第六部:生化学の基礎 酵素,ビタミン,ホルモン

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  ここでは,脳内の視床下部,下垂体以外でホルモンを分泌する器官に関連し, 【主な内分泌器官】, 【甲状腺】, 【副甲状腺】, 【膵臓】, 【副腎髄質】, 【副腎皮質】 に項目を分けて紹介する。

  主な内分泌器官

 前項の【脳の構造(ホルモン)】で紹介した脳内のホルモン分泌器官を除き,ホルモンを分泌する内分泌器官について紹介する。

 甲状腺( thyroid gland )
 頚部前面,甲状軟骨のやや下方に位置し,上下方向に 3 ~ 5 cm 程度の長さで H 型をし,気管を前面から囲むように存在する。

 副甲状腺( Parathyroid gland )
 甲状腺に隣接し,人で 2 対計 4 個存在する。

 膵臓(すいぞう,pancreas )
 膵液(すいえき)と呼ばれる消化酵素を含む液体を消化器系に送り込む外分泌腺であるが,膵臓の中にランゲルハンス島と呼ばれる球状の小さな細胞では,インスリン,グルカゴンなどのホルモンを分泌する内分泌腺を有する。

 副腎( adrenal gland )
 腎臓の頭側にある1cm大の小さな臓器で,副腎髄質( adrenal medulla )が副腎皮質( adrenal cortex )に囲まれた 2 層構造になっている。

甲状腺,膵臓,副腎

甲状腺,膵臓,副腎
左図出典:東京女子医科大 高血圧・内分泌内科副甲状腺
右図出典:東京大学医学部付属病院 腎臓・内分泌内科副腎

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  甲状腺

 甲状腺では,甲状腺ホルモンとカルシトニンが分泌される。

 甲状腺ホルモン( thyroid hormone )
 全身の細胞の代謝率を上昇させるアミノ酸誘導体系ホルモンのトリヨードサイロニン( triiodothyronine,略称 T3 ,トリヨードチロニンともいう)とサイロキシン( thyroxin,略称 T4 ,チロキシンともいう)の 2 種類の化合物がある。

 カルシトニン( calcitonin )
 ペプチド(たんぱく質)系ホルモンで,血中のカルシウム濃度に依存して分泌され,骨,腸,腎臓の3箇所の臓器に作用し,カルシウムの放出を抑制し,骨へのカルシウムとリン酸の沈着を促進する。

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  副甲状腺

 副甲状腺では,ペプチド(たんぱく質)系ホルモンパラトルモンが分泌される。

 パラトルモン( parathormone )
 副甲状腺ホルモン( parathyroid hormone ,PTH ),上皮小体ホルモンとも呼ばれ,血液のカルシウムの濃度を増加させる働きがある。

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  膵臓

 膵臓のランゲルハンス島では,ペプチド(たんぱく質)系ホルモンの血糖を抑制する作用を有するインスリン( insulin ),グルカゴン( glucagon ),ソマトスタチン( somatostatin )などを分泌する。

 インスリンは,高血糖で分泌され低血糖で抑制される。グルカゴンは,逆に低血糖により促進され高血糖により分泌が抑制される。ソマトスタチンインスリンとグルカゴンの分泌を抑制する機能を有する。

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  副腎髄質

 アミノ酸誘導体系ホルモンアドレナリンノルアドレナリンの分泌で体のストレス反応などを調節している。

 アドレナリン( adrenaline )
 神経節や脳神経系における神経伝達物質でもあり,ストレス反応の中心的役割を果たす。血中に放出されると心拍数や血圧を上げ,瞳孔を開きブドウ糖の血中濃度(血糖値)を上げる。

 ノルアドレナリン( noradrenaline )
 アドレナリンと共に,心拍数を直接増加させるように交感神経系を動かし,脂肪からエネルギーを放出し,筋肉の素早さを増加させる。

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  副腎皮質

 副腎皮質ホルモン( Corticosteroid )
 副腎皮質で産生されるステロイド系ホルモンの総称を副腎皮質ホルモンという。副腎皮質ホルモンには,機能から 3 つ(糖質コルチコイド,鉱質コルチコイド,性ホルモン)に分類される。
 糖質コルチコイド
 糖質(炭水化物),脂質,及びたんぱくの代謝を制御するコルチゾール( cortisol )などがある。
 鉱質コルチコイド
 腎臓におけるナトリウムの再吸収など,電解質バランスを調節する機能を持つアルドステロン( aldosterone )などがある。
 性ホルモン
 雄性ホルモン,男性ホルモンとも呼ばれるアンドロゲン( androgen )が分泌される。

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