防食概論:防食の基礎
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環境遮断(金属被覆)
電気めっきとは
電気めっき(electroplating , electroplated coating)は,防食に限らず,装飾目的,硬さ(耐傷つき)の向上,耐摩耗性の向上,電気特性の改善,はんだ等との付着性の改善など様々な目的で利用される。このため,電気めっきは機能めっき(plating for functional use)などとも呼ばれる。
電気めっきの原理
電気めっきの原理は,電解液中での金属の電解と析出を行う電気化学反応であり,腐食原理である電池作用と非常に似ている。
下図には,【腐食の基礎】で腐食の原理を解説するのに用いたダニエル電池(Daniel cell)と鋼に亜鉛めっきする際の電気めっき原理図を示す。
一方,亜鉛電極表面では,鋼電極表面で消費された電子に見合う量の亜鉛の酸化が起き,電子は直流電源に向い,亜鉛イオンは溶液中に移動する。これにより,亜鉛電極の消耗量と同じ量の亜鉛が鋼電極表面に付着する。
【参考】
図で分かるように,電池と電気めっきでは,金属板のアノードとカソードの関係は同じであるが,電池の負荷と電気めっきの直流電源のプラス極(正極)とマイナス極(負極)の関係が反対になっている。
この関係を混同して記述されることがあるので注意が必要である。腐食関係で,正極(プラス極),負極(マイナス極)の用語を用いる場合には,関係を明確にしないと誤解を与えるので,陰極・陽極やアノード・カソードで表現するのが望ましい。
電極(electrode)
電気化学では,広義には金属などの電子伝導体の相と電解質溶液などのイオン伝導体の相とを含む少なくとも二つの相が直列に接触している系(電極系ともいう)。狭義にはイオン伝導体に接触している電子伝導体の相。【JIS K 0213「分析化学用語(電気化学部門)」】
電極を示す名称には,カソード・アノード,正極(+極)・負極(-極),陰極・陽極などの名称が使われている。特に,陰極・陽極の用語は,技術分野で示す意味が異なり,混乱した使用例が見られるので,注意が必要である。
なお,カソード(cathode)は還元反応を生じる電極,アノード(anode)は酸化反応を生じる電極をいう。
アノード(anode)
電流が電極から電解質に向かって流れ,酸化反応が行われる電極。陽極ともいう。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
カソード(cathode)
電流が電解質から電極に向かって流れ,還元反応が行われる電極。陰極ともいう。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
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