防食概論:防食の基礎

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          【構造対策とは】

構造例

構造例

 大気腐食(atmospheric corrosion)は,基本的には,構造物の架設地周辺の環境に支配される。従って,その環境を人為的に制御することは不可能である。
 しかし,構造物の構造に密封,又は疑似密封となる部位がある場合には,その内部の環境を人為的に制御できる。
 構造面で密封,又は疑似密封状態となるのは,箱型に接合された構造の内部(密封又は疑似密封),周りを覆われたケーブル内部(疑似密封),気体や液体の貯蔵設備(密封),気体や水の循環設備(疑似密封)などである。
 
 箱型構造(箱桁,橋脚,船舶内部など)
 小型の構造では,全溶接を行うことで内部を完全な密封状態にできる。しかし,中・大型構造では,完全密封にすることで,外気温等の温度変化,圧力変化による寸法・形状の変化などの不具合が生じる。又,内部の変状を検査ができない,補修作業ができないなどの不都合も大きくなる。そこで,この種の構造では,圧力調整用の小孔を設けたり,点検・補修用の通路を設けている。
 このため,完全密封構造にできず,風雨の自由な出入りはないが,温度変化による空気の出入りのある疑似密封状態となる。疑似密封状態では,空気の出入りによる内部の結露(dew formation)や高湿度状態による腐食が懸念される。
 
 ケーブル(cable)
 斜張橋や吊り橋では,荷重をケーブルで支持している。一般的には,ケーブルの防食を目的に,防せいグリースや塗料の塗布などの対策が施されている。しかし,規模が大きい場合には,ケーブル自体が大きく,表面からのグリースや塗料の注入では,内部まで完全に充填することができない。そこで,ケーブルの外表面にカバーを設けることで,内部を密封空間にすることで防食を図っている。しかし,長大橋のように規模が著しく大きい場合には,箱型構造と同様に,完全密封空間にすることが困難である。
 
 環境制御の考え方
 完全密封空間は,腐食に影響する環境因子の出入りがないため,適切な施工で半永久的な防食が可能である。
 疑似密封空間では,何らかの防食対策が必要になる。防食対策の選択肢の一つに,環境因子である水分量や酸素濃度の制御がある。
 
 【参考】
 大気腐食(atmospheric corrosion)
 読み「たいきふしょく」,大気中で起きる金属の腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 大気中の水(水蒸気,降雨)で金属表面に薄い水膜が形成し,水膜に溶け込んだ酸素の還元で腐食反応が進む。
 大気中では,乾食に分類されるかわき大気腐食,湿食に分類される薄い水膜(大気中の水蒸気の付着)による湿り大気腐食,厚い水膜(結露や降雨)による濡れ大気腐食に分けられる。
 最も身近に観察されるのが濡れ大気腐食で,水膜に溶け込んだ酸素の還元で腐食反応が進む。工場や海に近い環境など大気に含まれる汚染物質,特に水に溶けてイオンとなる電解質が大きい環境では実用上で不都合な速さで腐食が進行することが知られている。
 腐食環境(corrosive environment)
 用語「腐食環境」の明確な定義はないが,一般的には,金属やコンクリートなどの材料が,腐食現象により期待耐用期間より早い時期に,実用に耐えない状態になるほど腐食性の高い環境を意味して用いることが多い。
 JIS Z 2381「大気暴露試験方法通則:General requirements for atmospheric exposure test」では,暴露試験場の環境区分を明確にするため,地域的な気象の特徴による気候区分,大気の汚染状況による大気汚染区分,海塩粒子の飛来量による海塩区分の考え方を附属書(参考)として紹介している。
 大気環境の腐食性を評価する方法として,実用金属の腐食に影響する環境汚染因子の二酸化硫黄(硫黄酸化物),大気浮遊塩分(海塩粒子)の付着度を測定に関し JIS Z 2382「大気環境の腐食性を評価するための環境汚染因子の測定:Determination of pollution for evaluation of corrosivity of atmospheres」が,環境の腐食性を金属の腐食度から評価できるように JIS Z 2383「大気環境の腐食性を評価するための標準金属試験片及びその腐食度の測定方法:Standard specimens of metals and alloys, Determination of corrosion rate ofstandard specimens for the evaluation of corrosivity of atmospheres」が規定されている。
 環境因子(environmental factor)
 一般的には,生物の生存,生活に影響する環境の条件をいう。腐食工学では,鋼などの金属の腐食に影響する環境条件(environmental conditions)をいう。例えば,大気腐食(屋外)では,気温,湿度,降水,海塩粒子,二酸化硫黄などが環境因子として取り上げられる。
 JIS Z 2381 「大気暴露試験方法通則:General requirements for atmospheric exposure test」では,環境因子を“暴露試験場における気象因子及び大気汚染因子の総称。”,気象因子を“気象観測の対象となる気温,湿度,太陽放射エネルギー量,降水量,風向,風速などの因子。”,大気汚染因子を“人為的・自然的に発生する硫黄酸化物,窒素酸化物,硫化水素,海塩粒子などの暴露試験に影響を及ぼす因子。”と定義している。

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