化 学 (物質の状態と変化)

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 【界面活性剤の種類と用途】

化学的特徴による分類
 界面活性剤は,親水性部分の違いでイオン性(アニオン性,カチオン性,両性)非イオン性(ノニオン性)に分類される。これとは別に,分子サイズにより低分子系と高分子系にも分類されることもある。次に,主な分類と代表例を紹介する。
 
 アニオン界面活性剤(陰イオン界面活性剤)
 水中で解離したとき陰イオンになるもので,親水基にカルボン酸,スルホン酸,又はリン酸構造を持つものが多い。カルボン酸系には石鹸に用いられる脂肪酸塩,スルホン酸系には合成洗剤に用いられる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム,ラウリル硫酸ナトリウムなどが,リン酸系にはモノアルキルリン酸塩がある。
 カチオン界面活性剤(陽イオン界面活性剤)
 水中で解離したとき陽イオンになるもので,親水基としてテトラアルキルアンモニウムを持つものが多い。逆性石鹸,リンス,柔軟剤などに利用される。
 両性界面活性剤(双性界面活性剤)
 分子内にアニオン性部位とカチオン性部位の両方を持ち,溶液の pH に応じて陽イオン,陰イオンとなる。分子は,アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を組み合わせた構造をもつアルキルジメチルアミンオキシド,アルキルカルボキシベタインなどがある。
 ノニオン界面活性剤(非イオン界面活性剤)
 イオン化しない親水性部分を持つ界面活性剤で,低分子系のアルキルグリコシド系,高分子系のポリエチレングリコール系,ポリビニルアルコール系などがある。

雑貨工業品品質表示規程による分類

 雑貨工業品品質表示規程(平成 25 年 6月 11 日改正,内閣府告示第 137 号)に分類される。「合成洗剤」,「洗濯用又は台所用の石けん」,及び「住宅用又は家具用の洗浄剤」に規定される界面活性剤の種類を紹介する。
陰イオン系界面活性剤
 脂肪酸系(陰イオン):脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム,アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム
 直鎖アルキルベンゼン系:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
 高級アルコール系(陰イオン):アルキル硫酸エステルナトリウム,アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム
 アルファオレフィン系:アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム
 ノルマルパラフィン系:アルキルスルホン酸ナトリウム
 
非イオン系界面活性剤
 脂肪酸系(非イオン):しょ糖脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,脂肪酸アルカノールアミド
 高級アルコール系(非イオン):ポリオキシエチレンアルキルエーテル
 アルキルフェノール系:ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル
 
両性イオン系界面活性剤
 アミノ酸系:アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム
 ベタイン系:アルキルベタイン
 アミンオキシド系:アルキルアミンオキシド
 
陽イオン系界面活性剤
 第 4 級アンモニウム塩系:アルキルトリメチルアンモニウム塩,ジアルキルジメチルアンモニウム塩

工業用途の例

家庭用洗剤など
 洗濯用洗剤の目的は,界面張力を低下させ,① 水溶液をすばやく布地に染みこませること,② 有機系の汚れ(油汚れ)を水溶液中に分散させ,③ すすぎ工程で流水と共に汚れを除去することである。
 台所用洗剤では,油を乳化させて流水中に分散させることを目的に用いる。
 シャンプーは,髪の油汚れを台所用洗剤と同様にして除去することを目的とするが,皮膚や毛髪への影響を配慮したアニオン性界面活性剤が用いられる。
 
化粧品
 化粧クリームは,水・油分(美容成分)・乳化剤(界面活性剤)を主成分とするエマルション(液/液コロイド)である。
 化粧品に用いる界面活性剤(乳化剤)には,乳化性能の他に,塗るときに滑らかに広がる作用,皮膚への刺激性,毒性がないこと,化学変化が少ないなどの特性を求められる。
 化粧品に用いる界面活性剤には,非イオン性のアルキルポリオキシエチレンエーテルや脂肪酸グリセロールエステルなどが用いられる。
 
表面処理剤
 界面活性剤の濡れ性改善による固体表面の改質目的に,広い分野で利用されている。例えば,潤滑剤,撥水剤,展着剤,防錆剤,帯電防止剤,防曇剤,媒染剤などである。
 潤滑剤用途で身近なものには,ヘアーリンスがある。撥水剤は,フッ素系あるいはシリコン系の界面活性剤を用い,ガラスや繊維に塗布することで,水をはじく作用をもたせたものである。展着剤は,除草剤などの農薬を植物に定着させる効果を期待して用いる。防錆剤では,金属表面に均一に塗布(濡れ性)し,表面に疎水性を付与することを目的に界面活性剤が用いられる。

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