防食概論防食の基礎

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食・防食とは“ ⇒ “防食概論(防食の基礎)” ⇒

 腐食試験と評価法

 大気暴露試験の実施要領

 暴露試験片の形状,寸法

 金属関係
  JIS H 8502 (めっき):幅 70mm×長さ 150mm又は幅 100mm×長さ 100mm
  JIS Z 0304 (さび止め処理金属):幅 50mm×長さ 100mm以上,辺の長さは 50mmの倍数
  JIS Z 2383 (標準金属試験片):幅 100mm×長さ 150mm(最低幅 50mm×長さ 100mm),厚さ 1~6mm
  ISO 8565(金属材料):幅 100mm×長さ 150mm,厚さ 1~3mm
  ISO 8565(めっき):表面積 50cm2 ( 5cm×10cm)以上
 塗装関係
  JIS K 5600-7-6:面積 0.03m2 以上,いずれの辺も 100mm 以上

 暴露試験面の方位及び角度

 紫外線,風(飛来物)の影響を受ける材料では,方向と角度が重要な因子となる。
  1. 暴露試験面の方位は,赤道面とする。
  2. 暴露試験面の角度は,水平面から 45°(許容される場合は 30°)とし,試験面を天向きに暴露する。ただし,暴露する試料の材料又は製品規格に規定がある場合は,その規定による。
  3. 遮へい暴露試験における試験面の角度は,水平面に対して 0°,30°,45°,60°又は 90°のいずれかとする。ただし,別に規定又は受渡当事者間の協定がある場合は,それによる。
  4. 太陽放射光の影響を大きく受けるプラスチックの場合には,年間に最も多く太陽放射光を受ける角度とし,水平面からの暴露試験面の角度は,暴露試験場の緯度マイナス 10°の角度にすることが望ましい。
  5. 金属材料の場合には,腐食に大きな影響を及ぼす大気汚染因子の発生源に試験面を向けて暴露試験を行ってもよい。
  6. 建築材料の場合には,実際に使用される状態を模擬した方法で暴露試験を行ってもよい。

 暴露試験の開始時期

 暴露試験期間が 1 年未満の試験結果は,暴露試験を開始した季節に依存する。暴露試験期間が長い場合は,季節による試料の化学的性質,物理的性質及び性能への影響は平均化されるが,暴露試験を開始した季節によって,その結果は異なることがある。
 一般的に,暴露試験の開始時期は,次による。
a) 暴露試験期間が 1 年未満の場合で,かつ試料の化学的性質,物理的性質及び性能の経時変化を把握できるものについては,通常,暴露試験開始の時期を次の 2 期に分けて実施する。
  1) 春を開始時期とする場合:3 月又は 4 月。
  2) 秋を開始時期とする場合:9 月又は 10 月。
b) 暴露試験期間が 1 年以上の場合は,暴露試験の開始時期を特に定めない。ただし,暴露試験期間が 2年未満で,かつ暴露試験の開始時期が異なる場合には,その暴露試験の結果は,同一暴露水準として取扱わない

 環境因子のモニタリング

 暴露試験に影響する気象因子(meteorological factors)及び大気汚染因子(environmental pollution factors)のすべての環境因子(environmental factor)を測定し,記録することが望ましい。暴露試験結果を評価するためには,暴露試験場の気象状況大気汚染状況などを詳細に分析する必要がある。
     環境因子の測定 は,次による。
  1. 環境因子の測定は,暴露試験場で行う。ただし,暴露試験場で測定できない気象因子については,最も近接した気象官署の観測資料によってもよい。その場合は,暴露試験場から気象官署までの距離及び方角を明記する。
  2. 環境因子の測定は,暴露試験期間の全期間を通じて行うことが望ましい。
  3. 環境因子の測定に用いる装置及び機器類の設置場所は,暴露試験装置の設置場所の近くとし,かつ,暴露試験場を代表する環境因子の測定に適した場所とする。
  4. 気象因子としての気温及び相対湿度を測定する機器の受感部は,百葉箱又はこれに準じる装置内に設置する。
  5. 暴露試験の目的によって重要でない因子については,当該項目の測定を省略してもよい。

 環境因子の測定項目

 気象因子:気温,相対湿度,絶対湿度,日照時間,太陽放射光の露光量,降水量,降水時間,結露時間,濡れ時間,風向,風速
 環境汚染因子:硫黄酸化物,海塩粒子付着量
 測定が望ましい項目:オゾン濃度(JIS B 7957),二酸化硫黄濃度(JIS B 7952),硫化水素濃度(JIS K 0108),二酸化窒素濃度(JIS B 7953),紫外線量(JIS K 7363)
 必要に応じて測定する項目:ブラックパネル温度(JIS B 7753 の 5.5(2)ブラックパネル温度計),ホワイトパネル温度,試料の表面温度

 日本国内で,これらの規定に従った暴露場の例として,(財)日本ウェザリングテストセンターの銚子暴露場,宮古島暴露場が知られている。  

  ページのトップへ