化 学 (化学反応)

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 ここでは,電気化学の基礎の電極反応に関連し,【めっきとは】【電解めっき】【電解ニッケルめっき】【電解クロムめっき】【無電解めっき(化学めっき)】【無電解めっきの例】に項目を分けて紹介する。

 【めっきとは】

 めっき( plating )は,鍍金(ときん)とも言われ,金属を中心とする材料に対し,材料の装飾,耐食性向上,耐摩耗性向上,表面硬さなどの表面機能付与を目的に,異種金属の薄膜被覆による表面処理やその方法を指す。なお,めっきは,日本語なのでひらがな表記とする
 めっきは,処理工程の違いで電解めっき(電気めっき),無電解めっき(化学めっき),溶融めっき,化成処理に分けられる。
 備考:元来の鍍金は,金と水銀の合金(金アマルガム)を塗付け,加熱して水銀のみを気化させて得たものについていうが,現在はめっき全般をいう。
 
 ここでは,酸化還元反応の活用例として電解めっき,無電解めっき(化学めっき)について順次紹介する。

 

 【電解めっき(電気めっき)】

 鉛電池の充電時と同様の原理の電気分解は,“電解めっき”として活用される。電解めっきは,電気めっきとも呼ばれ,多くの分野で活用されている。
 電解めっきでは,原理図に示すように,陰極(カソード)に導電性のある対象物(商品)を取り付け,陽極(アノード)には,めっきの種類により反応に直接関与する場合は活性電極を,そうでない場合は不活性電極を用いる。

電解めっきの原理図

電解めっきの原理図


 電気分解との大きな違い は,電解液中の電流分布やイオン濃度の均質化を行う工夫があること,電気分解で紹介したような水素など気体発生がめっき膜の品質に影響するので,気体発生のない電解条件(めっき浴の組成など)を採用するなどである。さらに,めっきを施す材料の表面処理の品質がめっきの品質に大きく影響する。
 
 以下には,東京都鍍金工業組合のデーターベースを参考に,活性電極を用いるニッケルめっき,不活性電極を用いるクロムめっきをのめっき浴の組成やめっき条件を紹介する。

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 電解ニッケルめっき(ワット浴)

 めっき浴組成:硫酸ニッケル( 240 ~ 350 g/L ),塩化ニッケル( 30 ~ 60 g/L ),ホウ酸( 30 ~45 mg/L ),添加剤(光沢付与など,適量)
 めっき浴条件: pH 2.5 ~ 4.5 ,温度 40 ~ 65 ℃
 陽極材料:目的に応じて,次に示す材質の小片を布製の袋(アノード袋)に詰めたものを用いる。
    電解ニッケル:電解で得られた純度の高いニッケル板
    高硫黄ニッケル:硫黄 0.01 ~ 0.02 %を含有する電解ニッケル板
    カーボナイズド・ニッケル: 0.25 %程度の炭素を含むニッケル
 電圧・電流密度: 2 ~ 6 V ,2 ~ 7 A/dm2 ( 1 dm2 = 10-2 m2

 

 電解クロムめっき

 めっき浴組成:無水クロム酸( 247.5 g/L ),硫酸イオン( 2.5 g/L )
 めっき浴条件: pH ~ 1 ,温度 32 ~ 49 ℃
 陽極材料:鉛-スズ( 7 %)合金
 電圧・電流密度: 3 ~ 8 V ,2.5 ~ 20 A/dm2 ( 1 dm2 = 10-2 m2

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 【無電解めっき(化学めっき)】

 無電解めっき( electroless )は化学めっき( chemical plating )とも呼ばれ,外部からの電気を用いないで,金属塩溶液から 金属を対象物の表面に析出させる方法である。無電解めっきは,手法の違いで,置換めっきと化学還元めっきに分けられる。
 置換めっきは,めっき対象の金属より酸還元電位の大きい金属種のイオンを含む電解液に浸漬することで,対象物の金属の酸化反応と電解液中の金属イオンの還元反応を利用し,酸化還元電位の大きい金属を被覆する方法である。
 例えば,アルミニウムに無電解ニッケルめっきを行う場合に,アルミニウム表面の改質(不動態被膜の除去と密着性確保)を目的に,前処理として亜鉛イオンによる置換めっきが行われる。
 化学還元めっきとは,金属塩の水溶液に還元剤を投入し,対象物表面に金属を析出させる方法で,金属以外にプラスチックやセラミックスのような不導体にもめっき可能である。また,素材の形状や種類にかかわらず均一な厚みで欠陥の少ない皮膜が得られる特徴がある。
 めっきでは,前処理として,粗面化(表面に微細な凹凸を作る),親水性化を施す。対象物質が触媒作用を示す金属の場合はそのままで,触媒作用を示さない場合は,触媒となる物質(パラジウム金属核など)を表面に付着させる触媒化処理を行う。
 触媒の表面でめっき浴成分の酸化反応が起こり,この酸化反応で生成した電子で金属イオンの還元によるめっき被膜が生成する。

 

 【無電解めっきの例】

 ホスフィン酸(俗称次亜リン酸)の還元作用によるニッケルリン合金めっき
 例えば硫酸ニッケル( 0.08 mol/L ),ホスフィン酸ナトリウム(0.2 mol/L ),乳酸( 0.31 mol/L ),プロピオン酸( 0.031 mol/L )を含む溶液中では,触媒表面でホスフィン酸の酸化( 1 価 → 3 価)
      PH2O2- → PO2- + 2H+ + 2e-
が起き,同時にホスフィン酸の還元( 1 価 → 0 価)とニッケルイオンの還元( 2 価 → 0 価)
      PH2O2- + 2H+ + e- → P + 2H2O ,Ni2+ + 2e- → Ni
によりニッケルとリンの合金被膜が作られる。
 
 ヒドラジンの還元作用によるニッケルめっき
 ヒドラジンの還元反応( N2H4 → N2 + 4H+ + 4e- )を利用しためっき方法で,自触媒型と非自触媒型がある。 実用化されているめっきには,ニッケル,銅,スズ,金などがある。この方法の特徴は,めっき被膜の均一性が高いことである。
 
 ホルマリンの還元作用による銅めっき
 塩基性水溶液中でのホルマリン酸化と銅イオンの還元,
      HCHO + 2OH- → HCOO- + H2O + e-
      Cu2+ + 2e- → Cu
 
 金の化学めっき
 金を含む物質にシアン化カリウム水溶液を作用させて,シアン化金(Ⅰ)カリウムで,金を分離・回収する。
      4Au + 8KCN + O2 + 2H2O → 4KAu(CN)2 + 4KOH-
 これを,酸化反応と還元反応の半反応は次の通りである。
      O2 + 2H2O + 4e- → 4OH-
      4Au + 8KCN → 4K+ + 4Au(CN)2- + 4K+ + 4e-
 シアン化金(Ⅰ)カリウム溶液に,あらかじめ金属めっき(例えば,ニッケルめっきや亜鉛めっき)を施した対象物を入れると,酸化還元電位の違いによる置換めっきが起きる。
      2KAu(CN)2 + Ni → K2Ni(CN)4 + 2Au
 
 他に,シアン化合物を用いない方法として,亜硫酸金ナトリウム( Na3Au(SO3)2 )溶液を用いる方法,テトラクロリド金(Ⅲ)酸(塩化金酸: HAuCl4 )などを用いる方法などがある。

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