化 学 (物質の構造)

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 【金属の塑性変形】

 金属に対する硬くて傷つきにくいイメージは,身の回りの実用金属(合金)に対するイメージであって,アルミニウム,アルカリ金属やアルカリ土類金属のように柔らかく傷つきやすいものも少なくない。金属の性質は,結合の強さと結晶構造に起因していると考えられる。
 
 金属結合の強さの範囲は広いが,一般的には,共有結合>イオン結合>金属結合≫分子間力と考えられ,共有結合やイオン結合に比較して外力による原子の移動が容易である。
 また,原子間の結合が自由電子に由来しているので,原子の相対位置が多少ずれても金属結合は破壊されない。このため,容易には物体としての破壊まで至らない。これが,金属の優れた塑性変形(延性や展性)の要因と考えられる。
 
 金属の塑性変形は,即ち原子の移動し易さは,金属結晶の種類(原子の配列)で異なる。塑性変形は原子密度が高いすべり面と呼ばれる結晶面に沿って,原子の間隔が広く抵抗が少ないところから間隔が狭い方向(すべり方向)に起こる。
 面心立方格子構造( fcc )は 4方向の面で構成する構造のため,外部からの応力で容易に変形しやすい。
 体心立方格子構造( bcc )は,面心立方格子を一方向に押しつぶした構造のため,面心立方格子構造に比較して面状での原子のずれ易さは劣るが多数のすべり面を有している。
 六方最密充填構造( hcp )では,外部の応力に対して,ずれる面が一方向のみのため,外力に対するずれの抵抗が大きい。

 このすべり面とすべり方向の組み合わせは「すべり系」と呼ばれ,面心立方格子構造 12 体心立方格子構造では 48 六方最密充填構造 4 である。
 ただし,体心立方格子構造は原子密度が高い領域が無いため,すべりを起こすための力(せん断力)が他の構造より必要になる。
 
 これらのことを平たく言い直すと,面心立方格子構造の金属(アルミニウム,カルシウム,ニッケル,銅,銀,白金,金,鉛) は比較的簡単に塑性を起こし,体心立方格子構造の金属(リチウム,ナトリウム,カリウム,クロム,マンガン,鉄,モリブデン,タングステン) は力が必要だが多様な形に変形させることができ,六方最密充填構造の金属(亜鉛,ジルコニウム)は,硬くて脆い金属である。

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