化 学 (物質の構造)

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 【結晶構造】

 等核原子分子である純金属の結晶は,同じ寸法の剛球の積み重なりで説明される。剛球間の相互作用が非常に小さい場合は,配位数 12 となるように,球が密に積み重なる。これを最密充填構造(又は最密構造)という。アルカリ金属元素などの一部の金属を除き,金属結晶の多くは,最密充填構造をとる。
 
 最密充填方式には,図に示すように,第 3 段目の重なり方の違いで,六方最密充填( hcp : hexagonal close - packing )と立方最密充填( cubic close - packing )に分けられる。
 六方最密充填構造を構成する結晶格子をちょう密六方格子( close - packed hexagonal lattice ),立方最密充填構造を構成する結晶格子を面心立方格子( fcc : face – centered cubic lattice )という。

配位数12(六方最密充填)

配位数12(六方最密充填)

配位数12(立方最密充填)

配位数12(立方最密充填)

 なお,結晶構造の分類では,高等学校教育など一般的には,六方最密充填( hcp ),面心立方格子( fcc )との混用が一般的である。
 
 六方最密充填が安定な金属には,ベリリウム( Be ),マグネシウム( Mg ),チタン(α- Ti ),亜鉛( Zn ),カドミウム( Cd ),ニオブ( Nd ),オスミウム( Os ),タンタル( Tl )などがある。
 
 面心立方格子が安定な金属には,アルミニウム( Al ),カルシウム( Ca ),鉄(γ- Fe ),ニッケル( Ni ),銅( Cu ),ロジウム( Rh ),パラジウム( Pd ),銀( Ag ),インジウム( In ),イリジウム( Ir ),白金( Pt ),金( Au ),鉛( Pb )などがある。
 
 アルカリ金属元素の金属結晶など約 12 種の金属は,【イオン結晶の構造】で紹介した配位数 8 体心立方格子( bcc : body – centered cubic lattice )の構造をとる。
 体心立方格子が安定な金属には,リチウム( Li ),ナトリウム( Na ),カリウム( K ),チタン(β- Ti ),バナジウム( V ),クロム( Cr ),鉄(α- Fe,δ- Fe ),スズ(β- Sn ),タンタル( Ta ),タングステン( W )が知られている。

配位数8(体心立方格子)

配位数8(体心立方格子)


 【参考】
 ● 結晶構造の転移
 チタン( Ti )
 常温では六方最密充填構造のαチタンが安定で,880 ℃以上で体心立方格子構造のβチタンに転移する。
 純鉄( Fe )
 常温ではα鉄(フェライト層:体心立方格子),911 ℃を超えると 1392℃まではγ鉄(オーステナイト層:面心立方格子),1392 ℃から 1536 ℃(融点)まではδ鉄(デルタフェライト層:体心立方格子)が安定である。
 スズ( Sn )
 13 ℃以下では半導体のαスズ(灰色スズ,ダイヤモンド構造)で,常温では金属のβスズ(白色スズ:体心立方格子)が安定である。実際には,βスズを-10 ℃ほどまで冷却すると,徐々に延性のないαスズに変態し体積が増大(密度 7.28 ⇒ 5.77 g/cm3 )する。

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