JIS Z 8741  鏡面光沢度-測定方法

 JIS Z8741  1997年版 鏡面光沢度-測定方法(Specular glossiness−Methods of measurement) を  【目次・適用範囲・用語・種類】,   【測定方法】,   【光沢度の基準・結果の表示】 に分けて紹介する。

 JIS Z8741 鏡面光沢度-測定方法

 JIS規格の目次
 ここでは青字の項目を説明)
 1 適用範囲,2 用語の定義,3 鏡面光沢度測定方法の種類4 測定方法(4.1 測定装置,4.2 測定条件,4.3 計算方法),5 鏡面光沢度の基準,6 鏡面光沢度の標準面(6.1 一次標準面,6.2 実用標準面),7 測定結果の表示
 参考:アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の 45度鏡面反射率の測定方法
 
 1. 適用範囲
 この規格は,鉱工業製品の巨視的にみて平滑な表面の鏡面光沢度を測定する方法について規定する。
 
 2. 用語の定義
 この規格に用いる用語の定義は,JIS Z 8105「色に関する用語」及びJIS Z 8120「光学用語」によるほか,次による。
 鏡面反射:鏡の面での反射のように反射の法則に従う光の反射。
 拡散反射:鏡面反射を除いた拡散的な光の反射。
 鏡面反射率:鏡面反射において反射放射束(又は,反射光束)の,入射放射束(又は,入射光束)に対する比。
 鏡面光沢:主として鏡面反射光の強さによって定められる視知覚の属性。
 鏡面光沢度:鏡面光沢の度合を測定して,数値で表したもの。
 受光角:受光系の光軸と試料面の法線とがなす角。
 
 3. 鏡面光沢度測定方法の種類
 鏡面光沢度測定方法の種類は,表 1による。

表1 鏡面光沢度測定方法の種類
  測定方法の種類    方法 1    方法 2    方法 3    方法 4    方法 5 
  名称   85 度鏡面光沢    75 度鏡面光沢    60 度鏡面光沢    45 度鏡面光沢    20 度鏡面光沢 
  記号   GS ( 85°)   GS ( 75°)   GS ( 60°)   GS ( 45°)   GS ( 20°)
  適用例   塗膜,アルミニウムの陽極酸化皮膜,その他   紙,その他   プラスチック,塗膜,ほうろう,アルミニウムの陽極酸化皮膜,その他 
  適用範囲   方法 3による光沢度が 10以下の表面   ―   ―   ―   方法 3による光沢度が 70を超える表面

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 測定方法

 4 測定方法
 4.1 測定装置
 鏡面光沢度は,図 1(ここでは省略する)に概念を示す装置によって,試料面に規定された入射角で規定の開き角の光束を入射し,鏡面反射方向に反射する規定の開き角の光束を受光器で測る。
 光源の開口 S1はレンズ L2の焦点位置にあるものとし,試料 Tの位置に鏡面を置いたとき,S1の像が受光器の開口 S2の中央に鮮明な像をつくるものとする。入射角θは,開口 S1の中心とレンズ L2の中心(レンズの主点)とを結ぶ線と,試料 Tの法線とがなす角とする。
 開き角α1,α2は,開口 S1,S2をレンズ L2,L3の位置で張る角,開き角α1'は開口 S1の像 S1'がレンズ L3の位置で張る角とする。入射側及び受光側の光軸は,試料面で交わるものとする。ただし,開口 S1は,その位置における光源フィラメントで代用してもよい。
 【参考:シーシーエス(株)光と色の話 第二部・第11回 光沢
 照明光の入射角 θi に合わせて照明用レンズ L1 ,L2 の光軸が設定され、開口 S1 を通して、試料反射面に照明光を入射角 θi で入射させ,その鏡面反射光束をレンズ L3 によって捉えて,受光器側の開口 S2 を介して鏡面反射光束を測定する構成をとります。
 この時,光源側の開口 S1 はレンズL1 の焦点位置にあり,試料面に鏡面を置くと,ほぼ平行光で試料面を照明します。
 受光側のレンズ L3 は鏡面反射光束を捉え,開口 S1 の像が受光側開口 S2 の位置に結像するようになっています。
 開口 S2 は開口 S1 の像を包含するような配置,すなわち、試料面からの鏡面反射光は開口 S2 を通して全て受光器に入射し,鏡面反射光以外の拡散反射光は開口 S2 でカットされるように配置されます。
 このような測定光学系により,試料反射面は入射角 θi のほぼ平行光(狭い開き角 α1 )で照明され,ほぼ平行光(狭い開き角 α1’ )の鏡面反射光束を受光器で捉えます。
 

鏡面光沢度測定装置原理図

鏡面光沢度測定装置原理図
出典:シーシーエス(株):テクニカルガイド・コラム:光と色の話 第二部・第11回 光沢


 4.2 測定条件
 鏡面光沢度を測定する場合,光源には偏光性がないものを用い,光源と受光器には一般に標準の光 D65(JIS Z8720参照),と,分光視感効率 V(λ)(JIS Z8701の等色関数と同一)との組合せと等価のものを用いる。
 反射光束を測定する器具の指示値は,受光器に入射する光束に最大目盛値の 1%以内の範囲で比例しなければならない。
 また,光源による試料の照射面積の入射面に垂直方向の幅は,一般に 10mm以上なければならない。測定装置の条件は,表 2による。
表1 鏡面光沢度測定方法の種類
  幾何条件    方法 1    方法 2    方法 3    方法 4    方法 5 
  入射角(θ)    85±0.1    75±0.1    60±0.2    45±0.2    20±0.5 
  受光射角(θ’)    θ±0.1 
  光源像の開き角(入射面内)    0.75±0.10    2.85±0.30    0.75±0.10 
  光源像の開き角(垂直面内)    2.5±0.1    5.7±0.3    2.5±0.1 
  受光器の開き角(入射面内)    4.0±0.3    11.50±0.05    4.4±0.1    1.80±0.05 
  受光器の開き角(垂直面内)    6.0±0.3    円形    11.7±0.2    3.6±0.1 

 4.3 計算方法
 鏡面光沢度 GS(θ) は,式(1)によって計算する。
     GS(θ) = GOS(θ)・φS/ φOS
     ここに,φS : 規定された入射角θに対する,試料面からの鏡面反射光束
         φOS : 規定された入射角θに対する,標準面からの鏡面反射光束
         GOS(θ) : 使用した標準面の光沢度 (%)
 以下省略

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 光沢度の基準・結果の表示

 5 鏡面光沢度の基準
 屈折率が可視波長範囲全域にわたって,一定値 1.567 であるガラス表面において,規定された入射角θでの鏡面光沢度を基準とし,この値を 100%として表す。
 
 6 鏡面光沢度の標準面
 6.2 実用標準面
 鏡面光沢度の実用標準面は,種々の鏡面光沢度をもった乳白ガラス面,白色タイル面,又は各々の目的に応じ,試料と同種材料の表面とする。これらは,鏡面光沢度測定装置を用い,鏡面光沢度の一次標準面に対して校正されていなければならない。
 備考: 実用標準面は,汚れ,変質などによって,経時的に鏡面光沢度変化が起こりやすいので,ときどき,校正することが望ましい。
 
 7 測定結果の表示
 7.1 測定値の付記事項
 測定値には,次の事項を付記する。
 (1) 測定方法の種類: 方法 1~5のいずれの方法によったかを表 1に示す記号によって明記する。
 (2) 測定装置の種類: 測定に用いた測定装置の名称を付記することが望ましい。
 7.2 測定結果の記載方法
 測定結果は鏡面光沢度の値及び測定に用いた装置名を,一般に次に例示する方法によって記載する。
 例 : GS( 60°)= 42%  ○○製○○形光沢度計

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