページ : 熱力学:熱力学第一法則 ,
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【造波抵抗】( wave‐making drag )
関連ページ : 流体:流体の抵抗 ,
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【相反定理】( reciprocal theorem )
可逆定理ともいわれ,二つのものを入れ替えても同等であるということを示す定理である。
相反性は線形回路の中で,電気抵抗(R :レジスタンス),コイル(L :インダクタンス),コンデンサ(C :キャパシタンス)で構成されるなどの限られた適用範囲に適用できる性質ではあるが,回路理論(logic circuit:論理演算を行う電気回路及び電子回路)の基礎的な性質である。
関連ページ : 電気回路:直流電気回路の基礎 ,
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【相変態】( phase transformation )
⇒ 相転移
関連ページ : 熱力学:相転位,熱の移動 ,
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【像面】( image surface )
JIS Z 8120 (光学用語)の定義では,
a) 光学系の物体面から出る共心光線束によって像が生じる面。すなわち,物体面と共役な面。
b) 像空間において像を表す面。通常は平面で表す。
関連ページ : 波:光学とは ,
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【像面湾曲】( curvature of field )
JIS Z 8120 (光学用語)の定義では,
平面の物体の像面が湾曲する収差。
関連ページ : 波:光学とは ,
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【層流】( laminar flow )
⇔ 乱流
関連ページ : 流体:流体動力学の基礎 ,
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【速度】( velocity )
物理学の速度とは,運動している質点の単位時間あたりの方向を含む変位を表すベクトル量である。
速度を厳密に定義すると,一般的には加速度の影響を受けるので,距離の時間に対する変化率は一定とは限らない。そこで,位置 x の時刻 t に対する変化を表すグラフを考え,ある時刻の勾配がある時刻の速度となる。ある時刻の速度の絶対値は,瞬間の速さといわれる。
位置の変化量以外に,着目する現象の時間的に変化に対しても拡大使用され,面積速度(face velocity),角速度(angular velocity),反応速度(reaction rate)など,学術分野により種々の概念が定義されている。
関連ページ : 力と運動:はじめに , 力と運動:速度・加速度 ,
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【速度水頭】( velocity head )
⇒ 水頭
関連ページ : 流体:ベルヌーイの定理 ,
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【速度ベクトル】( speed vector )
関連ページ : 波:重力波(表面波) ,
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【速度ポテンシャル】( Velocity potential )
流体力学で,渦なし流れの解析に用いられる。渦なし流においては,速度ベクトルを u ,渦度ベクトルを ω とすると,ω=rot u=0 であるから,関数の値がスカラー値を取る適当なスカラー関数φを用いて,u=grad φと書ける。このφを速度ポテンシャルという。
関連ページ : 流体:流体の運動 , 波:重力波(表面波) ,
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【束縛電流】( constraint current )
原子や分子内で運動する電子や核により生ずる電流をいう。なお,似た用語の拘束電流といった場合は,工学分野でモーターを拘束した状態の最大電流を指す。
関連ページ : 電磁気学:電位と電流 ,
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【束縛変数】( bound variable )
⇒ 従属変数
関連ページ : 流体:流体動力学の基礎 , 熱力学:熱力学とは , 熱力学:熱力学第一法則 ,
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【ソクラテス】( )
ソクラテス(紀元前469年~399年)は,古代ギリシアの哲学者,ソクラテス自身の著作物はなく,彼の思想は弟子のプラトン,クセノポン,アリストテレスなどの著作から知られる。
関連ページ : 物理学のあゆみ ,
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【素元波】( elementary wave )
ホイヘンスの原理における前進する波面の各点から出る小さな無数の球面波をいう。
関連ページ : 波:波動の基礎 , 波:幾何光学とは ,
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【塑性】( plasticity )
力を加えて変形(ひずみ)した物質が,力を除去しても元に戻らない性質(変形のまま)。
関連ページ : 力と運動:主な力の概要 ,
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【素電荷】( elementary charge )
⇒ 電気素量
関連ページ : 電磁気学:電気・電荷・磁気とは ,
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【疎密波】( compressional wave )
圧縮波ともいい,縦波の 1 種で,音波や地震の P 波など流体や弾性体に加わった圧力で局所的な密度変化が生じた波である。
関連ページ : 波:波動の基礎 , 波:音波(弾性波) , 波:音波(発音体の振動) ,
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【素粒子】( elementary particle )
素粒子は,物質を構成する最も基本的,かつ要素的な粒子をいい,フェルミ統計に従うフェルミ粒子(fermion;フェルミオン),ボース統計に従うボース粒子(boson;ボゾン)に大別される。
フェミオン(fermion)は,強い相互作用で陽子や中性子などのハドロン(hadron;強い相互作用で結びついた複合粒子のグループ)の構成要素であるクォーク,強い相互作用をしないレプトンに分けられる。
クォーク(quark)には,電荷+2/3 e を持つ 3 種の上系列クォーク(アップ〈u〉,チャーム〈c〉,トップ〈t〉),電荷‐1/3 e を持つ 3 種の下系列クォーク(ダウン〈d〉,ストレンジ〈s〉,ボトム〈b〉)がある。
レプトン(lepton)には,電荷‐e を持つ 3 種の荷電レプトン(電子,μ粒子,τ粒子),電荷を持たない 3 種のニュートリノ(電子ニュートリノ,μニュートリノ,τニュートリノ)がある。
ボゾン(boson)には,素粒子間の相互作用(力)を媒介するゲージボソン(gauge boson),素粒子に質量を与えるヒッグスボゾン(Higgs boson)がある。ゲージボゾンには,電磁相互作用を媒介する光子,強い相互作用を媒介するグルーオン,弱い相互作用を媒介するウィークボソン,重力を媒介する重力子がある。
関連ページ : 物理学の主な分類 , 電磁気学:電気・電荷・磁気とは , 電磁気学:磁場 ,
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【ソレノイド】( solenoid )
コイルの一種で,円筒形に絶縁された導体を螺旋状に長く巻いたもので,電流を流して磁場の発生を目的としたもの(電磁石),それを利用した装置(電磁弁,アクチュエータなど)を指す。
関連ページ : 電磁気学:電流と磁場 , 電気回路:交流の基礎 ,
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【損失水頭】( loss of head , head loss )
⇒ 水頭
関連ページ : 流体:ベルヌーイの定理 ,
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