化 学 (物質の構造)

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 【イオン化エネルギー】

 イオンのなり易さ,即ち,原子から電子を引きはがすのに必要なエネルギーについては,定義の違いで① イオン化エネルギー及び電子親和力,② 仕事関数,③ 酸化還元電位に分けられる。
 は,軌道電子の構造に基づく分子の化学結合状態に関するエネルギーである。
 イオン化エネルギーは,原子(又は分子)から電子を引き抜くエネルギーで,電子親和力原子(又は分子)に電子を付与した時に放出するエネルギーである。
 ② の仕事関数は,固体表面から電子を引き抜くためのエネルギーで,固体の高温酸化など実用面で貴重な情報を与える。
 ③ の酸化還元電位は,溶媒中などの反応場(実環境)における酸化還元反応の電位(=位置エネルギー)で,イオン生成に関わる実用的なエネルギーを与える。
 
 【イオン化エネルギー】(ionization energy)
 電離エネルギーイオン化ポテンシャルともいわれ,原子やイオンなどから電子を取り去るのに要するエネルギーである。
 すなわち,取りだされた電子の結びつきの強さの目安で,エネルギーが小さいほど陽イオンになり易く,陽性が強いという。
 イオン化エネルギーは,気体状態の単原子(又は基底状態の分子)から取り去る電子が 1 個目の場合を第一イオン化エネルギー,2 個目を取り去る場合を第二イオン化エネルギー,3 個目は第三イオン化エネルギーと言う。
 単にイオン化エネルギーという場合は,第一イオン化エネルギーのことを指す。
 イオン化エネルギーの一般的な測定は,真空状態で,一定エネルギーの電子ビームを原子(分子)に照射し,飛び出す電子のエネルギーを測定して求められる。
 
 イオン化エネルギーの周期性
 イオン化エネルギーは,電子軌道の相対的エネルギー,及び核の電荷の効果で説明される。原子核の正電荷が増すにつれ,軌道電子はより強く保持される。
 例えば,【電子親和力】の「参考表」に示すように,周期表第一周期のヘリウム原子(陽子 2 個)の 1s 軌道電子 1 個を取り出すエネルギーは 2.4 MJ/mol であるが,水素原子(陽子 1 個)の 1s 軌道電子 1 個を取り出すエネルギーは 1.3 MJ/mol と核の電荷が小さい水素のイオン化エネルギーが著しく小さい。

 次に示すように,イオン化エネルギーの周期性は,核電荷の大きさと最外殻電子軌道のエネルギー順位から容易に理解できる。
 1 ) 周期表 1 族元素(アルカリ金属)の原子のイオン化エネルギーが,同じ周期の中では,最小の値をとり,18 族元素(希ガス)が最大の値をとる。(核電荷)
 2 ) 同族元素では,原子番号の大きい原子ほどイオン化エネルギーが低い。(軌道電子)
 3 ) 遷移元素の原子のイオン化エネルギーの変化は少ない。( d ,f 軌道電子)
 
 イオン化エネルギーの大きさは,電子の軌道準位の単位にならって慣習的に eV ( electron volt ;電子ボルト)単位で表すことが多い。しかし,後に示す電子親和力との比較の表では,イメージし易いように, 1モル( mol )当たりのエネルギー量( J : joule ジュール)に換算している。
 
 【参考】
 ● エネルギー単位の換算
 1ev = 1.602×10-12 erg =1.602×10-19 joule = 3.827×10-20 cal
 1モル当たりのエネルギーは,アボガドロ数( N = 6.0225×1023 molecule / mol )を用いて,
 1ev×N = 1.602×10-19 joule ×6.0225 × 1023 molecule / mol = 96.48 k J /mol
 ● 陽性と陰性
 原子が陽イオンになる性質を陽性(金属性ともいう),陰イオンになる性質を陰性(非金属性ともいう)という。

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