化 学 (物質の構造)

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 【原子・分子とは】

 物質や化学反応の説明で用いる用語“原子”及び“分子”は,一般的に,次のように定義されている。
 
 原子( atom )
 自然科学で扱う原子とは,元素の最小単位で,その実態は原子核と電子の電磁相互作用による束縛状態にあり,物質の一つの中簡単位である。
 自然科学で扱う原子は,構造を有し分割可能(核反応など)である。従って,哲学で扱う原子,すなわち,分割不可能な存在,事物を構成する最小単位とはニュアンスが異なる。そこで,現代の自然科学では,過去に“原子論”と呼ばれた分野を“素粒子論”と称している。
 
 原子の大きさ( atomic size )について
 原子の大きさは,【原子の構造】で紹介するように,電子雲の広がりと定義すると直感的に理解しやすい。
 しかしながら,電子雲は電子の存在確率を意味し,その境界面の明確な定義は困難である。さらに,複数の原子の化学結合による分子では,特定の原子に属する電子雲を定義する必要がある。
 従って,原子の大きさを定量的に示す原子半径は,必要不可欠の情報でありながら,原子の状態により,統計力学(量子力学)の自己無撞着(じこむどうちゃく;self-consistent)場を用いた理論的な原子半径,共有結合半径,金属結合半径,イオン半径,ファンデルワールス半径などの複数の定義と複数の値が使い分けられるている。
 原子半径( atomic radius )
 自己無撞着場方程式によって求めた,荷電していない状態(結合状態に影響されない)の原子の大きさと考えられる。
 共有結合半径( covalent radius )
 共有結合で結びついた原子間の距離から計算する。例えば,酸素分子(O2)などの原子が同じ種類の原子間距離の 1/2 と考える。
 金属結合半径( metallic radius )
 単体の金属の結晶格子から求めた原子間距離の半分を金属原子半径または金属結合半径と定義され,イオン結晶から求めるイオン半径とは区別される。
 イオン半径( ionic radius )
 イオン結晶の結晶格子中で,イオンを剛体球と仮定して求めた半径である。結晶構造により値が変わる。
 ファンデルワールス半径( van der Waals radius )
 ファンデルワールス力で単体の結晶を作る元素について,隣接する原子の距離から求まる。


主な元素の原子サイズ例(共有結合半径/金属結合半径) 単位: pm (ピコメートル,10-12m )
元素 共有/金属 元素 共有/金属 元素 共有/金属
 水素( H )  約 30 / -  リチウム( Li )  約 130 / 152  ナトリウム( Na )  約 170 / 186
 ベリリウム( Be )  約 95 / 112  マグネシウム( Mg )  約 140 / 160  カルシウム( Ca )  約 170 / 197
 アルミニウム( Al )  約 120 / 143  ガリウム( Ga )  約 120 / 135  インジウム( In )  約 140 / 167
 けい素( Si )  約 110 / 111  ゲルマニウム( Ge )  約 122 / 122  スズ( Sn )  約 140 / 140
 亜鉛( Zn )  約 120 / 134  カドミウム( Cd )  約 140 / 151  水銀( Hg )  約 130 / 151
 銅( Cu )  約 130 / 128  銀( Ag )  約 145 / 144  金( Au )  約 130 / 144
 鉄( Fe )  約 130 / 126  コバルト( Co )  約 120 / 125  ニッケル( Ni )  約 120 / 124
 炭素( C )  70~80 / -  窒素( N )  約 70 / -  酸素( O )  約 70 / -
 フッ素( F )  約 60 / -  塩素( Cl )  約 100 / -  臭素( Br )  約 120 / 120

 分子( molecule )
 分子とは,一般的には,化学結合により, 2つ以上の原子から構成される電荷的に中性な物質を指している。
 分子の多くは,例えば水( H2O )のように,複数の元素の原子で構成される化合物である。
 単体の分子は,同じ元素の原子で構成されるので,等核分子と呼ばれる。例えば酸素( O2 )のように 2 原子で構成される分子は,等核二原子分子と呼ばれる。
 ヘリウム ( He ),ネオン ( Ne ),アルゴン ( Ar )などの希ガス元素は,単原子で安定して存在できるので単原子分子と呼ばれる。

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