化 学 (物質の状態と変化)

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 【圧力測定の方法】

 気圧の測定
 日本では気象業務法や各種法令で,気象観測には気象測器検定に合格した液柱型水銀気圧計,アネロイド型気圧計,又は電気式気圧計を用いることが規定されている。

圧力計の例

圧力計の例
写真出典:安藤計器製作所,入江(株),(株)シンクロンのHP

 液柱型水銀気圧計
 フォルタン水銀気圧計とも呼ばれ,一端を封じたガラス中空管( 80cm 以上)に水銀を満たし,解放端を水銀浴に倒立させる。すると,ガラス管の上部が真空(トリチェリの真空)になり,気圧に応じて水銀柱の高さが変動する。この原理は,1643年ころにイタリア人のエヴァンジェリスタ・トリチェリが発明したといわれている。
 アネロイド型気圧計
 内部を減圧した円盤形,又は円筒形の金属製容器で,気圧の変動に応じて膨らんだり凹んだりする動きを針の動きに変えて気圧を記録する気圧計である。温度による影響が大きいため精密な測定はできないが,小型のものができるので,家庭用や携帯用としても広く用いられている。
 ブルドン管気圧計
 1849 年にフランスのウジューヌ・ブルドン( Eugene Bourdon )が発明した気圧計である。C 形の扁平密閉管が気圧変動で変形するのを利用して気圧変動を記録できる。精度はやや低いが,構造が簡単で堅牢なため産業用の圧力計として用いられている。
 電気式気圧計
 20世紀になり,半導体等を用いたセンサで気圧を記録する方法が用いられている。センサには,静電容量式のものと振動式のものとがある。
 静電容量式は,半導体のコンデンサを形成し,気圧による電極間の距離変化を静電容量の変化として記録するものである。
 振動式は,振動板に取り付けた圧電素子を用い,気圧の変化に伴う振動板の共振周波数の変化を記録するものである。 これらの気圧計は,センサの形状と精度から各種の物が製品化されている。また,デジタル出力が可能なため,自動計測などでの実用が多い。
 気象庁では,アメダス等の自動観測装置への組込み用として,1982年から円筒振動式気圧計を,1995年から静電容量式のセンサを用いた気圧計を採用している。
 
 低圧(真空)の測定
 真空( vacuum )とは,JIS Z 8126 – 1 「真空技術‐用語‐一般用語」で“通常の大気圧より低い圧力の気体で満たされた空間の状態。”と定義し,慣習的な真空領域についても,圧力の高い順に,低(粗い)真空( low ( rough ) vacuum : 105 Pa ~ 102 Pa ),中真空( medium vacuum : 102 Pa ~ 10-1 Pa ),高真空( high vacuum : 10-1 Pa ~ 10-5 Pa ),超高真空( ultra - high vacuum : 10-5 Pa 以下)と定義している。
 真空計
 一般的に真空計( vacuum gauge )という場合には,大気圧以下の圧力を測るための器具を意味する。
 1 台で大気圧(1.013 × 105 Pa )から高真空( 0.1 Pa 未満)を測定できる真空計は存在しなので,目的とする気圧に応じた真空計を選択しなければならない。
 液柱型水銀気圧計
 水銀柱を用いたマノメーターは,大気圧付近の低真空の測定に用いられる。中空のガラス管( U 字管)に水銀を入れ,一方の端を測定する気体と連結させることで,水銀液面の変動から大気圧との差圧を計測できる。測定範囲は,大気圧から 10 Pa程度までである。
 10 mPa 程度までの高真空を測定できるように工夫された液柱型水銀気圧計にマクラウド真空計がある。
 熱伝導率式圧力計
 熱伝導率式圧力計は,気体の熱伝導率の圧力変化を利用する方式である。すなわち,気体の中に電熱線を入れ,その冷却速度から気圧を計測する。
 この種にピラニ真空計がある。測定する空間に金属線をさらすタイプで,金属線に電流を流し発生したジュール熱と平衡温度での電気抵抗から圧力を求める。測定範囲は1000 ~ 10-1 Pa 程度である。
 電離真空計
 電離真空計は,高真空に適した高感度の圧力計である。気体分子に電子が衝突して生じるイオンを測定し,圧力を間接的に測定する。電子顕微鏡,質量分析計などの超高真空( 10-5 Pa 以下)が必要な場合の計測には,このタイプの真空計が用いられる。電離真空計には,熱陰極タイプと冷陰極タイプがある。
 熱陰極タイプでは,電流で加熱したフィラメントから出る電子ビームで気体分子をイオン化する。電子ビームによるイオン化が必要なため,約 1 Pa 以上の気圧は測定できない。測定範囲としては,10-1 ~ 10-8 Pa 程度である。
 冷陰極タイプには,陰極と陽極の位置関係でペニング真空計と逆マグネトロン真空計の 2 種に分けられる。逆マグネトロン真空計は 10-10 Pa まで測定可能である。

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