JIS Z 8401 数値の丸め方
JIS Z8401 1999年版,2019年版 数値の丸め方(Standard specimens of metals and alloys, Determination of corrosion rate ofstandard specimens for the evaluation of corrosivity of atmospheres) を 【目次・適用範囲】, 【数値の丸め方】 に分けて紹介する。
目次・適用範囲
序文
1999 年版
この規格は,1992年に第 3版として発行された ISO 31-0, Quantities and units−Part 0 : General principles, Annex B (Informative) (Guide to the rounding of numbers) を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格である。
JIS規格の目次
1999 年版
序文,1 適用範囲,2 数値の丸め方
2019 年版
1 適用範囲,2 数値の丸め方
1. 適用範囲
1999 年版
この規格は,鉱工業において用いる十進法の数値の丸め方について規定する。
2019 年版
この規格は,鉱工業において用いる十進法の数値の丸め方について規定する。
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数値の丸め方
1999 年版
a ) 丸めるとは,与えられた数値を,ある一定の丸めの幅の整数倍がつくる系列の中から選んだ数値に置き換えることである。この置き換えた数値を丸めた数値と呼ぶ。
例 1. 丸めの幅: 0.1
整数倍: 12.1,12.2,12.3,12.4,・・・
例 2. 丸めの幅: 10
整数倍: 1210,1220,1230,1240,・・・
b ) 与えられた数値に最も近い整数倍が一つしかない場合には,それを丸めた数値とする。
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
12.223 | 12.2 |
12.251 | 12.3 |
12.275 | 12.3 |
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
1222.3 | 1220 |
1225.1 | 1230 |
1227.5 | 1230 |
c ) 与えられた数値に等しく近い,二つの隣り合う整数倍がある場合には,次の規則Aが用いられる。
規則 A : 丸めた数値として偶数倍のほうを選ぶ。
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
12.25 | 12.2 |
12.35 | 12.4 |
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
1225.0 | 1220 |
1235.0 | 1240 |
備考 : 規則 Aには,例えば,一連の測定値をこの方法で処理するとき,丸めによる誤差が最小になるという特別な利点がある。
参考 1. : c )の場合,次の規則 Bが用いられることもある。
規則 B : 丸めた数値として大きい整数倍のほうを選ぶ。
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
12.25 | 12.3 |
12.35 | 12.4 |
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
1225.0 | 1230 |
1235.0 | 1240 |
参考 2. : 規則 Bは,電子計算機による処理において広く用いられている。
参考 3. : 丸めの幅を d×10k(d,kは整数,ただし,1≦d≦9)とすれば,有効数字は丸めた数値の 10k以上の位の数字列として表す。
例えば,丸めの幅を 10-2=0.01とすれば,10-2以上の位,すなわち,小数点以下 2位までの数字列が有効数字となる。
参考 4. : 丸めの幅を 10k(kは整数)とすれば,規則 Bはいわゆる四捨五入である。なお,丸めの幅を 5×10k(k は整数)とした二捨三入・七捨八入も特定の分野で用いられている。
参考 5. : この規格では対象となる数値として正の数値しか想定していない。負の数値を対象とする場合は,その絶対値に適用しなければならない。
d ) 規則 A,Bを 2回以上使って丸めることは,誤差の原因となる。したがって,丸めは,常に 1段階で行わなければならない。
例: 12.251は,12.3と丸めるべきであって,まず 12.25 とし,次いで 12.2としてはならない。
e ) 規則 A,Bは,丸めた数値の選び方について何の考慮すべき基準もない場合にだけ適用すべきである。
安全性の要求又は一定の制限を考慮しなければならないときは,例えば,常に一定方向へ丸めるほうがよいことがある。
f ) 丸めの幅を表示することが望ましい。
2019 年版
丸めるとは,与えられた数値を,ある一定の丸めの幅の整数倍がつくる系列の中から選んだ数値に置き換えることである。この置き換えた数値を“丸めた数値”と呼ぶ。
例 1 丸めの幅: 0.1
整数倍の系列の例︓ 12.1,12.2,12.3,12.4,・・・
例 2 丸めの幅: 10
整数倍の系列の例︓ 1 210,1 220,1 230,1 240,・・・
数値の丸め方は,次による
a ) 与えられた数値に最も近い整数倍が一つしかない場合には,それを丸めた数値とする。
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
12.223 | 12.2 |
12.251 | 12.3 |
12.275 | 12.3 |
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
1222.3 | 1220 |
1225.1 | 1230 |
1227.5 | 1230 |
b ) 与えられた数値に等しく近い,二つの隣り合う整数倍がある場合には,次のいずれかの規則を用いる。
1 ) 規則 A 丸めた数値として丸めの幅の偶数倍の方を選ぶ。いられる。
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
12.25 | 12.2 |
12.35 | 12.4 |
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
1225.0 | 1220 |
1235.0 | 1240 |
2 ) 規則 B 丸めた数値として大きい整数倍の方を選ぶ。ただし,負の数値を対象とする場合は,その絶対値に適用する。
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
12.25 | 12.3 |
12.35 | 12.4 |
‐12.25 | ‐12.3 |
‐12.35 | ‐12.4 |
与えられた数値 | 丸めた数値 |
---|---|
1225.0 | 1230 |
1235.0 | 1240 |
‐1225.0 | ‐1230 |
‐1235.0 | ‐1240 |
注記 1 : 規則 Aには,例えば,一連の測定値をこの方法で処理するとき,丸めによる誤差が最小になるという利点があるので,一般に推奨されている。
注記 2 : 規則 Bは,計算機による処理において用いられることがある。
注記 3 : 丸めの幅を d×10k( d,kは整数,ただし,1≦d≦9)とすれば,有効数字は丸めた数値の 10k以上の位の数字列として表す。
例えば,丸めの幅を 10-2=0.01とすれば,10-2以上の位,すなわち,小数点以下 2位までの数字列が有効数字となる。
注記 4 : 丸めの幅を 10k( kは整数)とすれば,規則 Bはいわゆる四捨五入である。なお,丸めの幅を 5×10k( kは整数)とした二捨三入・七捨八入も特定の分野で用いられている。
c ) 規則 A及び Bを 2回以上使って丸めることは,誤差の原因となる。したがって,丸めは,常に 1段階で行わなければならない。
例 9 : 12.251は,12.3と丸めなければならず,まず 12.25とし,次いで 12.2としてはならない。
d ) 規則 A及び Bは,丸めた数値の選び方について何の考慮すべき基準もない場合にだけ適用するのがよい。
安全性の要求又は一定の制限を考慮しなければならないときは,例えば,常に一定方向へ丸めるほうがよいことがある。
e ) 数値を示す場合,常に丸めの幅を示すことが望ましい。
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