JIS R 6253  耐水研磨紙

 JIS R 6253 2006年版  耐水研磨紙 ( Waterproof abrasive papers )を  【序文・目次・適用範囲・種類・品質】,   【材料・試験方法・表示】 に分けて紹介する。

 序文・目次・適用範囲・種類・品質

 序文
 この規格は,1999年に第 2版として発行された ISO 3366,Coated abrasives−Abrasive rolls 及び 2001年に初版として発行された ISO 21948,Coated abrasives−Plain sheets を翻訳し,原国際規格の適用範囲である研磨布紙のうち耐水研磨紙だけを対象とし,かつ,対応する部分(種類,寸法及び許容差,並びに表示)については技術的内容を変更して作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目(品質,材料,試験方法及び検査)を日本工業規格として追加している。
 
 JIS規格の目次(ここでは青字の項目を説明)
 序文,1 適用範囲,2 引用規格,3 種類,4 品質(4.1 外観,4.2 特性),5 寸法及び寸法許容差(5.1 寸法,5.2 寸法許容差),6 材料(6.1 基材,6.2 研磨材,6.3 接着剤),7 試験方法(7.1 引張強さ,7.2 耐水性,7.3 柔軟性),8 検査,9 表示(9.1 製品,9.2 包装)
 
 1 適用範囲
 この規格は,塗装面などの研磨加工に使用する耐水研磨紙について規定する。
 参考
 研磨布紙(coated abrasive)
 読み「けんまふし」,研磨材粒子を接着剤で布や紙の表面に接着させた研磨工具の総称。
 研磨紙(abrasive paper)
 読み「けんまし」,サンドペーパー(sandpaper)ともいい,研磨材粒子をクラフト紙などの紙基材に接着剤で固着したもの。
 耐水処理したクラフト紙に固着させ,塗装面の研磨用に用いるものを耐水研磨紙(waterproof abrasive paper)という。
 坪量(grammage)
 読み「つぼりょう」,紙及び板紙の単位面積の質量。1平方メートル(m2)当たりの紙の重量をグラム(g)で表す。
 
 3 種類
 耐水研磨紙の種類は,形状(シート,ロール),基材の坪量(Aw,Cw,Dw),研磨材の材質(アルミナ質研削材,炭化ケイ素質研削材),及び研磨材の粒度(P60~P2500)によって,表 1(ここでは省略)のとおりとする。
 【参考】
 耐水研磨紙の形状
 シート: 幅 70mm~230mm,長さ 115mm~280mm
 ロール: 幅 12.5mm~600mm,長さ 25m~50m
 研削材(abrasives)
 金属,木材などを削り取るために使用する硬さの高い物質の総称。一般的に粒度の粗いものをいう。(JIS R 6111 参照)【JIS R 6004「研削材及び研磨材,といし並びに研磨布紙-用語及び記号」】
 アルミナ質研削材(alumina abrasives)の種別
 主成分がアルミナから成る褐色アルミナ研削材(A),白色アルミナ研削材(WA),淡紅色アルミナ研削材(PA),解砕形アルミナ研削材(HA),人造エメリー研削材(AE)及びアルミナジルコニア研削材(AZ)の総称。(JIS R 6111 参照)【JIS R 6004「研削材及び研磨材,といし並びに研磨布紙-用語及び記号」】
 炭化けい素質研削材(silicon carbide abrasives)の種別
 黒色炭化けい素研削材(C)と緑色炭化けい素研削材(GC)との総称。(JIS R 6111 参照)【JIS R 6004「研削材及び研磨材,といし並びに研磨布紙-用語及び記号」】
 粗粒(macrogrits)
 粒度が F4~F220及び P12~P220のと粒。(JIS R 6001 及び JIS R 6010 参照) 【JIS R 6004「研削材及び研磨材,といし並びに研磨布紙-用語及び記号」】
 粒子径の大きい研削材。粒度範囲 F4~F220 で表示される 26段階に粒度区分されたもの。【JIS R 6001-1 「研削といし用研削材の粒度-第1部:粗粒」】
 粒度(grain size,grit number)
 粒子の大きさを表す呼称。(JIS R 6001 及び JIS R 6010 参照)【JIS R 6004「研削材及び研磨材,といし並びに研磨布紙-用語及び記号」】
 粒度(粗粒): 粗粒の呼び寸法。粒度分布試験によって求めた,ふるい公称目開きに対する累積質量分率の分布状態によって表した粒度。【JIS R 6001-1 「研削といし用研削材の粒度-第1部:粗粒」】
 粗粒の粒度分布は,JIS R 6011「研磨布紙用研磨材の粗粒の粒度試験方法」に規定するふるい分け試験方法によって粒度測定を行い,Q1( 1段ふるいの網上量),Q2( 1+2段ふるいの累積網上量),Q3( 1+2+3段ふるいの累積網上量),Q4( 1+2+3+4段ふるいの累積網上量),Q5( 1+2+3+4+5段ふるいの累積網上量)及び∆Q( 5段ふるいの網下量)が規定に適合しなければならない。【JIS R 6010 「研磨布紙用研磨材の粒度」】
 
 4 品質
 4.1 外観
 耐水研磨紙には,使用上有害なきず,しわ,破れ,穴及び研磨材の塗装むらがあってはならない。
 4.2 特性
 耐水研磨紙の特性は,表2(ここでは省略,項目は引張強さ,耐水性,柔軟性)による。

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 材料・試験方法・表示

 6 材料
 6.1 基材
 耐水研磨紙に使用する基材は,クラフト紙,又はこれと同等以上の紙とし,その区分は表 5(基材の坪量による種類)による。
 耐水研磨紙の基材の坪量(g/m2)による種類
 Aw ( 110未満),Cw ( 110以上 150未満),Dw ( 150以上)
 【参考】
 なお,研磨紙(JIS R6252)に用いる基材の坪量による種類は,Aw ( 95未満),Cw ( 95以上 140未満),Dw ( 140以上 200未満),Ew ( 200以上)と耐水研磨紙の基材とは異なる。
 6.2 研磨材
 耐水研磨紙に使用する研磨材の種類は,表 6(研磨材の材質による区分,研磨材の種類(記号))による。
 アルミナ質研削材,及び炭化けい素質研削材の品質は,JIS R 6111「人造研削材」に適合するもの又は同等以上のものとする。
 耐水研磨紙に使用する研磨材の粒度は,表 7(研磨材の粒度)に,その特性は,JIS R 6010「研磨布紙用研磨材の粒度」の規定による。
 6.3 接着剤
 研磨材の塗装に使用する接着剤は,目的に対して良質のものでなくてはならない。
 
 7 試験方法
 7.1 引張強さ
 シートは,幅方向及び長さ方向について,また,ロールは,長さ方向だけについて引張強さを測定するものとし,その方法は次による。
  a) 装置  引張試験機を用い,つかみの間隔は,125±0.5mmとする。
  b) 試験片  シートの試験片は 230×280mmのシートから採取し,それぞれの辺が耐水研磨紙の幅及び長さの各方向にそれぞれ平行となるように切り取る。また,ロールの試験片は幅 25mm以上のものを対象とし,その長さ方向に平行になるように切り取る。試験片の幅は 25±0.5mm,長さは試験機のつかみの間隔に対し,十分なものとする。
  c) 試験片の前処理  試験片は,あらかじめ温度 20℃±2℃,相対湿度(65±5)%の空気中に 1時間保持した後,直ちに試験に供する。
  d) 操作及び測定値の処理  試験片をつかみに取り付けるには,まず,下部つかみに緩く挟んで一線にそろえ,上部つかみにその上端をしっかり締め付け,次にその下部を締め付け,直ちに毎分 200~350mmの速度で荷重をかける。
 試験片が滑ったり,又はつかみの端で切断した場合の読みは捨て,切断時における引張強さを測定する。測定値は,各方向について,5枚の試験片の引張強さをそれぞれ小数点以下 1けたまで求め,それぞれの引張強さの平均値を,JIS Z8401 「数値の丸め方」によって整数位に丸める。
 7.2 耐水性
 耐水性は,耐水研磨紙を温度約 60℃の水中に 1時間浸した後,直ちに指頭で研磨材面を強く摩擦し,研磨材の離脱の状態を調べる。
 7.3 柔軟性
 柔軟性は,耐水研磨紙を温度 20±2℃,相対湿度 65±5%の空気中に 1時間保持した後,長さ方向を表 8(粒度による丸棒径の使用区分)に示す直径(粒度により 15~60mm)の丸棒に研磨材面を外側にして,徐々に丸棒の曲面に密着させながら 180度折り曲げ,研磨材面の割れ目の状態を調べる。
 
 9 表示
 9.1 製品
 耐水研磨紙には,1製品ごとに,a) 基材の坪量による種類,b) 研磨材の材質による種類(記号),c) 研磨材の粒度による種類,d) 製造業者名又はその略号
 9.2 包装
 耐水研磨紙には,1包装ごとに,a) 基材の坪量による種類,b) 研磨材の材質による種類(記号),c) 研磨材の粒度による種類,d) 寸法(幅×長さ),e) 製造業者名又はその略号

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