腐食概論:腐食の基礎

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  【局部腐食とは】

 【表面の揺らぎ】で解説したように,均一腐食(uniform corrosion)は,ミクロ腐食電池(micro-galvanic cell)とも呼ばれる局部電池(local cell)の形成とアノードの移動により進む。
 しかし,何らかの原因(構造的,材質的)で,金属表面,及び/又は環境条件の不均一さの固定により,局部電池が固定された場合には,アノードの移動がなく,アノード部となった個所の腐食が局部的に進む
 
 大気環境に置かれた鋼構造物,機器などで観察される不均一さが固定される局部腐食(local corrosion)の主な原因には,構造上の要因による酸素やイオンなどの濃淡電池(concentration cell),金属材質の違いによる異種金属接触電池(galvanic cell , bimetallic cell)などがある。
 濃淡電池による局部腐食を濃淡電池腐食(concentration cell corrosion)という。濃淡電池腐食の中で,部材の隙間で生じた濃淡電池による局部腐食をすき間腐食(crevice corrosion)酸素の濃淡のみで生じた濃淡電池(通気差電池)による局部腐食を通気差腐食(differential aeration corrosion)という。
 異種金属接触電池による局部腐食は,異種金属接触腐食(bimetallic corrosion, galvanic corrosion)といわれる。
 
 局部腐食の程度は,付着した水溶液の電気抵抗率(electrical resistivity)の影響を強く受ける。
 すなわち,淡水などの電気抵抗率の高い水では,【腐食の継続】で説明したように,アノードと対になるカソードとの距離が長くとれないため,多くの場合には激しい局部腐食に至らない。
 しかし,海水や塩を含む結露水などの電気抵抗率の低い水では,アノードから比較的離れた位置でもカソードとして作用するので,カソード面積(酸素還元量)が大きくとれ,激しい局部腐食が発生し易くなる。
 さらに,塩化物イオンを多く含む水では,不動態皮膜の破壊や緻密性に欠ける腐食生成物の形成などさび層の健全性(用語として適切かは疑問)が低く,局部腐食の進行を促進する。
 電気抵抗率は,物質の電気の通し難さを表す物性値(単位はΩ・m )であるが,溶液の場合は,電気抵抗率の逆数,すなわち溶液の電気の通しやすさを表す物性値として,単位 S/m(ジーメンス/メートル)の電気伝導率(electric conductivity)を広く用いている。なお,S(ジーメンス)とは,抵抗の逆数 S=Ω-1 である。

  【主な用語の概説】

 局部電池(local cell)
 ローカルセルともいい,金属側又は環境側の不均一性が原因となって,金属表面に局部的に形成された腐食電池。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 一つの金属体表面で局部的に構成される短絡電池。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
 局部腐食(local corrosion)
 読み「きょくぶふしょく」,金属表面の腐食が均一でなく,局部的に集中して生じる腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 局部的に集中して起こる腐食。【JIS H 0201「アルミニウム表面処理用語」】
 金属種や腐食要因の違いで孔食,すき間腐食,異種金属接触腐食など様々ある。
 マクロ腐食電池(macro-galvanic cell)
 アノードとカソードがはっきりと区別できる程度の大きさをもち,その位置が固定されている腐食電池をいい,異種金属接触電池,通気差電池などがこれに属する。【JIS Z 0103「防せい防食用語」】
 濃淡電池腐食(concentration cell corrosion)
 読み「のうたんでんちふしょく」,金属表面に接触する水溶液中のイオンや溶存酸素の濃度が局部的に異なるために生じた電池による腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 濃淡を原因とする電位差で生じた電池(マクロ腐食電池)による腐食で,広義の電池作用腐食(ガルバニック腐食;galvanic corrosion)の一種である。なお,酸素の濃淡電池形成の場合を通気差腐食(differential aeration corrosion)などともいう。
 通気差腐食(differential aeration corrosion)
 読み「つうきさふしょく」,溶存酸素濃度の差異によって生じた電池による腐食。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 異種金属接触腐食(bimetallic corrosion, galvanic corrosion)
 読み「いしゅきんぞくせっしょくふしょく」,異種金属が直接接続されて,両者間に電池が構成された時に生じる腐食。ガルバニック腐食ともいう。【JIS Z0103「防せい防食用語」】
 電解質を介して電気回路が形成している場合には接触腐食ともいわれる。
 マクロ腐食電池(macro-galvanic cell)による電池作用腐食(ガルバニック腐食;galvanic corrosion)の一種ではあるが,一般に,ガルバニック腐食と称した場合には,異種金属接触電池(galvanic cell)による腐食を指すのが通例となっている。

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