化 学 (生化学)

  ☆ “ホーム” ⇒ “生活の中の科学“ ⇒
 
 ここでは,生体物質として代表的な脂質について, 【脂質とは】【単純脂質】【複合脂質】【不けん化物】に項目を分けて紹介する。

 【脂質とは】

 脂質( lipid )の一般的な定義は,“生体成分のうち,に溶けにくく,有機溶媒(クロロホルム,エーテル,ベンゼンなど)に溶けるもの”である。このように,脂質には,糖質やたんぱく質と異なり,特定の化学的,構造的性質による明確な定義はなく,溶解性により定義されている。
 
 脂質の溶解性による定義では,数多くの例外が存在する。このため,生化学的な定義では「長鎖脂肪酸,又は炭化水素鎖を持つ生物体内に存在あるいは生物由来の分子」となっている。
 IUPAC(国際純正・応用化学連合)でも“ loosely defined term ”とし,厳密な脂質の定義はなく,① 非極性溶媒に可溶,② 生物由来の物質としている。
 
 脂質の分類
 脂質とは,多種類の成分を含む化合物である。一般的には,油脂(脂肪)などの単純脂質,リン脂質,糖脂質などの複合脂質,カロテノイド,コレステロールなどの不けん化物(誘導脂質)に大別される。
 
 参考
 食品分析表では脂質,栄養調査では脂肪(単純脂質)というように,脂質と脂肪は食品・栄養の分野ではしばしば同義語として用いられる。これは,食品中の脂質のほとんどは脂肪のためである。

 

 【単純脂質】

 単純脂質( Simple Lipid )とは,アルコール(直鎖アルコール,グリセリン(グリセロール),ステロールなど)と脂肪酸(鎖式炭化水素の一価のカルボン酸でパルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸,リノール酸など)のエステルをいう。
 単純脂質には,油脂(脂肪酸とグリセリン(グリセロール)のエステル,トリグリセリド,中性脂肪,アシルグリセロール,グリセリドなどともいう),(ろう:高級脂肪酸と一価または二価の高級アルコールとのエステル,ワックスともいう),セラミド( スフィンゴシン(2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール)と脂肪酸がアミド結合した化合物)などがある。

単純脂質の構造例

単純脂質の構造例

 参考
 グリセリンについて
 グリセリン( glycerin(e) )は,IUPAC 名プロパン-1,2,3-トリオール( propane-1,2,3-triol )の伝統的な一般名であったが,アルコール化合物のため,グリセロール( glycerol )の名称も広く用いられている。生化学の分野ではグリセロールと称する例がおおい。
 しかし,JIS 規格では,例えば,JIS K 8295「グリセリン(試薬):Glycerol (Reagent) 」,JIS K 3351「工業用グリセリン:Glycerines for industrial use 」,JIS K 3211「界面活性剤用語:Technical terms for surface active agents 」などでは,日本語の一般名称としてグリセリンを用いている。

  ページの先頭へ

 【複合脂質】

 単純脂質にリン酸・硫黄・窒素塩基・糖などが加わった複合脂質( Complex lipid , Compound lipid )は,リン脂質と糖脂質に大別される。
 
 リン脂質
 リン脂質( Phospholipid , Phosphatide )とは,構造中にリン酸エステル部位をもつ脂質の総称で,二重膜構造の細胞膜の構成成分であり,生体内でのシグナル伝達に関与する。
 一般的なリン脂質は,グリセリン(グリセロール,プロパン-1,2,3-トリオール)やスフィンゴシン( 2-アミノ-4-オクタデセン-1,3-ジオール)を中心骨格とし,脂肪酸とリン酸が結合するとともに,リン酸にアルコールがエステル結合した構造をもつ。
 脂肪酸やアルコールの種類と組み合わせにより,多くのリン脂質が存在するが,中心骨格により,グリセロリン脂質( Glycerophospholipid ),スフィンゴリン脂質( Sphingophospholipid )に分けられる。
 
 糖脂質
 糖脂質( Glycolipid )は,グリコリピドともいい,リン( P )を含まず,ガラクトース窒素を含むアミノ糖を成分とし,脳の主要な脂質成分である。
 糖脂質には,加水分解で脂肪酸,グリセリン(グリセロール),及び糖になるグリコ糖脂質( Glyceroglycolipid ),脂肪酸,スフィンゴシン(又は類似の塩基),及び糖になるスフィンゴ糖脂質( Sphingoglycolipid ,セレブロンド)などがある。

複合脂質の構造例

複合脂質の構造例

  ページの先頭へ

 【不けん化物】

 生化学や栄養学では,生体由来の脂質の中で,油脂や蝋などにアルカリ液(水酸化カリウムアルコール溶液)を加えて加水分解けん化し,反応生成物の水に溶ける有機酸の塩とアルコールを除き,有機溶媒(石油エーテル)に可溶なけん化を受けなかった油脂を不けん化物( unsaponifiable matter )という。
 不けん化物は,ステロール( 3位にヒドロキシ基を持つステロイド),色素,脂溶性ビタミンなど,一般的な油脂の中に 0.5 %程度存在する。。

  ページの先頭へ