社会資本:自動車と道路の変遷と現状
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近代化前の道路
日本初の鉄製道路桁
江戸末期から明治初期にかけて,西洋技術の積極的な導入の機運が高まり,1868年(慶応4年,明治元年)に長崎の中島川に,日本初の鉄橋が作られました。この鉄橋は,オランダ人技師ホーゲルの設計で,幕府海軍の長崎製鉄所(後の三菱重工業長崎造船所)で製作されたもので“くろがね橋”と言われている。その後,1869年(明治2年)には,神奈川県横浜に,外国人居住区との間に関門としてイギリスから取り寄せた鉄材等を用いて“吉田橋”資料1)が架けられた。しかし,明治期の道路輸送の主体は,徒歩,荷車や馬車で,鉄道のような重量物の輸送を想定した設計は不要であった。このため,都市部以外では道路構造物の主要材料が木材,石材の時代が長く続いた。
都市部での鉄桁拡大
都市部では,人口増加に加え,明治後期には馬車に代わる大量輸送手段として,路面電車が登場した。このため,橋梁などの道路構造物に耐荷性が求められた。路面電車は,1895年(明治28年)に初めて京都に登場してから,東京,大阪など人口密集地の大都市で次々と導入された。路面電車は,車体重量が10トンを超えるなど,それまでの馬車に比較し著しく荷重が増加した。
1897年(明治30年)には,道路橋として初の耐荷性に優れた鋼鉄製トラス橋が登場(東京の永代橋)した。
その後に,自動車の発達により交通体系が大きく変わることになる。これに伴い,道路施設も大幅に変化してきた。
【参考資料】
1) (社)日本橋梁建設協会編集,「新版日本の橋-鉄・鋼橋のあゆみ-」朝倉書店,2004年5月
2) 鈴木五郎「特集/西暦2000年を前に-自動車の昨日・今日・明日 日本の自動車100年-」(社)日本自動車工業会JAMAGAZIN1999年12月号
3) 平成17年警察白書,(財)自動車検査登録情報協会「自動車保有台数統計データ」,(社)新交通管理システム協会「日本の交通事情」
4) 国土交通省道路局,東日本高速道路(株),中日本高速道路(株),西日本高速道路(株),首都高速道路(株),阪神高速道路(株),名古屋高速道路公社,本州四国連絡高速道路(株)などのホームページ
5) 「道路橋示方書(I 共通編・Ⅱ鋼橋編)・同解説」(社)日本道路協会2002年など
6) 道路施設現況調査「橋梁現況調査」H21.4.1(国土交通省道路局)
7) 総務省行政評価局「社会資本の維持管理及び更新に関する行政評価・監視-道路橋の保全等を中心として-結果報告書」平成22年2月
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