化 学 (化学反応)

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 ここでは,電気化学の基礎の電極反応に関連し,【電極電位の測定】【電極について】【基準電極とは】【電位の測定】【参考:ネルンストの式,関連電気化学用語】に項目を分けて紹介する。

 【電極電位の測定】

 前項では,電極反応の概要を紹介し,電極反応が進むか否かの判定に電極電位の把握が重要であることを紹介した。
 ここでは,電極電位の測定方法を紹介する。

 【電位について】

 電極電位( electrode potential )について,JIS K 0213 「分析化学用語(電気化学部門)」の解説では,
    a ) 電極が溶液相などのイオン伝導体相と接しているとき,後者の内部電位に対する前者の内部電位。
      注記:この値を直接実測することは不可能である。
    b ) 注目している電極系を,ある参照電極と組み合わせてガルバニ電池を構成させたとき,注目する電極に取り付けた
      金属端子の内部電位から,参照電極に取り付けた同種の金属端子の内部電位を差し引いた値。
と解説している。
 すなわち,電極電位の絶対値を測定することは不可能で,知ることができるのは,基準とした電極との電位差である。

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 【基準電極とは】

 原理的には,限定されることなく電極を選択できるが,だれがどこで用いても,同じ結果が得られる安定したものが望ましい。そこで,基準電極として次の条件を満たす電極が開発されている。
    ・可逆的反応でネルンストの式に従う。
    ・電位が安定で経時変化が無い。
    ・電流が流れても,その後直ちに平衡電位に回復する。
    ・温度サイクルに対し,電位ヒステリシスを示さない。
 これらを満たす代表的な基準電極(参照電極ともいう)には,水素電極( Pt /H2 /HCl ),飽和カロメル電極( Hg /Hg2Cl2 /飽和KCl ),銀・塩化銀電極( Ag /AgCl /飽和KCl )などがある。
 
 水素電極は,水素ガスの分圧 101.325 kPa ,水素イオンの活量 1 のとき,電極電位の基準として用いられる。全ての温度において,この電極の電位は IUPAC の規約によって 0 V と定められ,標準水素電極( standard hydrogen electrode , SHE , normal hydrogen electrode , NHE )という。
 
 25 ℃のときの飽和カロメル電極の電位(略号 SCE )は,0.2444 V vs. SHE で,銀・塩化銀電極の電位(略号 Ag /AgClは,0.196 V vs. SHE である。なお,vs SHE は,水素電極( 0 V )を基準とする電位を意味する。
 従って,標準水素電極を基準とする電位 E ( SHE ) は,飽和カロメル電極を用いて得られた電位との関係( 25 ℃)は次の通りである。
      E ( SHE ) = E ( SCE ) + 0.2444 = E ( Ag/AgCl ) + 0.196

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 【電位の測定】

 水素電極は,気体水素を用いる上に,取り扱い上の制約が多いので,一般的には,取り扱いが容易で電位の安定している銀-塩化銀電極(0.119 V vs. SHE),飽和カロメロ電極(0.244 V vs. SHE)などを参照電極として用いられる。
 電極電位は,参照電極をアノード反応の場とし,求めたい酸化還元反応(カソード反応)の電極(作用電極という)を配し,両電解質溶液をルギン管などの塩橋で結び電池を組み立てたときの電池の起電力から求まる。
 起電力は,原理図に示すように,直流電位差計を用いて,電流が流れない条件で電極間の電位差を求めることで得られる。

電極電位の測定原理

電極電位の測定原理

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 【参考】

 ● ネルンストの式
      酸化還元反応: ox + ze- ⇆ red
が平衡状態の時,基準電極(標準水素電極)との電位差 E (平衡電極電位)は,
      E = E0 + ( RT /zF ) ln ([ox] /[red] )
の関係にある。
 ここで,E0 :標準電極電位,R :気体定数( 8.314 JK-1mol-1 ),T :熱力学的温度( K ),z :酸化還元反応にて授受される電子数,F :ファラデー定数( 96,485 C mol-1 ),ln :自然対数,[ox] :酸化型の化合物の活量,[red] :還元型の化合物の活量である。なお,25 ℃の時は,RT /F = 0.0592 となる。
 ● ヒステリシス( hysteresis )
 その性質が,それ以前の履歴に依存するような系にみられる現象。強磁性体の磁化曲線に典型的な例が見られる。他に力学系の塑性変形,強誘電体の電気分極などにおいてもその存在が知られている。(科学大辞典)
 ● 参照電極,比較電極( reference electrode )
 作用電極又は指示電極と組み合わせて電位を測定又は制御するために基準とする電極。( JIS K 0213 )
 ● ルギン管( Luggin capillary )
 作用電極に接近して配置するために,先端を細いキャピラリーとした参照電極に接続された塩橋。( JIS K 0213 )
 ● 塩橋( salt bridge )
 二つの電解質溶液の混合を防止して相互作用を減少させ,電気的な接触を得るために用いる電解質の溶液又はゲル。( JIS K 0213 )
 ● 作用電極( working electrode )
 電極反応を行わせるための,少なくとも 2 本の電極のうち注目している反応が進行する電極。( JIS K 0213 ) ● 支持電解質,支持塩( supporting electrolyte )
 液体の導電性を高めるために添加する物質。 ( JIS K 0213 )
 ● 電気伝導率,導電率(溶液の)( electric conductivity , conductivity (of solution) )
 溶液がもつ抵抗率の逆数で,電極間距離を電極表面積と電気抵抗との積で除した値。SI 単位は S/m(ジーメンス/メートル)。 ( JIS K 0213 )
 注記 電気伝導率,電気伝導度及び測定セルのセル定数は,次の式で示す関係にある。
      L=J×LX
 ここに,L:測定試料の電気伝導率(S/m),J:セル定数( m-1 ),LX:測定した電気伝導度(S)

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