化 学 (化学反応)

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 ここでは,電気化学の基礎の電極反応に関連し,【電気分解とは】【鉛蓄電池の充電】【主な電気分解事例】【参考:関連電気化学用語】に項目を分けて紹介する。

 【電気分解とは】

 電気分解( Electrolysis )は,略して電解ともいわれ,二次電池(蓄電池)の充電操作で代表されるように,自然に放置したのでは進まない酸化還元反応を外部からエネルギー(電圧)を与えることで強制的に酸化還元反応を進めて,化合物を分解する方法である。
 なお,電気分解における電流量と物質量については,【起電力と電気量】での解説と同様に考えることができる。

 

 【鉛蓄電池の充電】

 鉛蓄電池は,前項で紹介したように,硫酸水溶液( 30 ~ 35%)を電解液として用い,二酸化鉛( PbO2 )の還元反応と金属鉛の酸化反応から電気エネルギーを得る装置である。電池の放電時には次の酸化還元反応が起こる。
            PbO2 + Pb + 2H2SO4 → 2PbSO4↓+ 2H2O
    酸化反応  Pb + SO42- → PbSO4↓+ 2e-
    還元反応  PbO2 + 4H+ + SO42- + 2e- → PbSO4↓+ 2H2O
 鉛電池は,二次電池なので,酸化反応と還元反応が進み,硫酸濃度が低下すると有効な電気量が得られなくなる。この場合には,充電操作で性能の回復が可能である。
 充電とは,外部の直流電源から電圧をかけ,放電で減少した電池活性物質を回復する操作で,放電時とは逆方向の酸化還元反応を強制的に実施することである。
            2PbSO4 + 2H2O → PbO2 + Pb + 2H2SO4
    酸化反応  PbSO4 + 2H2O → PbO2↓+ 4H+ + SO42- + 2e-
    還元反応  PbSO4 + 2e- → Pb↓+ SO42-
 すなわち,外部電源の正極に結んだ電極で酸化反応により,硫酸鉛を酸化鉛と硫酸に,負極に結んだ電極で還元反応により,硫酸鉛を金属鉛と硫酸イオンに分解する反応を起こしている。
 充電時の様子を模式図に示す。電池の電極は,JIS K 0213 の定義に従うと,酸化反応の起きる酸化鉛の電極がアノードとなる。アノードから電子が外部回路に向かって流出するので負極である。放電時とは異なり,電気活性物質( PbSO4 )から電子を受け取るので陽極となる。
 一方,還元反応の生じる金属鉛の電極がカソードとなり,外部回路から電子が流入するので正極であり,電気活性物質( PbSO4 )に電子を与えているので陰極となる。
 すなわち,電気分解では,外部の直流電源の正極と結んだ電極(陽極)で酸化反応が起こり,負極と結んだ電極(陰極)で還元反応が起こる。

鉛電池・充電(電気分解)【模式図】

鉛電池・充電(電気分解)【模式図】

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 【主な電気分解事例】

 電気分解には,鉛電池の例のように,反応に直接関与する電極(活性電極,可溶性電極ともいう)を用いる場合,電子授受の場を提供するのみで,自身が反応に関与しない白金や炭素(黒鉛)でできた電極(不活性電極)を用いる場合に分けられる。
 活性電極は,別の項で紹介する“電解めっき”など,陽極にめっきしたい物質を電極として用い,生成したイオン化を陰極表面で還元し付着させる場合などに活用される。
 不活性電極は,次の例に示すように,溶液成分の電気分解を目的にする場合に,その成分との反応が起きないように,陽極に適切な材料を選択する。一般的には,炭素(黒鉛)電極や白金国電極が用いられる。
 
 塩化銅(Ⅱ)水溶液の電気分解
    陽極(酸化反応): 2Cl- → Cl2↑+ 2e-
    陰極(還元反応): Cu2+ + 2e- → Cu↓
 陽極(炭素電極)から塩素ガスが発生し,陰極上に金属銅が析出する。
 
 硫酸銅(Ⅱ)水溶液の電気分解
    陽極(酸化反応): 2H2O → O2↑+ 4H+ + 4e-
    陰極(還元反応): 2Cu2+ + 4e- → 2Cu↓
 陽極(白金電極)から酸素ガスが発生し,陰極上に金属銅が析出する。
 疑問:陰イオンが塩化物イオンの場合と硫酸イオンの場合で,陰極から発生するガスが異なるのか?⇒ 塩化物イオン,硫酸イオン,水素の酸化還元の違い
 
 塩化ナトリウム水溶液の電気分解
    陽極(酸化反応): 2Cl- → Cl2↑+ 2e-
    陰極(還元反応): 2H2O + 2e- → H2↑+ 2OH-
 陽極(炭素電極)から塩素ガスが発生し,陰極から水素ガスが発生する。
 
 硫酸ナトリウム水溶液の電気分解(水の電気分解)
    陽極(酸化反応): 2H2O → O2↑+ 4H+ + 4e-
    陰極(還元反応): 4H2O + 4e- → 2H2↑+ 4OH-
 陽極(白金電極)から酸素ガスが発生し,陰極から水素ガスが発生する。
 疑問:陰極でナトリウムイオンが還元されず,水素が発生するのはなぜか?⇒ 【標準酸化還元電位】で紹介するように,ナトリウムは水分子中の水素よりイオン化傾向が大きいためである。
 原理的には,標準電極電位が水素の電位より負のリチウム,カリウム,カルシウム,マグネシウム,アルミニウムなどのイオンを含む水溶液の電気分解では,金属のイオンは還元されず,水の還元で水素が発生する。

 

 【参考】

 JIS K 0213 「分析化学用語(電気化学部門)」
 活性電極( active electrode )
 電極反応に直接関与して溶解又は析出するような電極。
 不活性電極( inert electrode )
 電極反応において,電子の授受だけに関与し,電極自身は化学変化を起こさない電極。
 厳密な意味ではこのようなものは実在しない。
 白金黒電極,白金黒付き白金電極( platinum black electrode , platinized platinum electrode )
 白金上に更に白金をめっきした電極。

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