第三部:化学反応 化学反応の分類
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化学反応の分類には,立場の違いを反映した様々な分類がある。中には発見者にちなんで命名された反応,試薬名を冠した反応などの分類もある。
ここでは,電子移動に注目した分類となる 【イオン反応】, 【ラジカル反応】, 【ペリ環状反応】 に項目を分けて紹介する。
イオン反応
イオン反応( ionic reaction )
一方の化学種から他方の化学種に電子対( 2 個の電子)が供与され,新しい結合性軌道(イオン結合)が生成する化学反応,すなわちイオンの関与する化学反応である。
イオン反応の方向は,【イオンとは】で紹介したように,電子求引性や電子供与性などを原因として,原子間に発生した電荷の偏りに支配される。
電解質水溶液の中で起る反応はほとんどイオン反応であるが,この他に,電極表面や触媒上での反応,放射線の関与する反応,水以外の溶媒中でもイオン反応が起きる,
求核反応と求電子反応
イオン反応は,求核反応と求電子反応に分けられる。求核反応とは,電子対をもつ反応種(陰イオンやルイス塩基)が,電子が不足している化学種を攻撃して始まる反応をいう。
求電子反応とは,電子の不足している反応種(陽イオンやルイス酸)が,化学種の電子の豊富な部位を攻撃して始まる反応をいう。
【参考】
電子求引性( electron-withdrawing )と電子供与性( electron-donating )
ウィキペディアの記事「有機電子論」では,“分子の特定の位置について,電子密度を減弱させる効果を持つ置換基の性質を電子求引性と呼び,逆に増加させる効果を持つ場合の性質を電子供与性と呼ぶ。このような効果を持つ置換基を電子求引性基あるいは電子供与性基と呼び表す。”と解説している。
イメージ的(厳密性を求めない)には,電子求引性の原子,すなわち電子を引き付けた原子を考える。このとき,原子核は変わらないので,正電荷密度一定の状態で,影響される電子数が増えることになる。従って,核の吸引力とのバランスで負電荷の密度が低下,すなわち電子密度が低下すると考えることができる。
なお,用語として“電子吸引性”を用いる文献や辞書もあるが,主流は“電子求引性”である。
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ラジカル反応
ラジカル反応( free-radical reaction )
反応に関わる化学種それぞれから電子 1 個が供与され,新しい結合性軌道が生成する化学反応である。
ラジカル( radical )は,フリーラジカル,又は遊離基とも呼ばれ,【電子雲の重なり】で紹介した不対電子をもつ原子,分子やイオンをいう。
有機化学などでは,不対電子を持たないが, オクテット則を満たさずに,短寿命の活性な中間化学種に対してフリーラジカルと称する場合もある。
安定な原子や分子に,熱や光などのエネルギーを加え,励起された電子の移動などによりラジカル(不対電子の形成)が発生する。
一般的には,ラジカルは,その名の由来(急進的な,過激な)にもあるように,反応性が高く,生成すると直ちに酸化還元反応を起こし,安定な分子やイオンとなる。
不対電子を持つラジカルは他の分子から電子を奪うが,ラジカルに電子を 1 個奪われた分子は,新たなラジカルを形成する。すなわち,反応は連鎖的に進行することから,このような反応をラジカル連鎖反応という。ラジカル連鎖反応は,ラジカル同士の反応で共有結合を生成するまで続く。
ラジカル連鎖反応で良く知られる例には,燃焼反応や塩素原子のラジカルによる成層圏のオゾン層破壊(オゾンホール)がある。また,比較的速やかに進む有機化学反応ではラジカル反応が多い。
【参考】
オクテット則( octet rule )
原子の最外殻電子の数が 8 個あると化合物やイオンが安定に存在するという経験則。周期表の第二周期の元素,第三周期のアルカリ金属、アルカリ土類金属までにしか適用できないが,多くの有機化合物に適用できる便利な規則である。
【原子の構造】で紹介したように,最外核電子 8 個の状態は,化学的に安定な希ガス類( 18 族)と同じで,原子はこの電子配置を持とうとしてイオン化しやすい。
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