化 学 (物質の構造)

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 【原子核の構造】

 水素以外の原子の原子核は,正の電荷を持つ陽子( proton )とほぼ同じ質量で電荷を持たない中性子( neutron )がいくつか集まってできている。水素のみは,陽子 1 個で中性子を含まない原子核である。
 なお,陽子の数と中性子の数の和を量子数( mass number )という。
 
 クーロンの法則に従うと,同じ電荷の粒子同士は反発しあい(静電的斥力),異なる電荷の粒子同士は引き合う(静電的引力)。
 従って,原子核のように正の電荷を持つ複数の陽子が非常に近い距離で安定して存在するためには,何らかの作用が必要である。
 ここで活躍するのが中性子と中間子( meson )である。陽子と中性子が接近すると,互いに持つ中間子を交換することで,非常に強い力(核力:静電的斥力の10倍以上)が発生し,核が安定する。
 
 従って,安定した状態の元素には,陽子の数に対する適切な中性子の数があり,その組み合わせが同位体( isotope )の存在確率を決めることになる。
 陽子と中性子の組み合わせによっては,比較的不安定な場合もある。このような状態の原子は,より安定な原子核になるため核反応が起きる。核反応時に放射線を放出するので,この種の原子(同位体)を放射性同位体(ラジオアイソトープ)と呼ぶ。
 
 原子を構成する粒子の質量は,陽子 1.67262×10-24 g ,中性子 1.67493×10-24 g ,電子は 9.11×10-28 g と,電子の質量は陽子の質量の 0.054 %と無視できるほど小さい。また,陽子と中性子の質量差は,0.14 %と小さいので,
  原子の質量 ≒ 原子核の質量 ≒ 陽子 1 個の質量 ( 1.67262×10-24 g ) ×質量数
として差し支えない。
 
 周期表等に記載されている原子量( atomic volume )とは,相対原子質量ともいい,“一定の基準によって定められた元素の原子の質量”と定義され,質量数 12 の炭素原子 ( C ) の質量の 12 分の 1 を原子質量単位( atomic mass unit )とし,これとの比率で示される値である。
 従って,元素それぞれの同位体の存在比が異なるため,整数ではなく端数を伴う値が多い。年代とともに,同位体存在比の精度が変わるため,IUPAC(国際純正・応用化学連合)の下部組織である同位体存在度委員会( CIAAW )によって定期的に「原子量表」が改訂されている。

 【参考】
 ● クーロンの法則 ( Coulomb’s Low )
 荷電粒子間に働く反発し,又は引き合う力が,それぞれの電荷の積に比例し,距離の二乗に反比例(逆二乗の法則)する。
 電荷を帯びた 2つの荷電粒子間に働くクーロン力 ( F ) は,2つの粒子の電荷の大きさ ( q1 と q2 ) ,粒子間の距離 ( r ) より,次の関係から求められる。
     F = k× ( q1×q2 )/r2
     ここに,k は比例定数
 クーロン(シャルル・ド・クーロン)
 フランス人の物理学者 ( 1736~ 1806 ),電磁気に関する研究を報告,クーロンの法則を発見 

 ● 国際純正・応用化学連合 ( IUPAC:アイユーパック )
 International Union of Pure and Applied Chemistryは,1919年に設立された化学者の国際学術機関,元素名や化合物名についての国際基準( IUPAC命名法)を制定している。
 
 ● 放射線( radiation )
 α線(アルファ線)とは,陽子 2 個,中性子 2 個のヘリウムの原子核である。α線を出す核反応を,α崩壊といい,原子量が約 4 減り,原子番号が 2 つ小さい元素に変わる。
 β線(ベータ線)とは,中性子が陽子に変わる際に放出された電子である。この核反応をβ崩壊といい,中性子が一つ減り,陽子が1つ増える。原子量はほとんど変わらない(電子 1 個分ほど減少)が,陽子の数が増えるので,原子番号が 1 つ多い元素に変わる。
 γ線(ガンマ線)とは,エネルギー的に不安定な状態から安定な状態に変化するとき,放出された余分なエネルギー(電磁波)である。この過程では,原子量,原子番号とも変わらない。

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