第六部:生化学の基礎 糖質(炭水化物)

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  ここでは,人の三大栄養素の一つである糖質に関連し, 【炭水化物・糖質・糖の違い】 を紹介する。

  炭水化物・糖質・糖の違い

 炭水化物( carbohydrate )
 一般的に,炭素( C ),水素( H ),酸素( O )の 3元素により,分子式 Cm(H2O)n と書き表せるものに対し,炭素( C )と水( H2O )の化合物のように見えるため,炭水化物や含水炭素と呼ばれてきた。
 栄養学では,人間が消化できない食物繊維,および人などが異化(分解しエネルギー源として利用)できる糖質の総称を炭水化物としている。

 なお,酸素原子の数が一般式より一つ少ないデオキシリボース( C5H10O4 )など,硫黄(いおう)化合物を含むもの(コンドロイチン硫酸など)や窒素原子を含むもの(アミノ糖など)などの一般式で表すことができない糖質も炭水化物に含められる。
 すなわち,炭水化物とは,化学的には,多価アルコールのアルデヒドまたはケトンおよびその誘導体の総称といえる。

 糖質( saccharides )
 栄養学では, 糖質を食物繊維ではない炭水化物と定義している。

 糖質は,天然に存在する有機化合物の中で最も量の多い化合物である。糖質は,生物に必要不可欠な物質で,骨格形成,貯蔵,代謝等に広く用いられるため,たんぱく質,脂質と共に「三大栄養素」と呼ばれている。
 糖質の多くは単糖が直鎖状もしくは枝分れのある鎖状に結合した高分子化合物(多糖類である。
 広義には糖質に,ポリアルコールやその酸(例えばグリセロール,ソルビトール,グリセリン酸,グルコン酸,グルクロン酸,グルコサミンなど)も含めるが,これらはという場合には区別される化合物である。
 最も単純なには,グリセルアルデヒド,ジヒドロキシアセトンがある。

 ( sugar , saccharose )
 広義では単糖( monosaccharide )を構成成分とする化合物の総称で,狭義では単糖を構成成分とする化合物の中の水溶性で甘味のあるものを指す。代表的なものには,しょ糖(サッカロース,砂糖),グルコースなどがある。
 単糖とは,それ以上加水分解されないをいい,多価アルコールの最初の酸化生成物で,アルデヒド基( ‐CHO ),又はケトン基( >C=O )をひとつ持ち,ポリヒドロキシアルデヒド,又はポリヒドロキシケトンともいわれる。
 2分子,3分子の単糖が脱水縮合したものを二糖,三糖という。数個の単糖が重合したものを総称してオリゴ糖(少糖),多数の単糖が重合したものを多糖と称する。
 なお,単糖の構造には,直鎖構造と環状構造があり,アルデヒド基を持つ糖をアルドース( Aldose )ケトン基を持つ糖をケトース( Ketose )と分類される。
 【参考】
 栄養素( nutrient )
 生化学的には,生物が生命を維持するために栄養(食物)として外界から取り入れる物質を栄養素という。例えば,緑色植物では窒素・燐(りん)・カリウムなどが,人間では,蛋白質,脂肪,炭水化物,ビタミン,無機塩類などが該当する。栄養素は,
 (1) 炭水化物,タンパク質,脂肪などエネルギー源や体構成物の材料となる物質,
 (2) ビタミン,無機塩類(ミネラル)など生命維持に不可欠な役割をはたす物質
 に大別される。
 栄養学的には,生化学的な栄養素の他に,人が健康を維持するための食事由来の成分を含めて栄養素としている。炭水化物のうち人間が消化不能な食物繊維を除いたものを糖質と呼び,有機栄養素のうち糖質,タンパク質,脂肪は,多くの生物種が利用可能な栄養素で三大栄養素と呼ばれる。

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