化 学 (物質の状態と変化)

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 【水の特異性】

 他の液体の性質と大きく異なる水の特性を次に紹介する。

融点,沸点が高い

 分子量が約 18 と大気を構成する窒素( 28 ),酸素( 32 )に比べ分子量が小さいにもかかわらず常温で液体になる唯一の物質である。一般的には,融点や沸点は分子量の大きい物質ほど高くなる。

大きい比熱容量,潜熱(融解熱,蒸発熱)

 比熱容量(比熱との表記が多い),融解熱,蒸発熱(気化熱)は,主要な物質中で最大級の高い値をとる。
 比熱容量の例(大気圧 18 ℃,J g-1 K-1
 : 4.2 J g-1 K-1 ,エタノール: 2.4 J g-1 K-1 ,アセトン: 2.2 g-1 K-1 ,ベンゼン: 1.7 J g-1 K-1 ,アルミニウム: 0.9 J g-1 K-1 , ガラス: 0.8 J g-1 K-1 ,鉄: 0.44 J g-1 K-1 ,銅: 0.38 J g-1 K-1 ,銀: 0.23 J g-1 K-1 ,水銀: 0.14 J g-1 K-1
 融解熱の例(大気圧,融点℃,融解熱 J g-1
 アルミニウム: 660.1℃ 397 J g-1: 0 ℃ 335 J g-1 ,銅: 1,083℃ 174 J g-1 ,銀: 961.9℃ 105 J g-1 ,亜鉛: 419.6℃ 101 J g-1 ,金: 1064℃ 64.5 J g-1 ,鉄: 1,530℃ 25.1 J g-1 ,鉛: 327℃ 22.6 J g-1 ,水銀:-39℃ 11.7 J g-1
 蒸発熱の例(大気圧,沸点℃,蒸発熱 J g-1 )沸点と気化熱(蒸発熱)
 : 100℃ 2,250 J g-1 , ベンゼン: 80℃ 130 J g-1 , 四塩化炭素: 77℃ 50 J g-1 ,エタノール: 80℃ 393 J g-1 ,水銀: 357℃ 285 J g-1 ,液体酸素: -183℃ 213 J g-1 ,液体窒素: -196℃ 199 J g-1

表面張力が大きい

 表面張力は,表面に並んだ分子間の相互作用の結果として表れる。表面張力は,分子間力の大きさの目安となる。
 液体の表面張力の例(大気圧,20℃,10-3 N m-1
 水銀: 475 ,: 72.75 ,ベンゼン: 28.9 ,酢酸: 27.7 ,エタノール: 22.55
 水銀は,室温付近で液体ではあるが,金属結合の物質で,分子間力が水素結合やファンデルワールス力の物質に比較し,桁違いに大きくなる。

密度がある温度(約4℃)で最大

 一般的には,液体の温度を下げる,分子の熱運動が低下し,分子間の平均距離が短く(体積の減少)なり,密度が増加する。しかし,沸点から4℃までは,温度の低下と共に密度が増加(体積が減少)するが,その後温度の低下と共に,密度が減少(体積が増加)する。密度の減少は,固体の氷になっても続く(水分子の結晶化の特徴)ため,氷が液体の水に浮いたり,密閉容器に入れた水の凍結で容器が破損したりする。これらの現象は,例外中の例外である。

誘電率が大きい

 外部から電場を与えた時の原子や分子の挙動である。絶対値の測定ができないので,媒質の誘電率と真空の誘電率の比である比誘電率で比較される。
 水は,一部の物質(チタン酸バリウム,ロッシェル塩,シアン化水素など少数)を除き,一般的な物質の中で高い値を持つ。
 比誘電率の例
 チタン酸バリウム(約 5,000 ),ロッシェル塩(約 4,000 ),シアン化水素( 118.8 : 18 ℃),( 80.4 : 20 ℃),アルコール( 16 ~ 31 ),ガラス( 5.4 ~ 9.9 ),イオウ( 3.6 ~ 4.2 ),石英( 3.8 ),紙( 2.0 ~ 2.6 ),空気( 1.00059 )

水の磁気特性

 水は反磁性の性質を示す代表的な物質である。強力な磁石を近づけると水が反発して逃れるように動く現象は,旧約聖書の逸話にちなみ「モーゼ効果」と呼ばれている。
 水は液体の中では桁違いの誘電率を有し,水分子の回転のエネルギー準位に相当するマイクロ波( 18 G Hz )を効率よく吸収する。

何でもよく解かす

 電解質(イオン性の物質)に限らず有機物についても溶かすことができる。
 水ほど多くの物質を溶かすことのできる液体(溶媒)は他になく,特に無機化合物をイオンに分解して溶かす力は抜群である。
 水は結晶水やヒドロキシル基( OH基,水酸基ともいう)の形で他の結晶や鉱物と結合し,結晶水では 200 ℃位,ヒドロキシル基( OH基,水酸基ともいう)になったものは 600 ℃位に加熱しないと分解しないほど強く結合する。

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