化 学 (物質の状態と変化)

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 【水の特性】

水の色は?
 水の吸収スペクトルの例を図に示す。光の波長(又は波数)を横軸に,光の吸収係数を縦軸に示したものである。

水の吸収スペクトル(吸収係数 VS 波長)

水の吸収スペクトル(吸収係数 VS 波長)

 媒質に入射する前の光の強度をⅠ’としたとき,媒質中の距離 X 通過した後の光の強度Ⅰは,ランベルト・ベールの法則に従い次式で示される。
      Ⅰ= Ⅰ’e-αX =Ⅰ’10-βX
  ここで,α又はβを吸収係数という。
 なお,波数とは1cm 当たりの光の波の数,即ち波長の逆数であり,赤外線吸収スペクトルなどでは,波長より波数で表示するのが一般的である。
 図から分かるように,水の可視光領域の吸収は,青の吸収係数が小さく,波長が長くなるほど,即ち赤から赤外線領域にかけて吸収係数が大きくなる。
 このことは,水の色は無色透明ではなく,赤みが除かれ僅かに青緑色を呈す透明な液体であることを意味する。しかし,海の色や湖で観察される色は,溶解した成分や不純物の影響を受けているので水の本来の色とは異なる。

基準に用いられた水

 水は最も身近な物質の一つで,取扱が容易なため,化学の発展において,単位の基準として重要な役割を演じていた。
 例えば,温度(摂氏)の基準に水の融点( 0 ℃)と沸点( 100 ℃)が用いられ,密度の最も大きい 4 ℃(厳密には,3.98 ℃)での単位体積( 1 cm3 )の質量の基準( 1 g )と定義されていた。また,1 g の水を 1 ℃上げるのに必要な熱量(エネルギー)を 1 cal(カロリー)と定義されていた。
 しかし,科学技術の発展に伴い,高い精度の基準が求められるようになり,水を基準とすることの技術的困難(高精度の測定)が増した。このため,質量の基準には,1879 年に作成された国際キログラム原器を用いるようになり,水の 4 ℃,1 cm3 の質量が従来の 1.0 g から0.999972gに変更された。このため,過去の水を基準にした単位(密度など)も従来とは完全な一致がなくなった。
 現在は,質量を除く SI 基本単位は,普遍的な物理量を用いているのに,質量のみが人工物である国際キログラム原器を用いていることへの不都合が出ている。例えば原器の質量が,表面吸着などの影響により年々増加すること,原器の洗浄で質量が減少( 47年ぶりの洗浄で約 60 μg 減少)するなど,質量の基準に人工物を用いることに対し見直しの機運が高まっている。

固体の水(氷)の特徴

 水の結晶である氷は,大気圧では透明な六方晶系の結晶である。圧力が非常に高い状態では複数の構造を持つ。大気圧から比較的高い圧力(数千気圧)までは,最も身近な構造の氷(氷Ⅰ)であるが,さらに圧力が高くなると,氷の構造が変わり,現在までに氷Ⅱから氷ⅩⅤまで発見されている。きわめて高い圧力下では,水素結合が縮んで水分子の配列が変わためのと考えられている。
 大気圧付近で凍った氷の体積は,水の体積から約 10 %増加するため,比重が0.9168 と小さくなり,水に浮くことができる。

水の基本特性

 化学式( H2O ),分子の形( 曲線状),
 双極子モーメント( 1.85 D ),モル質量( 18.0153 g / mol )
 密度( 999.972 kg m−3 液体 (4 °C),916.8 kg m−3 固体 ( 0 ℃) ),粘度( 0.001 Pa s ,20 ℃)
 融点( 0 ℃,273.15 K ), 沸点( 100 ℃,373.15 K )

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