化 学 (化学反応)

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 ここでは,酸化還元反応に関連し,【酸化還元滴定】【化学的酸素要求量】【過マンガン酸カリウムによる酸化還元滴定方法】に項目を分けて紹介する。

 【酸化還元滴定】

 酸化還元滴定( oxidation-reduction titration ,redox titration )とは,【酸塩基滴定】で紹介した容量分析の一手法で,酸化還元反応を積極的に利用した滴定法である。
 最も身近な実用例に水質分析がある。酸化還元滴定を活用する水質項目には,酸化剤として過マンガン酸カリウムや二クロム酸カリウムを用いた化学的酸素要求量( COD )測定,よう素滴定法を用いた溶存酸素量,残留塩素量,よう化物イオン量,臭化物イオン量,硫化物イオン量,亜硫酸イオン量の分析,硫酸ヒドラジニウム還元法,又は銅・カドミウムカラム還元法を用いた全窒素量分析がある。
 ここでは,過マンガン酸カリウムを用いた化学的酸素要求量( CODMn )測定法を紹介する。

 

 【化学的酸素要求量】

 化学的酸素要求量( Chemical Oxygen Demand )とは,水中の被酸化性物質を酸化するために必要とする酸化剤の量から導かれる酸素量で示したもので,水質の指標の一つで,酸素消費量とも呼ばれる。
 類似の指標に生物化学的酸素要求量( BOD )がある。CODは有機物と無機物の両方の酸化に対する酸素要求量を,BODは生物分解性の有機物の酸化に対する酸素要求量を示す。
 
 COD には,用いる酸化剤の種類や試験条件で複数種あるが,ここでは,最も一般的な 100 ℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量( CODMn測定方法を紹介する。
 この方法は,比較的酸化力が弱く,生物分解性有機物の酸化( BOD )に近い方法とされている。

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 【過マンガン酸カリウムによる酸化還元滴定方法】

 試験概要
 試料を硫酸酸性とし,酸化剤として過マンガン酸カリウムを加え,沸騰水浴中で 30 分間反応させ,そのとき消費した過マンガン酸の量を求め,相当する酸素の量( O mg/L )で表す。
 
 試薬
 1 ) 水
 JIS K 0557「用水・排水に用いる水」 に規定する最高品質 A4 の水
 2 ) 硫酸 ( 1 + 2 ) 水
 2 容をビーカーにとり,これをかき混ぜながら JIS K 8951 「硫酸(試薬)」に規定する硫酸 1 容を徐々に加えた後,うすい紅色を呈するまで過マンガン酸カリウム溶液( 3 g /L )を加える。
 3 ) 硝酸銀溶液 ( 200 g/L )
 JIS K 8550 「硝酸銀(試薬)」に規定する硝酸銀 20 g を水に溶かして 100 mL とする。着色ガラス瓶に入れて保存(光遮断のため)する。
 4 ) しゅう酸ナトリウム溶液 ( 12.5 mmol /L )
 JIS K 8528 「しゅう酸ナトリウム(試薬)」に規定するしゅう酸ナトリウム 1.8 g を水に溶かして 1 L とする。ただし,5 ) の 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液のモル濃度の 2.5 倍より僅かに高いモル濃度のものを調製する。
 5 ) 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液
 JIS K 8247 「過マンガン酸カリウム(試薬)」に規定する過マンガン酸カリウム 0.8 g を平底フラスコにとり,水 1,050 ~ 1,100 mL を加えて溶かす。これを 1 ~ 2 時間静かに煮沸した後,一夜放置する。
 上澄み液をガラスろ過器 G4 (細孔の大きさ 5 ~ 10 μm )を用いてろ過する。ろ過前後の水洗はしない。
 ろ液は,約 30 分間 水蒸気洗浄した着色ガラス瓶に入れて保存する。
 
 標定
 JIS K 8005 「容量分析用標準物質」に規定するしゅう酸ナトリウムをあらかじめ 200 ℃で約 1 時間加熱し,デシケーター中で放冷する。その約 0.42 g を 1 mg の桁まではかりとり,少量の水に溶かして,全量フラスコ 250 mL に移し入れ,水を標線まで加える。
 この溶液 25 mL を三角フラスコ 300 mL にとり,水で約 100 mL とし,硫酸( 1 + 2 ) 10 mL を加える。液温 25 ~ 30 ℃で,ビュレットでこの 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液約 22 mL を一度に加え,紅色が消えるまで放置する。
 次に,50 ~ 60 ℃に加熱し,この 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液で滴定する。終点は微紅色を約 30 秒間保つときとする。
 次の式によって,5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液のファクター( f )を算出する。
      f = a × b /100 × 25 /250 × 1 /( 0.001675 X )
 ここに,a :しゅう酸ナトリウムの量( g ),b :しゅう酸ナトリウムの純度(%),X :滴定に要した 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液( mL ), 0.001675 : 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液 1 mL のしゅう酸ナトリウム相当量( g )
 
 備考:酸性環境下での過マンガン酸カリウムとしゅう酸の半反応式は次の通りである。
    過マンガン酸カリウム: KMnO4 + 8H+ + 5e- → K+ + Mn2+ + 4H2O
    しゅう酸: H2C2O4 → 2CO2 + 2H+ + 2e-
 
 操作
 1 ) 試料の適量を三角フラスコ 300 mL にとり,水を加えて 100 mL とし,硫酸( 1 + 2 ) 10 mL を加え,振り混ぜながら硝酸銀溶液( 200 g/L ) 5 mL を加える。
 2 ) 5 mmol/L 過マンガン酸カリウム溶液 10 mL を加えて振り混ぜ,直ちに沸騰水浴中に入れ,30 分間加熱する。
 3 ) 水浴から取り出し,しゅう酸ナトリウム溶液( 12.5 mmol /L ) 10 mL を加えて振り混ぜ,よく反応させる。
 4 ) 液温を 50 ~ 60 ℃で,5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液で僅かに赤い色を呈するまで滴定する。
 5 ) 別に,水 100 mL を三角フラスコ 300 mL にとり,1 ) ~ 4 ) の操作を行う。
 6 ) 次の式によって CODMn ( O mg /L )を算出する。
      CODMn = ( a – b ) × f × 1000 /V × 0.2
 ここに,CODMn : 100 ℃における過マンガン酸カリウムによる酸素消費量( O mg /L ),a : 滴定に要した 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液( mL ),b :水を用いた試験の滴定に要した 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液( mL ),f : 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液のファクター,V :試料( mL ), 0.2 : 5 mmol /L 過マンガン酸カリウム溶液 1 mL の酸素相当量( mg )

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