化 学 (化学反応)

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 ここでは,反応熱の計算に関連し,【熱化学方程式】【熱化学方程式の表記】【熱化学方程式を用いた計算の基本】に項目を分けて紹介する。

 【熱化学方程式】

 ここでは,【化学反応とは】で紹介した熱化学方程式を用いて未知の化学反応について,反応熱の予測事例を紹介する。
 まず,熱化学方程式の解釈には,その原理となるヘスの法則に関する理解が必要である。
 
 ヘスの法則( Hess's law )とは,熱力学第一法則が提唱される以前の 1840 年に,ロシアの化学者ジェルマン・アンリ・ヘスが化学反応に関して提唱した法則で,総熱量不変の法則( the law of constant heat summation )ともいわれる。
 ヘスの法則は,「化学反応での反応熱は,反応前後の状態のみで決まり,反応経路によらず一定である」や「化学反応のエンタルピー変化は,反応経路によらず一定」と表現される。

 【熱化学方程式の表記】

 化学反応は,熱力学第一法則エネルギー保存則に従うので,ヘスの法則で言うところの途中経過に関わらず最初の状態と最終状態が決まれば,化学反応で発生又は吸収される熱が決定される。
 化学反応の最初の状態と最終状態で出入りする熱を反応熱( heat of reaction )という。反応熱は,一般的に,注目する物質 1 mol 当たりの熱量で表すので,単位は kJ /mol となる。
 
 化学反応式に反応熱の情報を入れた式を熱化学方程式という。熱化学方程式では,【相転移(状態変化)】で紹介したように,状態(気体,液体,固体)変化に伴う蒸発熱(気化熱),凝縮熱,や昇華熱などの転移熱(潜熱)の扱いを明確にできるように,分子の状態を示す符号を付けなければならない。符合として,気体に( g ),液体に( l ),固体に( s を分子式の後に付けるのが一般的である。。
 
 熱化学方程式は,【化学反応とは】で紹介した 2 種の表記法がある。
 1 ) 化学化反応式と反応熱を併記する方式
 例えば,
     2H2 (g) + O2 (g) → 2H2O ( l ) ; ⊿ H = ‐285.83 kJ /mol
となる。
 なお,反応熱は 【エンタルピーとは】で紹介したように,系の内部エネルギー変化との関連が明確なモルエンタルピー変化量(単位: kJ /molで示される。
 2 ) 化学式の右辺に生成熱を加えて表す方式
 この場合は,左辺と右辺を(=)で結び,記述する熱量は,反応熱ではなく,化学式の熱量となるので,単位は kJ となる。
 例えば,
     2H2 (g) + O2 (g) = 2H2O ( l ) + 571.66 kJ
となる。
 
 なお,1 ) の方法は,エンタルピー変化量⊿ H の負は発熱を,正は吸熱を意味するが,2 ) の方法では反応式の熱量で,プラスは発熱を,マイナスが吸熱を意味するので,数値の意味合いが異なることに注意が必要である。。

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 【熱化学方程式を用いた計算の基本】

 未知の化学反応のエンタルピー変化は,ヘスの法則に基づき,出発状態と最終状態のみで熱収支が決定されるので,既知の化学反応を組み合わせて導くことが可能である。
 この時,反応物質と生成物質を含み,反応熱が既知のものを選択する。この時,既知の化学反応で含まれるその他の物質が熱化学方程式の加減算で消去できるように選択するのが肝心である。
 例えば,簡単な例として,
 A + B → C + D の反応熱を知りたい場合に,反応物質( A ,B )と生成物質( C ,D )を含み,反応熱既知の反応を選択する。
     A + X → Y + D ⊿ H = α  式 1 )
     B + Y → X + C ⊿ H = β  式 2 )
 この時,式 1 ) +式 2 ) により,A + B → C + D ⊿ H = ( α+β ) を得ることができる。
 もう少し複雑な例として,
 A + 5B → 3C + 4D の反応熱を知りたい場合に,次の式が既知であるとする。
     X + B → C   ⊿ H = α  式 ①
     Y + 1/2 B → D   ⊿ H = β  式 ②
     3X + 4Y → A   ⊿ H = γ  式 ③
 この時,①× 3 +②× 4 -③により,A + 5B → 3C + 4D ⊿ H = ( 3α+4β-γ) が得られる。

 留意事項

  計算に際しては,転移熱を忘れがちになるので注意が必要である。
  一般的な反応で,信頼性の高い標準生成熱(⊿f H0 )や標準燃焼熱(⊿c H0は,化学便覧などで入手可能である。
  標準状態( 25 ℃,1 気圧)以外の条件の反応熱を求める場合は補正が必要となる。

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