化 学 (物質の構造)

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 【分子間力】

 分子間力( intermolecular force )とは,電気的に中性の分子間に作用する力で,気体から液体や固体への相転移( phase transition :変態ともいう)で重要な役割を果たす。
 
 ヘリウム( He ),ネオン( Ne )などの希ガス類(周期表 18 族)は,【原子の構造】で示したように,最外殻軌道が電子で満たされ,価数 0 で非常に安定な,反応性に乏しい(フッ素以外の原子と結合しない)単原子分子として存在する。
 しかしながら,【元素一覧】で示したように,ヘリウムで約 – 269 ℃(約 4 K ),ネオンで約 – 246 ℃(約 27 K )まで冷却することで,反応性に乏しい希ガス元素にも関わらず,単原子分子が互いに比較的近い距離で凝集した状態の液体(凝集力が働く)に変わる。
 液体状態,即ち凝集した分子集団として存在する原因に関し,唯一の理論的回答は,安定な分子間に働く引力の存在である。
 
 現在の理論では,分子間に凝集を引き起こす力には,ファンデルワールス力双極子に基づく力,及び水素結合が知られている。
 一般的には,液化の際に分子間に影響する主要な力は“ファンデルワールス力”で,“双極子に基づく力”は液体の性質や固体の結晶化などに影響を与えると考えられる。
 
 “水素結合”については,原子間の電気陰性度に大きな差があり,大きい双極子モーメントに基づく力が発生する構造の特殊な分子(水やアンモニアなど)で問題となる。
 例えば,水の液体・固体としての特異な性質の原因が水素結合である,水素結合については,別途に【その他の結合】で解説する。
 
 ●ファンデルワールス力と双極子に基づく力
 奥野久輝訳,ギャレット化学(1974,東京化学同人)に,分子間引力に基づくエネルギーをファンデルワールスエネルギーと双極子エネルギーに分けて推定している。
 これによると,全エネルギーに対する双極子エネルギーの割合が勝っているのは,液体として水素結合により特異な性質を示すアンモニア( NH3 )と( H2O )のみで,ハロゲン化水素など推定した分子は,双極子エネルギーの全エネルギーに対する寄与は小さい。
 概して,液体として特異な性質を示すもの以外は,分子間結合において,双極子に基づく力よりファンデルワールス力が重要であるといえる。
 
 【参考】
 ● ファンデルワールス(ヨハネス・ディーデリク・ファン・デル・ワールス)
 オランダの物理学者( 1837 ~ 1923 ),分子間力の提唱,分子間力の働く範囲をファンデルワールス半径という。1910年ノーベル物理学賞受賞。

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