防食概論防食の基礎

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 防食設計と分類

 防食設計(維持管理条件)

 架設環境の腐食性と期待耐久性の設定に応じて,構造物の維持管理計画に適した防食対策(機能,施工性,経済性)を選定しなければならない。更に,地球環境,地域環境や作業者の健康などに対する配慮も求められる。
 
 施工性(workability , finish ability)
 施工性の読みは「せこうせい,しこうせい」で,施工(せこう,しこう;construction , execution , operation , application)のし易さをいう。施工とは,設計図書に基づき,建築物や工作物の工事を実施することを指す。
 新設時の構造物設計段階において,新設時の施工性のみならず,供用後の点検作業や補修作業での施工性を考慮して,防食対策を設計するように心がける。
 新設時は製作工場内で最適化された環境と作業体制下での作業が可能である。一方,維持管理段階の点検や補修作業は現地環境で,運用しながらの作業となる。
 点検や補修作業時の足場,点検,補修に使用する機器類の搬入・設置などの施工条件に適した防食対策を検討する。さらに,構造物供用中に防食法の変更・更新が必要になった場合の難易(除去・剥離性など)も事前に検討しておくのが望ましい。
 
 経済性
 一般的に,経済性比較を行う場合に,防食対策の初期コストと機能が失われるまでの耐久年のみが考慮される。しかし,実際には,長期耐久が期待できる防食対策であっても,機能が失われるまでに複数回の点検や軽微な補修が必要となるケースが多い。
 防食対策の経費比較を行う際には,点検や補修作業の難易など過去の事例を参考にするよう心がけるべきである。
 このためには,設計グループと維持管理グループとの意思疎通が肝要である。
 
 環境影響
 防食対策に限らず,経済活動において,地球環境地域環境,及び作業者の健康に配慮することが求められている。
 このためには,使用する材料や工法の環境影響について,現行の法や条例に適合することは当然として,将来の動向をも見据えた事前把握が必要である。
 検討対象となる項目として,例えば,大気汚染物質,水質汚染物質,土壌汚染物質,健康影響物質,廃棄物処理や騒音などがある。

 地球環境問題とは】

 一般的な地球環境問題は,1974年にオゾン層破壊の警告が発せられたことに始まる。その後,1980年代には地球温暖化,酸性雨,熱帯林の減少,生物多様性の減少,砂漠化,海洋汚染,途上国の公害問題,有害廃棄物処理などの国境を越えた広域の問題として採り上げられるようになった。
 国際的な動向としては,リオデジャネイロでの地球サミットの宣言を受けて採択された行動計画「アジェンダ21」,化学会社を中心とした活動の「レスポンシブル・ケア」及び国際標準化機構(ISO)による規格「ISO 14000シリーズ」等が主導的役割を果たしている。国内的には大気汚染防止法,悪臭防止法,PRTR(環境汚染物質排出・移動登録制度)等が関連する。

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