化 学 (化学反応)

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 ここでは,電気化学の基礎の電極反応に関連し,【電極反応とは】【電極反応の原理(電池)】【局部電池の形成】【電気回路の形成とは】【参考:支持電解質,電気伝導率】に項目を分けて紹介する。

 【電極反応とは】

 電気化学( electrochemistry )とは,前項までの【電池】,【電気分解】,及び【めっき】で紹介した電極表面で起きる化学的現象の研究分野をいう。
 電気化学を「化学変化に伴う電気的現象,又は電気の関与する化学変化について研究する化学の一部門。電池・電極反応・電離などの理論および応用を研究。」と紹介している。
 電極反応( electrode reaction )とは,広辞苑で「電極と電解質,又は電解質溶液との界面で進行する不均一系酸化還元反応。」と説明し,JIS K 0213 「分析化学用語(電気化学部門)」では,“電極と電解質溶液,溶融塩などのイオン伝導体との間で起こる少なくとも一つの電荷移動過程,及びそれに伴って電極近傍で起こる物質移動,化学反応などの全ての過程。狭義には,電荷移動過程だけをいう。”と解説している。
 
 すなわち,電極反応には,電極と電解質で構成される系,電極と電解質溶液で構成される 2 つの系があり。問題(研究対象)とするのは,電解質,又は電解質溶液全体で均一に進む現象ではなく,電極との界面で生じる酸化還元反応,すなわち不均一系の反応である。

 

 【電極反応の原理:電池】

 例として,下図にダニエル電池の原理図を示す。この電池では,負極の表面で起きる亜鉛の酸化反応(アノード反応)
      Zn → Zn2+ +2e-
により,亜鉛電極表面に電子が与えられる。
 このため,導線を通じて正極である銅表面の電子が押し出され,電極近傍の銅イオンが還元(カソード反応)される。
      Cu2+ +2e- → Cu

ダニエル電池の原理図

ダニエル電池の原理図


 これが連続的に起きることで,金属銅→導線→金属亜鉛→電解質溶液→金属銅の電気回路が形成される。
 反応の継続には,電解質溶液中に電流が流れる必要がある。電流は,正負のイオンの移動(微小移動)で保持される。
 【鉛蓄電池の充電】で紹介した硫酸イオン濃度低下で充電が必要になった場合のように,酸化還元反応に関わるイオンの量が少なくなった場合,反応速度式に影響する濃度に加えて,電解質溶液の導電性(導電率)の低下による電圧降下の影響が加わる。
 電圧降下の影響を排除するため,すなわち,電解質溶液の導電率を高くすることを目的とし,酸化還元反応に関わらない電解質を添加することがある。この電解質を支持電解質(支持塩)という。

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 【局部電池の形成】

 電極反応は,2種の金属で電池を構成しなくても,硫酸銅水溶液に亜鉛板を浸漬した場合にも起きる。この場合には,亜鉛板上に亜鉛が酸化される部分(アノード)と銅イオンの還元される部分(カソード)が形成され(局部電池の形成),亜鉛の溶解と銅の析出現象が起きる。これは,置換めっきの原理でもある。

局部電池の模式図

局部電池の模式図

 局部電池( local cell )とは,JIS K 0213 「分析化学用語(電気化学部門)」で“電解質溶液中に浸した金属単体,合金などに局部的な電位差が生じ,金属表面の局部で電流が流れることで形成される電池。金属腐食の原因の一つとなる。”と解説している。
 
 このケースでは,アノードの酸化反応で生成した電子は,亜鉛板に残され,亜鉛板のカソードとなる部分で電解液中の銅イオンの還元に消費され,亜鉛の表面に金属銅が沈着する。
 この反応は,電池の場合と同様に,カソード→電解液→アノード→金属亜鉛内部→カソードの間で電気回路が形成され電流が流れることで継続する。

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 【電気回路の形成とは】

 ここで,金属種と溶液種の組み合わせを変えて実験してみる。
 ・硫酸銅( CuSO4 )水溶液に,鉄( Fe )線を浸漬
 鉄が酸化され鉄イオンに,銅イオンが還元され鉄線の表面に銅が析出する。
      Fe → Fe2+ + 2e-  , Cu2+ + 2e- → Cu↓
 ・硝酸銀( AgNO3 )水溶液に,銅( Cu )線を浸漬
 銅が酸化され銅イオンに,銀イオンが還元され,銅線の表面に銀が析出する。
      Cu → Cu2+ + 2e-  , 2Ag+ + 2e- → 2Ag↓
 
 それでは,硫酸銅水溶液に,銀線を入れる実験では,次の反応が起きる?
      2Ag → 2Ag+ + 2e-  , Cu2+ + 2e- → Cu↓?
実験すると,何の変化も起きない。そこで,疑問となるのが,なぜ金属と金属イオンの組み合わせで反応の方向が決まるのかである。
 この答えは,先に示した電池や局部電池の図で分かるように,電気回路が形成される原因を知ればよい。
 言い換えれば,金属の酸化(負極,アノード)と金属イオンの還元(正極,カソード)の電位が負極 < 正極であれば電気回路が形成され反応は進むが,負極 ≧ 正極の場合には反応の進展は期待できないことが分かる。⇒次項の【電極電位の測定】

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 【参考】

 ● 支持電解質,支持塩( supporting electrolyte )
 液体の導電性を高めるために添加する物質。 ( JIS K 0213 )
 ● 電気伝導率,導電率(溶液の)( electric conductivity , conductivity (of solution) )
 溶液がもつ抵抗率の逆数で,電極間距離を電極表面積と電気抵抗との積で除した値。SI 単位は S/m(ジーメンス/メートル)。 ( JIS K 0213 )
 注記 電気伝導率,電気伝導度及び測定セルのセル定数は,次の式で示す関係にある。
      L=J×LX
 ここに,L:測定試料の電気伝導率(S/m),J:セル定数( m-1 ),LX:測定した電気伝導度(S)

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