化 学 (化学反応)

  ☆ “ホーム” ⇒ “生活の中の科学“ ⇒
 
 ここでは,酸・塩基反応に関連し,【強酸・強塩基の滴定】【 1 価の強酸と 1 価の強塩基の反応】【滴定曲線】【参考:滴定指示薬と変色域】に項目を分けて紹介する。

 【強酸・強塩基の滴定】

 酸・塩基反応の組み合わせには, 電離平衡の異なる 1 価の酸塩基,多価の酸塩基,強酸と強塩基,弱酸と強塩基,強塩基と弱塩基,弱酸と弱塩基など様々である。
 ここでは,最も単純な 1 価の強酸と 1 価の強塩基の組み合わせを紹介する。

 

 【 1価の強酸と1価の強塩基の反応】

 1 価の強酸(塩酸など)の水溶液を 1 価の強塩基(水酸化ナトリウムなど)の水溶液で滴定する場合を考える。
 1 価の強酸と強塩基は,解離定数が著しく大きいので,完全に電離しているものと仮定できる。
    強酸の水溶液 : HX + 2H2O → X- (aq) + H3O+
    強塩基の水溶液: YOH + 2H2O → Y+ (aq) + OH-
 この状態で,滴定の操作を続けた場合の酸,塩基の濃度変化,水溶液の pH 変化を考えることになる。水溶液の pH は,【強酸・強塩基の pH 】で紹介したように,水の自己解離定数,物質収支,電気的中性原理から求めることができる。
 
 ① 水の自己解離定
      2H2O ⇆ H3O+ + OH-   KW = [ H3O+ ] [ OH- ] = 1.0×10-14         式 1)
 
 ② 物質収支
 試験液中の酸はすべてイオン化しているので,イオンの量は変化しないが,滴定操作による試験液の容量増加を考慮したモル濃度 CA = [ X- ] の計算が必要である。
 そこで,滴定前の酸の初期モル濃度 CA0(知りたい値),容量 VA とし,塩基水溶液(滴定剤)の添加した容量を VB とすると,試験液中の酸のモル濃度は,
      CA = [ X- ] = CA0 VA /( VA + VB )                            式 2)
となる。
 一方,加えた塩基もすべて電離するので,試験液中の塩基イオンのモル濃度 [ Y+ ] は,滴定に用いる溶液(滴定剤)の初期モル濃度 CB0 (既知濃度)とすると,
      [ Y+ ] = CB0 VB / ( VA + VB )                              式 3)
となる。
 
 ③ 電気的中性原理
       [ H3O+ ] + [ Y+ ] = [ X- ] + [ OH- ]                            式 4)
 ④ 添加剤の量と pH の関係
 式 1)と式 4 )から [ H3O+ ] に関してまとめると
      KW = [ H3O+ ] [ OH- ] = [ H3O+ ] ・〔 [ H3O+ ] + [ Y+ ] - [ X- ] 〕
      ∴  [ H3O+ ] 2 + [ H3O+ ] ( [ Y+ ] - [ X- ] ) - KW = 0
となる。この二次方程式の正の解は,
       [ H3O+ ] = { - [ Y+ ] + [ X- ] +〔 ( [ Y+ ] - [ X- ] ) 2 + 4KW1/2 }/2        式 5)
となり,pH ( = - log [ H3O+ ] ) は,陽イオン濃度(式 3)),陰イオン濃度(式 2))の関数として得られる。

  ページの先頭へ

 【滴定曲線】

 濃度 CA0 ,CB0 ,及び容量 VA は,滴定操作を進めても変化しない値である。一方,滴定操作で変化する値は,VB となる。
 従って,横軸に添加した塩基の容量 ( VB ) ,縦軸に溶液の pH をとると,右図の曲線(滴定曲線)が得られる。
 滴定が進み,当量点 [ Y- ] = CA に近づくと pH の急激な変化が起こり,当量点のpHは,
      pH = - log10{ - [ Y+ ] + CA +〔 ( [ Y+ ] - CA ) 2 + 4KW1/2 }/2 = - log10 ( KW )1/2 = 7
となる。
 この時の,滴定剤の添加量と塩基のモル濃度から,未知の酸の初期濃度は,
      CA0 VA /( VA + VB ) = CB0 VB /( VA + VB ) ∴ CA0 = CB0 VB /VA
で求められる。
 下図の滴定曲線から分かるように,強酸を強塩基で滴定した場合には,当量点前後で,滴定剤 1 滴にも満たない量( 0.05 ml 以下)で急激なpH 変化を示す。

強酸水溶液( 0.1 mol /L ,100ml )を強塩基(0.1 mol /L)水溶液で滴定【滴定曲線】

滴定曲線
強酸水溶液( 0.1 mol /L ,100ml )を強塩基(0.1 mol /L)水溶液で滴定

 滴定曲線の pH が急変する領域内で色が変わる指示薬を選択することで,急激な pH 変化を検出できる。
 例えば,pH 8 以上で無色 → 赤色に変わるフェノールフタレンを指示薬として用いると,当量点を僅かに超えた時点が終点となる。一方,pH 4 以上で赤色 → 黄色 に変わるメチルレッドを用いると,当量点直前が終点となる。

 このように,厳密には,滴定の終点と当量点とは一致しない(終点誤差)ので,より正確な測定を行う場合は,用いた終点検出法に適した終点補正が必要になる。

  ページの先頭へ

 【参考】

    主な指示薬と変色域( pH 範囲)

主な指示薬と変色域( pH 範囲)

  ページの先頭へ