化 学 (物質の状態と変化)

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 【相転移(状態変化)】

 気体,液体,及び固体(三態)は,温度や圧力を変えることで,物質の状態は相互に変化(相転移)する。相転移の現象は,固体・液体間,固体・気体間,液体・気体間で,次のように分類される。
 
 固体・液体間の変化
 粒子(原子,分子)で構成される固体は,粒子間の距離が小さく,引力(ファンデルワールス力など)で規則正しく配列している。
 固体を熱することで,粒子の熱振動が激しくなり,固体表面の粒子の一部が引力に抗して配列の崩れから流動を開始(液体に変わる)する。
 粒子の配列が徐々に崩れてゆくが,外から与えられたエネルギーがこのために消費されるので,固体がすべて液体に変わるまでの温度はほぼ一定に保たれる。
 液体から熱を奪う(冷やす)場合は,逆の過程を経て固体に変わる。
 固体⇒液体
 固体が液体に変わる現象を融解といい,変化している間は,熱を与えても温度が一定に保たれ,この温度を融点という。固体が液体に変化するときに吸収する熱エネルギーを融解熱という。液体状態にある相を液相( liquid phase )という。
 液体⇒固体
 液体から固体に変わる現象を凝固,又は固化といい,変化している間は,熱を奪っても温度が一定に保たれ,この温度を凝固点という。通常は融点と同じである。一般的に,水の場合は氷結という。温度変化のみで凝固する場合を特に凍結ともいう。凝固には,融解熱と同じ量の熱エネルギー(凝固熱)を放出する。固体状態にある相を固相( solid phase )という。
 
 固体・気体間の変化
 固体を熱することで,粒子の熱振動が激しくなる。融解の場合と異なり,表面近くの一部の粒子が引力を振り切り,直接上部の空間に飛び出す(気体に変わる)。気体から熱を奪うことで固体に直接変化する現象もある。これらの液体を経ずに固体・気体間を直接相転移する現象は,粒子間の引力が小さい物質で起こりやすい。
 この現象は,三態の境界線を圧力と温度で示した物質状態図(相図)で,圧力と温度の交点が三重点より下になった時に起きる。相図については【参考】に紹介する。
 固体⇒気体
 固体が液体を経ずに気体に変わる現象を昇華,又は気化といい,変化している間は,熱を与えても温度が一定に保たれ,この温度を昇華点という。昇華のときに吸収するエネルギー(潜熱)を昇華熱という。気体状態にある相を気相( gaseous phase )という。
 大気圧でこの現象が観察される物質には,よう素,ドライアイス(二酸化炭素),防虫剤に用いられるナフタレンや樟脳(しょうのう),トイレ消臭剤ブロックに用いられるパラジクロロベンゼンなどがある。なお,フリーズドドライは,氷の昇華現象を利用した技術である。
 気体⇒固体
 固体から気体への変化と逆の現象も昇華といわれる。固体からの昇華と区別したい場合には,凝固や凝結と呼ばれることがある。
 
 液体・気体間の変化
 液体に熱を与えることで,粒子の熱運動が激しくなる。運動エネルギーの大きい粒子が粒子間の引力を振り切り,液体表面(又は界面)から空間に飛び出す(気体に変わる)。
 液体の温度が高い場合には,粒子間の引力を振り切れる粒子の数が増え,激しい蒸発が起き,ついに蒸気圧が環境の気圧と等しくなると,液体表面以外に容器壁との界面などからの蒸発(沸騰)に至る。
 気体から熱を奪うことで,粒子の運動エネルギーが次第に小さくなり,粒子同士の衝突や液体表面への衝突時に,粒子間の引力に捕えられ液体になる。
 液体⇒気体
 液体が気体に変わる現象を蒸発,又は気化という。熱を与え続けると,蒸発と共に液体の温度も上昇するが,ある温度に至ると熱を与えても温度の上昇が止まり,容器界面などからも激しく蒸発し始める。この温度を沸点という。蒸発するときに吸収するエネルギーを蒸発熱,又は気化熱という。
 気体⇒液体
 気体が液体に変わる現象を凝縮,又は液化という。他に,凝結や結露などの用語も用いられる。凝縮する際に放出されるエネルギーを凝縮熱という。
 
 圧力が一定の場合に,相転移進行中の温度が一定のままで,熱の放出,又は吸収が見られる。この場合の熱を転移熱( heat of transition ),又は潜熱( latent heat )という。
 
 【参考】
 ● 相図とは
 相図( phase diagram )とは,物質などのと熱力学的な状態量(温度,圧力など)との関係を表したもので,状態図ともいわれる。相図には,合金や化合物の温度,圧力,組成に関する相図,磁気構造と温度との関係を示す相図など様々ある。
 物質の三態と温度,圧力の相図では,液相と固相の境界を融解曲線,気相と固相の境界を昇華圧曲線(昇華曲線),気相と液相の境界を蒸気圧曲線(蒸発曲線)という。

物質の相図(模式図)

物質の相図(模式図)

 三つの曲線が交わる点を三重点という。蒸気圧曲線が高温高圧側で途切れているには,それ以上の高温高圧では超臨界流体になる臨界点を意味する。 超臨界流体( supercritical fluid )とは,気体の拡散性と液体の溶解性を併せ持ち,気体と液体の区別がつかない状態をいう。
 一般的に,多くの物質の融解曲線は,圧力の増加と共に固体の融点が高くなる。しかし,水素結合で凝集する水やアンモニアなどの一部の物質の固体は,圧力の増加で融点が低くなるなど特異な現象を示す。【⇒ スケートで良く滑走するのは,スケート刃の圧力で氷が溶け,摩擦力が低下するため。】

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