物 理 古典力学の基礎(惑星の運動)

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 ここでは,最も身近な惑星の運動に関連し, 【楕円軌道】【ケプラーの法則】【万有引力】 に項目を分けて紹介する。

【楕円軌道】

 楕円(ellipse)は,円錐曲線(conic curve)の一種である。
 円錐曲線とは,円錐を切断したときの断面として得られる曲線で,円錐の底面に並行な平面で切断した(circle),底面に並行でない平面で切断した楕円(ellipse),円錐の母線に平行な平面で切断した放物線(parabola),母線に並行でない平面で切断した双曲線(hyperbola)に分けられる。
 
 円錐曲線を描く場合は,直線(準線と直線上に含まれない点 F (焦点を定め,準線上の点 H を動かしながら,点 H から準線に垂直な直線上に,PF/ PH =一定( e > 0 )となる点 P の集合として得られる。
 
 PF と PH の比 e 離心率(eccentricity)といい,円錐曲線の特徴を示す数値のひとつである。離心率 e の値により,描かれる円錐曲線の概形が楕円( 0 < e < 1 ),放物線( e = 1 ),双曲線( e > 1 )となる。
 なお,この方法では,を描くことができないが,準線と焦点を無限に離したと仮定した時に円になると考え,数学的には,便宜上 e = 0 のとき円が描かれるとする。
 既に描かれた楕円の離心率は,図のように,焦点からの近点,遠点,又は楕円の長半径,短半径から求められる。

楕円の特徴

楕円の特徴

 楕円軌道(elliptical orbit)
 楕円軌道とは,楕円形の軌道をいう。点 P の軌道は,焦点 F を極とし,線分 PF の長さ 𝒓 とX軸と成す角度をθとした時,極座標平面 ( 𝒓 , θ ) で,
       
で表される。
 なお,e は離心率,𝑙 は焦点 F から準線までの距離に離心率 e を掛けたもので,半直弦(semi-latus rectum)や半通径と呼ばれる。
 半直弦( 𝑙 ),離心率( e ),長半径( 𝒂 ),短半径( 𝒃 )とには次の関係がある。
       
 平面極座標を長軸と短軸の交点 O を極とした場合と焦点 F を極とした場合とには,
       
       
       
       
の関係がある。
 
 なお,極座標平面( 𝒓 , θ)から直交直線座標( x , y )への変換は,
       
で与えられる。

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 【ケプラーの法則】

 ケプラーの法則(Kepler's laws)
 ヨハネス・ケプラーが発見し惑星の運動に関する法則。過去の観測記録などから太陽に対する火星の運動を定式化した次の 3 つの法則をいう。
 第1法則(楕円軌道の法則:1609年):“惑星は,太陽をひとつの焦点とする楕円軌道上を動く。”
 楕円軌道は,2 つの焦点を持ち,離心率 0< e <1 の円錐曲線を描く軌道である。
 惑星の軌道は太陽の位置を焦点とし,軌道の半直弦 l ,離心率 e ,長半径 𝒂 のとき,
       
で表される。
 第2法則(面積速度一定の法則:1609年):“惑星と太陽とを結ぶ線分が単位時間に描く面積は一定である(面積速度一定)。”
 例えば,下図の例の様に,地球の公転の速度(平均軌道速度 29.78 km/s )が太陽から離れるほど早くなるため,単位時間に太陽を結ぶ線分(動径という)が描く面積(面積速度 S )は等しくなる。なお,面積速度 S は,惑星により異なるが,惑星に固有の一定値である。
       
 第3法則(調和の法則:1619年):“惑星の公転周期 T の 2 乗は,軌道の長半径 𝒂 の 3 乗に比例する。”
 すなわち,惑星によらず,
       
 
 半直弦面積速度の関係
 ここで,長半径 𝒂 ,短半径 b のとき,楕円の面積は,π𝒂 b で与えられるので,公転周期 T は,楕円の面積と面積速度 S とから
       
で得られる。ここで,長半径,短半径,半直弦 l ,離心率 e の関係
       
から得られる長半径 𝒂 と公転周期 T の関係と第 3 法則により
       
が得られる。
 従って,半直弦面積速度について,惑星によらず
       
の関係が導かれる。

 ケプラーの法則は,太陽と惑星に関して論じているが,この法則は惑星と衛星(あるいは人工衛星)などの間でも成立する。

地球の軌道の特徴

地球の軌道の特徴

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 【万有引力】

 ニュートンは,太陽を公転する地球の運動や木星の衛星の運動の説明を試み,ケプラーの法則に運動方程式を適用し,引力(重力)が 2 つの物体の質量(重力質量に比例し,距離の2乗に反比例(万有引力の法則:law of universal gravitation)することを証明した。
 
 極座標における F は,焦点と質点を結ぶ線分方向( 𝒓 方向)とそれに垂直の線分の角度を増す方向(θ方向)に分けて考えられる。
       F = F𝒓+Fθ
       
       
 ここで,ケプラーの第 2 法則を適用すると,
       
       
となり,質点(惑星)に作用する力は,焦点(太陽)との線分に沿ったstrong>であることが分かる。
 ここで,ケプラーの第 1 法則の t での微分と,第 2 法則とから,
       
が得られ,これの微分とケプラーの第 1 法則,第 2 法則とから
       
が得られるので,これを代入すると, F𝒓 は,
       
となる。この力は,焦点に向かい,距離のみに依存するので,向心力ではなく中心力であることが分かる。
 ここで,ケプラーの第 3 法則から得られた半直弦面積速度の関係により,惑星の種類によらない定数 C を用いて,
       
と書ける。この関係は,惑星に注目した力であるが,作用反作用の法則から質量 M の太陽にも作用すると考えられるので,この力は,
       
と書き換えられる。比例定数 G は,太陽,惑星に関与しない普遍的定数となる。 これを一般化した法則が万有引力の法則である。
 
 比例定数 G 万有引力定数(重力定数)といい, CODATA(科学技術データ委員会: Committee on Data for Science and Technology)の2014年の推奨値は,G = 6.674 08(31)×10-11(Nm2kg-2)である。

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