化 学 (化学反応)

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 ここでは,電気化学の基礎の電極反応に関連し,【電池とは】【電池の原型(ボルタ電池)】【古典的電池(ダニエル電池)】【鉛蓄電池】【リチウム電池】【燃料電池】【参考:関連電気化学用語】に項目を分けて紹介する。

 【電池とは】

 電極反応の理解を深めるため,化学物質の酸化還元反応を利用して電気を取り出す電池( cell )の基本原理を紹介する。
 ここで紹介する電池は,電池の原型であるボルタ電池,最初に実用されたダニエル電池,広く用いられている鉛蓄電池やリチウム電池,将来の電池の燃料電池について紹介する。

 

 【電池の原型(ボルタ電池)】

 硫酸( H2SO4 )水溶液(希硫酸)に,銅板と亜鉛板を浸漬し,銅板と亜鉛板を導線で結ぶと,水素を発生(亜鉛板と銅板とも)しながら亜鉛が溶解し,導線に電流が流れる。
 この電池は,銅板が正極(+極),亜鉛板が負極(-極)となる。
 起電力は,浸漬直後は 1.1 V で,その後約 0.4 V まで低下する。放電のみで充電ができないので,一次電池という。電位差が安定した時の電極反応は次の通りである。
      Zn + 2H+ → Zn2+ + H2
    半反応式
      Zn → Zn2+ + 2e- (亜鉛板表面) , 2H+ + 2e- → H2(銅板表面)

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 【古典的電池(ダニエル電池)】

 硫酸銅( CuSO4 )水溶液に銅板を,硫酸亜鉛( ZnSO4 )水溶液に亜鉛板を浸漬し,溶液間でイオンの移動が可能な半透膜(陶器の板)を介して接触させ,銅板と亜鉛板を導線で結ぶと,水素発生を伴わないで導線に電流が流れる。
 この電池は,銅板が正極(+極),亜鉛板が負極(-極)で電位差 1.1 V となる充電のできない一次電池である。
      Zn + Cu2+ → Zn2+ + Cu
    半反応式
      Zn → Zn2+ + 2e- (亜鉛板表面) , Cu2+ + 2e- → Cu↓(銅板表面)

 

 【鉛蓄電池】

 硫酸水溶液( 30 ~ 35%)を電解液として用い,鉛の格子に二酸化鉛( PbO2 )を充填した正極(+極),鉛の格子に海綿状の金属鉛を充填した負極(-極)とする起電力約 2 V の充電可能な二次電池(蓄電池)である。
      PbO2 + Pb + 2H2SO4 → 2PbSO4↓+ 2H2O
    半反応式
      Pb + SO42- → PbSO4↓+ 2e- (鉛表面) 
      PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- → PbSO4↓+ 2H2O(酸化鉛表面)
 なお,電池反応で生成する硫酸鉛( Pb SO4 )は,溶解度 0.0425 g /L と小さいので電極表面に析出する。
 放電時の様子を模式図に示す。電池の電極は,JIS K 0213 の定義に従うと,酸化反応の起きる鉛電極がアノードとなる。アノードから電子が外部回路に向かって流出するので負極であり,電池活物質( Pb )から電子を受け取るので陰極となる。
 一方,還元反応の生じる酸化鉛の電極がカソードとなり,外部回路から電子が流入するので正極であり,電池活物質( PbO2 )に電子を与えているので陽極である。

鉛電池・放電【模式図】

鉛電池・放電【模式図】

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 【リチウム電池】

 リチウム電池(リチウムイオン電池)には,電解液や正極の材料が異なる多くの種類がある。一般的なコイン電池やボタン電池と呼ばれるものは,有機溶媒にリチウム塩を溶解させたものを電解液として用い,二酸化マンガン( MnO2 )を正極(+極),金属リチウムを負極(-極)とする起電力約 3 V で,充電のできない一次電池である。
      2MnO2 + Li → LiMn2O4
    半反応式
      Li → Li+ + e- (リチウム表面) , 2MnO2 + Li+ + e- → LiMn2O4 (二酸化マンガン表面)

 

 【燃料電池】

 燃料電池には,用いる燃料(水素,アルコール,炭化水素),電解質(固体高分子,リン酸,溶融した炭酸塩,固体酸化物)の組み合わせで多くの種類がある。
 燃料電池の最大の特徴は,この電池の起電力は,燃料を供給し続けることで,発電容量の制限を受けず大容量の電池を校正できることである。
 例えば,燃料電池自動車への応用される水素燃料電池(起電力 1.2 V )は,固体の高分子イオン交換膜を電解質として用い,イオン交換膜を挟んで水素と空気を通じる構造である。
      2H2 + O2 → 2H2O
 水素側では,電極表面の水素が酸化反応で水素イオンと電子が生じる。
    半反応式
       2H2 → 4H+ + 4e-
 電子は外部回路を通じて酸素側の電極に移動する。水素イオンは,イオン交換膜内を拡散し空気側の電極に移動し,空気中の酸素の還元反応に利用される。
    半反応式
      O2 + 4H+ + 4e- → 2H2O
 利用する物質の種類で発生する電圧(起電力)が異なる理由については【起電力と電気量】で紹介する。

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 【参考】

 JIS K 0213 「分析化学用語(電気化学部門)」
 電池( cell )
 一対の電極を電解質溶液に浸した系。
 ガルバニ電池 ( galvanic cell )
 一対の半電池から構成した電池。
 半電池( half-cell )
 金属などの電子伝導体の相と電解質溶液などのイオン伝導体の相とを含む,少なくとも二つの相が直列に接触している系。二つの半電池を組み合わせれば電池を構成することができる。
 局部電池( local cell )
 電解質溶液中に浸した金属単体,合金などに局部的な電位差が生じ,金属表面の局部で電流が流れることで形成される電池。金属腐食の原因の一つとなる,
 起電力( electromotive force )
 ガルバニ電池の外部回路に流れる電流を減少させて,ゼロになるときの電池の電位差の極限値。ただし,電池の電位差は,いわゆる電池図の右側の電極に取り付けた金属端子の内部電位から左側の電極に取り付けた同種の金属端子の内部電位を差し引いたものである。

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