化 学 (化学反応)

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 ここでは,酸化還元反応に関連し,【酸化還元滴定】【よう素滴定法と残留塩素】【酸化還元滴定方法】に項目を分けて紹介する。

 【酸化還元滴定】

 酸化還元滴定( oxidation-reduction titration ,redox titration )とは,【酸塩基滴定】で紹介した容量分析の一手法で,酸化還元反応を積極的に利用した滴定法である。
 最も身近な実用例に水質分析がある。酸化還元滴定を活用する水質項目には,酸化剤として過マンガン酸カリウムや二クロム酸カリウムを用いた化学的酸素要求量( COD )測定,よう素滴定法を用いた溶存酸素量,残留塩素量,よう化物イオン量,臭化物イオン量,硫化物イオン量,亜硫酸イオン量の分析,硫酸ヒドラジニウム還元法,又は銅・カドミウムカラム還元法を用いた全窒素量分析がある。
 ここでは,上水の残留塩素量計測に用いるよう素滴定法を紹介する。

 

 【よう素滴定法と残留塩素】

 よう素滴定法を用いた容量分析には,溶存酸素量,残留塩素量,よう化物イオン量,臭化物イオン量,硫化物イオン量,亜硫酸イオン量の測定がある。
 
 残留塩素( residual chlorine )とは,塩素剤が水に溶けて生成する次亜塩素酸,これがアンモニアと結合して生じるクロロアミンをいう。前者を遊離残留塩素,後者を結合残留塩素,両者を合わせて残留塩素という。
 残留塩素の定量分析では,低濃度の場合は比色法や吸光光度法を用いるが,比較的濃度が高い場合には,よう素滴定法が適用される。

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 【酸化還元滴定方法】

 試験概要
 よう素滴定法では,残留塩素とよう化カリウムとが反応して遊離するよう素をチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,残留塩素を定量する。なお,よう素を遊離させる酸化性物質が共存すると,残留塩素として定量される。
 備考:還元剤のよう化カリウムの半反応,よう素とチオ硫酸ナトリウムとの反応は,次の通りである。
    還元剤よう化カリウム: 2KI → I2 + 2K+ + 2e-
    チオ硫酸ナトリウムとよう素: 2Na2S2O3 + I2 → Na2S4O6 + 2NaI
 
 試薬
 1 ) 水
 JIS K 0557「用水・排水に用いる水」 に規定する A3 の水,なお,溶存酸素を含まない水は,JIS K 0050 「化学分析方法通則」附属書 E(特殊用途の水の調製方法及び保存方法)に従う。
 2 ) よう化カリウム
  JIS K 8913 「よう化カリウム(試薬)」に規定するもの。
 3 ) 酢酸 ( 1 + 1 )
 JIS K 8355 「酢酸(試薬)」に規定する酢酸を用いて調製する。
 4 ) でんぷん溶液 ( 10 g/L )
 JIS K 8659 「デンプン (溶性) (試薬)」に規定するでんぷん(溶性)1 g を水約 10 mL と混ぜ,次に,熱水 100 mL 中によくかき混ぜながら加え,約 1 分間煮沸した後,放冷する。使用時に調製する。
 5 ) 10 mmol /L チオ硫酸ナトリウム溶液
 0.1 mol /L チオ硫酸ナトリウム溶液 25 mL を全量フラスコ 250 mL にとり,溶存酸素を含まない水を標線まで加える。この溶液は使用時に調製し,12 時間以上経過したものは使用しない。
 0.1 mol /L チオ硫酸ナトリウム溶液
 JIS K 8637 「チオ硫酸ナトリウム五水和物(試薬)」に規定するチオ硫酸ナトリウム五水和物 26 g 及び JIS K 8625 「炭酸ナトリウム(試薬)」に規定する炭酸ナトリウム 0.2 g を,溶存酸素を含まない水に溶かして 1 L とし,気密容器に入れて少なくとも 2 日間放置する。標定は使用時に行う。
 
 標定
 JIS K 8005 「容量分析用標準物質」に規定するよう素酸カリウムを 130 ℃で約 2 時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その約 0.72 g を 1 mg の桁まではかりとり,少量の水に溶かし,全量フラスコ 200 mL に移し入れ,水を標線まで加える。
 この 20 mL を共栓三角フラスコ 300 mL にとり,よう化カリウム 2 g ,及びJIS K 8951 「硫酸(試薬)」に規定する硫酸を用いて調整した硫酸 ( 1 + 5 ) を 5 mL を加え,直ちに密栓して静かに混ぜ,暗所に約 5 分間放置する。
 水約 100 mL を加えた後,遊離したよう素をこのチオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液の黄色が薄くなってから指示薬としてでんぷん溶液(10 g /L)1 mL を加え,生じたよう素でんぷんの青い色が消えるまで滴定する。
 別に,水について同条件で空試験を行って補正した mL 数から,次の式によって 0.1 mol /L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター(f)を算出する。
      f = a × b /100 × 20 /200 × 1 /( 0.003567 X )
 ここに,a :よう素酸カリウムの量(g),b: よう素酸カリウムの純度(%),X: 滴定に要した 0.1 mol /L チオ硫酸ナトリウム溶液(補正した値)(mL),0.003567: 0.1 mmol /L チオ硫酸ナトリウム溶液 1 mL のよう素酸カリウム相当量(g)
 
 操作
 1 ) 試料の適量( Cl として 0.1 ~ 7 mg を含む。)を共栓三角フラスコ 500 mL にとり,水を加えて約 300 mL とし,よう化カリウム 1 g 及び酢酸(1+1)5 mL を加える。
 2 ) 栓をして振り混ぜ,暗所に約 5 分間放置する。
 3 ) 遊離したよう素を,10 mmol /L チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定し,溶液の黄色が薄くなってから,指示薬としてでんぷん溶液(10 g /L)1 mL を加え,生じたよう素でんぷんの青い色が消えるまで滴定する。
 4 ) 空試験として水 100 mL をとり,1 ) ~ 3 ) の操作を行う。
 5 ) 次の式によって試料中の残留塩素の濃度( Cl mg /L )を算出する。
      A = ( a – b ) × f × 1000 /V × 0.3545
 ここに,A: 残留塩素( Cl mg /L ),a: 滴定に要した 10 mmol /L チオ硫酸ナトリウム溶液(mL),b: 空試験に要した 10 mmol /L チオ硫酸ナトリウム溶液(mL),f: 10 mmol /L チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター,V: 試料(mL),0.3545: 10 mmol /L チオ硫酸ナトリウム溶液 1 mL の残留塩素相当量(mg)

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