化 学 (物質の構造)

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 【分子内結合】

 分子内の原子同士の結合を理解するため,キーとなる「価電子」,「酸化数」,及び「電気陰性度」を解説する。なお,電気陰性度については別の項で扱う。
 
 【価電子とは】
 原子内のもっとも外側の電子殻に入っている最外殻電子などは,原子のイオン化や共有結合する際に重要な役割を果たす。この電子を価電子( valence electron )という。
 しかし,希ガス類(ヘリウム,ネオンなど 18 族の元素)のように,最外殻の電子軌道がすべて満たされている場合には価電子として扱わない。すなわち,希ガス類の価電子は0個として扱う。
 
 典型元素 1 族は価電子 1 個,2 族は価電子 2 個で,この電子を放出して手前の希ガス元素と同じ電子配置の陽イオン(例えばNa+ ,Ca2+ )になり易い。
 典型元素16 族,17 族はそれぞれの価電子が 6 個と 7 個で,電子軌道の空きに電子を受け入れ,次の希ガス元素と同じ電子配置の陰イオン(例えば,O2- ,F- ,Cl- など)になり易い。
 
 遷移元素では,例えば,鉄 ( Fe ) の電子軌道では, N 殻が最外殻となるが,最外殻の s 軌道電子より 一つ手前のM 殻の d 軌道電子のエネルギー順位が高い。このため,N 殻の s 軌道は電子で満たされ,M 殻のd 軌道が満たされていない状態にある。
 すなわち,遷移元素では最外殻の手前の殻の d 軌道電子や f 軌道電子の影響を受け,価電子は必ずしも最外殻電子を意味しないので,特定の価電子を有しないと考えるのが一般的である。
 
 【酸化数とは】
 酸化数( oxidation number )とは,単体や化合物に含まれる原子の酸化・還元状態の理解を助けるために導入された考え方である。
 酸化( oxidation )とは,原子が電子を失うことであり,単体のときより電子密度が低くなった状態である。失った電子の数を正 ( + ) の酸化数とする。
 還元( reduction )とは,逆に電子を受け取ることで電子密度が高くなった状態である。受け取った電子の数を負 ( - ) の酸化数とする。
 
 すなわち,酸化数の増加酸化減少還元と容易に判定できる。さらに,化合物の名称においても,酸化鉄(Ⅱ)は FeO ,酸化鉄(Ⅲ)はFe2O3 のように,酸化数をつけることで化合物を構成する原子の酸化,還元程度から物質を明確に区別できる。
 
 酸化数の表示は,古くはローマ数字(Ⅰ,Ⅱ,・・・)を,現代はアラビア数字( 1 ,2 ,・・・)を用いるが,文献や専門書ではいずれも使われている。
 特に,金属イオンの名称は,酸化鉄の例に示したようにローマ数字を用いるのが現代でも慣例になっている。
 
 酸化数の決め方は次による,
  ① 単体の酸化数は 0 とする。
  ② 通常は,化合物中の酸素( O )の酸化数を -2 水素( H )の酸化数を +1 とする。
  ③ 単原子イオンの酸化数は,例えば,Fe2+は +2 ( + Ⅱ ) などそのイオンの価数に等しい。
  ④ 化合物を構成する原子の酸化数の総和は 0 になる。(電荷的中性を保持する)
  ⑤ 多原子イオンを構成する原子の酸化数の総和価数に等しい。
 
 共有結合の化合物では,共有電子対が電気陰性度の大きい原子にすべて移動したと仮定することで,イオンの場合と同様に酸化数を決められる。
 多原子イオンの酸化数の総和は,例えば,SO42- においては,硫黄 S の酸化数 +6 ,酸素 O の酸化数 -2 であるので,酸化数の総和は ( +6 ) + ( -2 ) × 4 = -2 となり,多原子イオンの価数 ( 2- )に等しくなる。

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