化 学 (化学反応)

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 ここでは,酸化還元反応に関連し,【酸化還元反応の基礎】【酸化に注目した反応式の見方】【半反応式:電子のやり取り】【還元に注目した反応式の例】に項目を分けて紹介する。

 【酸化還元反応の基礎】

 酸化還元反応( oxidation-reduction reaction )は,反応物から生成物が生じる化学反応において,原子間で電子の授受のある反応である。
 アンモニア( NH3 )と塩化水素( HCl )の反応は,酸化還元反応?
      NH3 + HCl → NH4Cl
 前項で説明した酸化数を求めてみる。水素の酸化数は ( +1 ) であるので,化合物の酸化数の総和が 0 でなければならない。 反応物の窒素( N )の酸化数を X ,塩素( Cl )の酸化数を Y とすると,
 NH3 (g) の酸化数は X + ( +1 ) ×3 = 0 ,すなわち X = -3 となり,HCl (g) の酸化数は ( +1 ) + Y = 0 ,すなわち Y = -1 とななる。
 生成物の塩化アンモニウムを構成する窒素( N )の酸化数を X’ ,塩素( Cl )の酸化数を Y’ とすると,塩化アンモニウムは水溶液中で NH4+ ,Cl- に解離する。単原子イオンの酸化数はイオンの価数と一致するので Y’ = -1 ,アンモニウムイオンの酸化数とイオンの価数から X’ + ( +1 ) ×4 = +1 から窒素の酸化数は X’ = -3 となる。
 以上より,アンモニア( NH3 )と塩化水素( HCl )の反応は,酸塩基反応であるが,原子間で電子の授受がないので酸化還元反応ではない。
 次には,酸化に注目した酸化還元反応式の見方,還元に注目した酸化還元反応式の見方を紹介する。

 

 【酸化に注目した反応式の見方】

 炎を上げて激しく反応するので,分かりやすい化学反応の例として学生実験などで取り上げられることの多いナトリウム金属( Na )と水( H2O )の反応を例に紹介する。
 化学反応式(酸化還元反応式)は次の通りである。なお,生成物である水酸化ナトリウムは,強塩基で水中ではほぼ完全にイオンに解離するので,それを( )内に表記した。
      2Na (s) + 2H2O (l) → 2NaOH (aq) + H2 (g)↑(→ 2Na+ (aq) + 2OH- (aq) )
 酸化還元の表現
 この反応は,「ナトリウム金属は酸化されて,水酸化ナトリウムになり,水(厳密には,水分子中の水素)は還元されて,気体の水素になる。」と表現される。
 酸化剤,還元剤の関係
 また,この反応では,ナトリウム金属は水を還元する還元剤,水はナトリウム金属を酸化する酸化剤の関係にある。
 酸化数の関係
 基本は,【酸化・還元とは】で紹介した酸化数の決め方は次の通りである。
 ① 単体の酸化数は 0 とする,② 化合物中の酸素( O )の酸化数 -2 ,水素( H )の酸化数 +1 とする,③ 単原子イオンの酸化数は,イオンの価数に等しい,④ 化合物を構成する原子の酸化数の総和は 0 になる,⑤ 多原子イオンの酸化数の総和は価数に等しい。
      2Na (s) + 2H2O (l) → 2NaOH (aq) + H2 (g)↑(→ 2Na+ (aq) + 2OH- (aq) )
 この反応式での各元素の酸化数変化を次式で示す。なお,酸化数は元素の後の( )に示した。
      2Na (0) + 2H (+1) 2O (-2) → 2Na (+1) O (-2) H (+1) + H (0) 2
 単体のナトリウム金属と水素の酸化数は 0 で,化合物中の酸素の酸化数 -2 ,水素の酸化数 +1 である。
 水分子の酸化数の総和は, 2×( +1 ) + ( -2 ) = 0
 水酸化ナトリウムの酸化数の総和は,2×( ( +1 ) + ( -2 ) +( +1 ) ) = 0
 なお,カッコ内で示した水酸化物イオンの酸化数の総和は,( -2 ) +( +1 ) = -1 とイオンの価数に一致する。

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 【半反応式:電子のやり取り】

 ナトリウム金属( Na )と水( H2O )の反応を電子のやり取りを含めて表現する。この表現では,酸化と還元を分けて記述すると理解しやすい。この記述方式を半反応式と呼ぶ。
 酸化されるナトリウム金属については,電子を放出してナトリウムイオンになる。
      2Na (s) → 2Na+ (aq) + 2e-
 一方,還元される水については,「酸塩基反応」などで紹介したように,水の自己解離を考慮し,生成したヒドロニウムイオン(オキソニウムイオンの一種)が電子を受け取り,原子状の水素を経て気体水素になると考えられる。
      4H2O (l) + 2e- { ⇆ 2OH- (aq) + 2H3O+ (aq) + 2e- }→ 2OH- (aq) + 2H2O + H2 (g)↑

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 【還元に注目した反応式の例】

 鉄鉱石から鉄鋼を得て生活に利用することで,近代文明が築かれてきた。鉄鋼の原料は,酸化鉄を主成分とする赤鉄鉱( Fe2O3 )や磁鉄鉱( Fe3O4 )である。
 なお,日本古来の刀の制作に用いる玉鋼(和銑)は,砂鉄を原料としている。砂鉄は,磁鉄鉱等が風化して河川で運ばれたもので,四酸化三鉄( Fe3O4 )を主成分とするものである。
 酸化鉄を還元して,鉄鋼の原料である銑鉄を得る工程を製銑という。
 製銑過程では,鉄鉱石から作った焼結鉱とコークス(石炭を蒸し焼きにしたもの)を高炉の内部に層状に積み重ね,炉の下部から熱風(約 1,200 ℃)を吹き込むみ,コークスの燃焼・分解で生じた高温の一酸化炭素,水素,及び炭素により酸化鉄が順次還元される。
 
 この過程で起きている主な反応は次のように考えられている。
 ● コークスの燃焼(炭素の酸化)による一酸化炭素の生成
      2C + O2 → 2CO
      2C → 2C2+ + 4e-  , O2 + 4e- → 2O2-
 この他に,C + O2 → CO2 , CO2 + C ⇆ 2CO の反応も起きている。
 
 ● 鉄鉱石の還元による鉄の生成
 酸化鉄(Ⅲ)(酸化第二鉄,ヘマタイト Fe2O3 )の還元による鉄( Fe )の生成は,多段階を経て起きる。
 1)酸化鉄(Ⅲ)が四酸化三鉄( Fe3O4 )に還元される。(比較的低温 320 ℃~ 620 ℃)
 この過程では,一酸化炭素(還元剤)が酸化され二酸化炭素になる。
      3Fe2O3 + CO → 2Fe3O4 + CO2
      鉄の酸化数:( +3 ) → ( +2 ) , ( +3 )   Fe3O4 = Fe(+2)O・ Fe(+3)2O3
      炭素の酸化数:( -2 ) → ( -4 )
 2)四酸化三鉄が酸化鉄(Ⅱ)(酸化第一鉄,ウスタイト FeO )に還元される。( 620 ℃~ 950 ℃)
 この過程では,一酸化炭素(還元剤)が酸化され二酸化炭素になる。
      Fe3O4 + CO → 3FeO + CO2
      鉄の酸化数: ( +2 ) , ( +3 ) → ( +2 )
      炭素の酸化数:( -2 ) → ( -4 )
 3)酸化鉄(Ⅱ)が鉄( Fe )に還元される。( 950 ℃~ )
 この過程では,一酸化炭素(還元剤)が酸化され二酸化炭素になる。
      FeO + CO → Fe + CO2
      鉄の酸化数: ( +2 ) → ( 0 )
      炭素の酸化数:( -2 ) → ( -4 )

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