化 学 (物質の構造)

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 【水素結合と分子の凝集】

 第 2 周期の元素は,水素の電気陰性度 2.1 に比較し,炭素は 2.5 と大差ないが,窒素 3.0 ,酸素 3.5 ,フッ素 4.0 と水素との差が大きい。
 この影響と分子構造により,図に示す電荷の偏り(双極子が発生する。

第 2 周期元素の水素化物の構造と双極子

第 2 周期元素の水素化物の構造と双極子

 第14族炭素の水素化物であるメタンは,電気陰性度の差が小さいうえ,電子対がすべて共有され,水素が炭素を中心に対称の位置にある正四面体構造のため,分子間はファンデルワールス力のみで凝集する。

 第 17 族フッ素の水素化物であるフッ化水素は,1 つの共有電子対と 3 つの非共有電子対を持つため,正の電荷を持つ水素と負の電荷を持つ非共有電子対の一つが静電的に引き合う。
 2 分子が会合する場合,正に帯電した水素原子と負に帯電したフッ素の非共有電子対とバランスをとるように引き合う。
 複数の分子が会合する場合は,負に帯電した非共有電子対が水素原子より多いので,水素結合に寄与しない非共有電子対同士の反発がある。このため,静電的なバランスが取れるように,正に帯電した水素原子を介して折れ線状(約 140°)に引き合い,複数のフッ化水素分子で形成される会合分子になると考えるられる。

フッ化水素分子の会合

フッ化水素分子の会合


 第16 族酸素の水素化物である水分子は,2 つの共有電子対と 2 つの非共有電子対を持つ。水分子 2 個の場合は,2分子会合した状態で電荷のバランスを取るように,一つの水素原子を介して近接する。
 複数の水分子が会合した場合には,2 つの水素原子と 2 つの非共有電子対の間で,複数の水素結合を形成できる。
 電気陰性度はフッ素原子より小さいが,水素結合に寄与する水素原子が多いので,フッ化水素より沸点がより大きく上昇する。
 なお,液体状態の水では,図にあるように,水素結合に預からない水素原子と非共有結合が少なからず存在し,自由に回転・移動ができる水分子の集団を形成する。温度の低下で水分子の熱運動量が減ると,水素結合で水の会合が進み,0 ℃付近で,ほとんどの水分子が互いに水素結合するようになる。
 さらに温度が低下すると,水素結合で分子が正四面体状に次々と結合する。
 会合した水分子の集団が自由に動ける液体状態に比較し,正四面体状に結合した水分子の集団は,すき間の多い構造になる。このため,水は固化することで体積の増加(密度の減少)に至る。

水分子の会合

水分子の会合


 第 15 族窒素の水素化物であるアンモニアは,3 つの共有電子対と 1 つの非共有電子対を持つ。この場合は,フッ化水素とは逆に,水素原子の一部しか水素結合に寄与できない。窒素原子の電気陰性度はフッ素原子より小さいので,アンモニアの水素結合による沸点上昇程度は,フッ化水素より低くなる。
 
 フッ化水素と同じ第 17 族第 3 周期塩素の水素化物である塩素水素は,塩素の電気陰性度が 3.5 と酸素と同等であるが,軌道電子の数が多く(原子サイズが大きい)共有電子対の偏りの影響が酸素より小さいと考えられ,結果として融点,沸点に大きく影響するほどの水素結合には至っていないと考えられる。

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