化 学 (物質の状態と変化)

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 【濃度調整:溶質が液体の場合】

 物質の計量では,固体の場合には秤を用いた質量の計測が,液体の場合は,質量又は体積測定が一般的である。
 特に,溶液濃度を精度高く求める場合は,計量中の溶媒揮発の影響が少ないメスフラスコなどの体積計を用いることが多い。
 溶質に液体を用いる場合には,溶質の容量と混合後の溶液の体積を体積計で計測するのが一般的である。この場合の濃度は,体積分率(体積パーセント濃度)で表示することが多い。
 溶質の質量を計算,又は計測できる場合には,物質量濃度(モル濃度),質量濃度(質量体積パーセント濃度)で表示することもある。
 例(メタノール水溶液)
 溶質にメタノール( CH3OH )を用い,溶媒に 1 L (リットル),又は 1 kg の水を用いた場合の濃度調整例を紹介する。
 メタノールの20℃での蒸気圧約 133 hPa と水(蒸気圧 23 hPa )に比較し非常に高く,揮発性の高い溶液である。このため,大気開放の容器に入れたのでは,恒量にならず,精度よい質量や体積の計測は困難である。
 そこで,体積を計測する場合は,メタノール揮発の影響を極力排除するための工夫が必要である。例えば,出し容量の規定されるビュレットやメスピペットを用い,大気との接触時間を極力短くし,規定の量を採取し,直ちに水を適当量入れた入り容積の規定されるメスフラスコに移し,均一に混合になるようにし,最後にメスフラスコの標線まで水を加えて一定の体積とすることで,体積分率(体積パーセント濃度)を求めることができる。
 メスピペットを用いて,メタノール 10 ml ( 10-5 m3)を採取し,1 L のメスフラスコで調整した水溶液の体積分率は,0.01 (= 1 Vol %)となる。20 ℃のメタノールの密度 791.8 kg / m3モル質量 32.04 g / mol である。従って,メスフラスコに添加したメタノールの質量は, 10-5 m3 × 791.8 kg / m3 = 7.918 g ,物質量は,7.918 g / 32.04 g / mol= 0.2471 mol となるので,物質量濃度(モル濃度)は 247.1 mol / m3質量濃度(質量体積パーセント濃度)は 7.918 kg / m3 ( 0.7918 w /V %) と計算される。
 このように,溶質の質量は密度と体積から計算できるが,その温度での適切な密度が文献等で得られない場合には,比重瓶を用いて直接測定する必要がある。密度を求めずに,質量を直接求める方法には,溶質を入れる前のメスフラスコの質量と溶質を入れた後のメスフラスコの質量差から求める方法などが考えられる。

【参考】

● ガラス製体積計の公差
 JIS R 35051994 「ガラス製体積計」に規定される代表的なガラス製体積計と許容誤差( 20℃)を次に示す。
 ビュレット : 10 ± 0.02 mL ,50 ± 0.05 mL
 メスピペット: 10 ± 0.05 mL ,50 ± 0.2 mL
 全量(ホール)ピペット: 10 ± 0.02 mL ,50 ± 0.05 mL
 メスシリンダー: 100 ± 0.5 mL ,300 ± 1.5 mL ,500 ± 2.5 mL ,1000 ± 5.0 mL
 全量(メス)フラスコ: 100 ± 0.1 mL ,300 ± 0.25 mL ,500 ± 0.25 mL ,1000 ± 0.4 mL
 

体積計

体積計

● JIS K 0211 2013 「分析化学用語(基礎部門):Technical terms for analytical chemistry ( General part ) 」
 受け容積( content volume )
 全量フラスコ,メスシリンダーなどの体積計に表示された体積となるように目盛られた標線まで満たされた液の体積。
 出し容積( delivery volume )
 全量ピペット,ビュレットなどの体積計の表示された標線目盛まで満たされた液が,排出されたときの体積。
 恒量( constant weight )
 「同一条件の下で,物質を加熱・放冷・ひょう量などの操作を繰り返したとき,前後の質量の計量差が規定の値以下となった状態。」
 
● ppmとは
 不純物や有害物質の報道などで,濃度の単位として,ppm をよく目にする。
 過去には,大気中のガス濃度( mL / m3 )のみならず,塵埃濃度( mg / m3 )や水溶液中の不純物(μg / L )も ppm で表記されるなど,あたかも単位のように扱われていた。
 しかし,ppm は,parts per million すなわち百万分率といい百分率(%)と同じく比率を表しているので,分子と分母の単位が異なる場合には用いるべきではなく,物質量分率( mol / mol ),体積分率( m3 / m3 ),及び質量分率( kg / kg )の場合にのみ,その比率を表記するときに用いるべきである。
 このため,現在は,主に体積分率( m3 / m3 ),及び質量分率( kg / kg )で表示できる場合で,濃度が非常に小さい場合に限って用いるのが基本となっている。
 分率には,百分率(:パーセント 1 / 100 ),千分率(:パーミル 1 / 1000 ),
 百万分率( ppm : parts per million 1 / 106 ),十億分率( ppb : parts per billon 1 / 109 ),
 一兆分率( ppt : parts per trillion 1 / 1012 ),一千兆分率( ppq : parts per quadrillion 1 / 1015 )などがある。

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