第二部:物質の状態と変化 気体の量と体積
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気体分子運動論については,様々な解説書があるので,そちらを参照していただくとして,ここでは,気体に観察される巨視的現象に対する気体分子運動論での考え方を紹介する。
ここでは,気体に観察される巨視的現象に関し,気体分子運動論での 6つの考え方,【①膨張】, 【②拡散】, 【③分子間距離】, 【④分子運動と圧力】, 【⑤完全弾性衝突】, 【⑥圧力と温度】 に項目を分けて紹介する。
① 拡張(気体は無限に膨張)
引力などの外的拘束力が無い状況では,宇宙空間と同じように,気体は膨張し続ける。
液体のように構成する粒子(分子や原子)同士が,ファンデルワールス力などの相互作用により連続した関係にある場合は,体積の膨張に限界が生じる。
気体が膨張し続けるためには,気体の内部は,粒子が相互に影響しない関係,即ち不連続な物質で構成されていなければならない。
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② 拡散(2種類の気体を混ぜると,次第に濃度勾配が解消)
2 種の気体を接触させると,2 種の分子がそれぞれ無関係に拡散し,終いには,それぞれの濃度が均一になる。
液体でも同様の現象を観察できる。
気体を構成する粒子は,あらゆる方向に動くことができなければ濃度勾配が解消しない。
すなわち,粒子は無秩序に運動していなければならない。
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③ 分子間距離(気体の体積は,容易に圧縮・膨張可能)
容器に閉じ込めた気体は,容器形状を変えることで,容易に圧縮・膨張できる。
この性質を実現するためには,気体を構成する粒子(分子)の大きさに比較し,多量の空間を有しなければならない。
すなわち,分子サイズに比較して分子間距離が著しく大きくなければならない。
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④ 分子運動と圧力(気体は圧力を示す)
気体の圧力とは,容器の壁など,接触した固体や液体の表面に働く力である。
すなわち,気体が圧力を示すためには,接触した固体,液体の表面に,気体の粒子が連続的に衝突していなければならない。
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⑤ 完全弾性衝突(温度,容器の容積,気体の量が一定ならば,圧力一定)
圧力が変動しないことは,壁などの固体,液体の表面に衝突する気体粒子の平均運動エネルギー(平均速度)が一定であることを意味する。
すなわち,固体,液体表面との衝突でのエネルギーの損失が無いこと,言い換えれば粒子の衝突が完全弾性衝突でなければならない。
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⑥ 圧力と温度(容積,気体の量が一定の時,圧力は熱力学的温度に比例)
圧力は,気体粒子の固体や液体の界面への衝突である。粒子の質量は温度で変化しない。
従って,温度の増減により,単位時間に界面に衝突する粒子の数,及び粒子の運動エネルギーの増減,即ち気体粒子の並進運動速度が増減しなければならない。
これに関しては,次項の【気体の法則と分子運動】で紹介する。
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