化 学 (物質の状態と変化)

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 【熱運動】

 ブラウン運動の解明によって,分子や原子が熱を受けて運動していることが判明した。
 気体や液体では,分子や原子はランダムに熱運動( thermal motion )し,固体では原子が基準となる位置を中心に熱振動( thermak vibration )している。固体が結晶の場合は,特に格子振動( lattice vibration )と呼んでいる。
 注:固体の場合は,分子の運動を熱運動ではなく熱振動というので注意。

分子・原子の運動

分子・原子の運動

 分子,原子などのランダムな並進運動,回転運動,振動などの運動エネルギーの総和を内部エネルギーと呼ぶ。
 エネルギー保存の法則(熱力学第一法則)によると,内部エネルギーの変化量δ U は次のように表現される。
 
    δ U = δ Q -δ W
   ここに,δ Q :系に与えられた熱量
       δ W :系から取り出される仕事
 
 すなわち,系に熱(エネルギー)を与えた場合に,外に対して行った仕事を差し引いた残りのエネルギーは,系を構成する分子や原子の内部エネルギー(運動エネルギー)として蓄えられる。
 固体の温度を上げる(熱を与える)と,内部エネルギーの増加,即ち分子の熱振動が激しくなる。この運動エネルギーが,固体中の分子を固定する力を超えた時,分子が一定の位置から離れて,自由に動ける液体や気体に変わる。
 液体は,さらに温度を上げることで,分子間力による分子の拘束(引力)を超える熱運動に至り,分子が自由に運動する気体に変わることができる。
 逆に,気体の温度を下げる(熱を奪う)と,内部エネルギーの減少で,液体,固体に変化する。
 このように,熱の出入りで,物質を構成する粒子(分子,原子)の熱運動量の変化を原因として,物質の状態は気体,液体,及び固体(三態)の間で変化する。
 
 【参考】
 ● ブラウン運動( Brownian motion )
 1827 年ころに,ロバート・ブラウン(Robert Brown: 1773 ~ 1858年,イギリスの植物学者)が,花粉が浸透圧で破壊し水中に流出した微粒子(デンプン?)が不規則に動くことを発見した。
 これら微粒子の液体中での運動は,長い間明らかにされていなかったが,1905 年にアインシュタインにより発表された論文(ブラウン運動の関係式:アインシュタインの関係式)で物理現象であることが明らかにされた。
 その後,溶媒中(主な媒質は液体であるが,気体,固体の場合のある)に浮遊する微粒子が,熱運動による媒質分子の不規則な衝突で起きるランダムな運動をブラウン運動と称するようになった。
 現在では,電気回路の熱による雑音(自由電子の不規則な熱振動)もブラウン運動の範疇にいれられている。
 ●熱振動( Thermal vibration ),格子振動( lattice vibration )
 熱振動とは,原子の振動を指す。分子や固体中の原子は運動エネルギーを持ち,基準となる位置を中心に振動している。結晶格子上の原子の熱振動を特に格子振動と呼ぶ。
 格子振動は,固体の熱伝導の原因の一つで比熱とも関係が深い。また,格子振動で電子が散乱されるので,電気伝導性や超電導とも関連する。
 振動の駆動力は熱であるが,不確定性原理から絶対零度であっても原子(格子)は振動(零点振動)しているので,一般にいう「絶対零度で運動が停止する」は厳密な意味では成立しない。
 ● エネルギー保存の法則( the law of the conservation of energy )
 「孤立系のエネルギーの総量は変化しない」という物理学における保存則の一つである。エネルギー保存の法則は,熱力学では熱力学第一法則 (the first law of thermodynamics) と呼ばれる基本的な法則の一つである。
 ある系の異なる状態を比較すると,二つの状態のエネルギー総量が同じ(差がゼロ)である。例えば,全部で 3 つの状態があり,それらのエネルギーを A, B, C とすると,それらの差について,A − B = 0 , B − C = 0 , C − A = 0 が成り立つ。
 時間変化においても,任意の時刻のエネルギー総量の時間変化量はゼロである。

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