金属概論:亜鉛めっき鋼

 技術用語関連のページ探しは
    “キーワード索引”

 関連機関へのリンク,金属関連書籍は
    “お役立ち情報”

  ☆ “ホーム” ⇒ “腐食防食とは“ ⇒

  【電気亜鉛めっき】

 電気めっきとは,直流電流で行う電解めっき法のことである。電解めっき法とは,めっきしたい導電性材料(鋼など)をめっきする金属陽イオン(ここでは,Zn2+)を含む溶液に浸漬し,溶液中の陽イオンを電導性のある物体表面で電気化学的に還元する方法である。この操作で,金属表面に付着した陽イオンを金属原子に還元し,層状のめっき膜を形成さすることができる。
 電気めっきの目的は,母材の劣る,又は欠けている特性(耐摩耗性,耐食性,潤滑性,美しさなど)を補うことにある。この目的で実用されているものに,薄鋼板(鋼帯)にめっきした屋根材,自動車部品(ドア,フェンダー,ガソリンタンクなど),家電製品(洗濯機,冷蔵庫,エアコンなど),電気機器(自動販売機,照明器具,配電盤など),及び家具(ロッカー,机,キャビネットなど)などがある。
 特殊な例としては,次に説明する溶融亜鉛めっき(400℃を超える温度での熱影響)では製品化できない場合に,耐食性向上を目的に,コスト増となるが,熱影響のない電気亜鉛めっきで代用する事例もある。

【電気めっき鋼製造方法と特徴】
 トタンなどの鋼帯を原料として製造する場合を例に説明する。一般的には,連続するライン製造「鋼帯 ⇒ 脱油 ⇒ 酸洗 ⇒ めっき ⇒ 化成処理 (⇒ 塗装)」が行われる。

  1. 脱脂工程
     脱脂は,めっき液の均一な濡れ確保に悪影響を及ぼす油分類の除去を目的に実施する重要な工程である。脱脂方法には,
      ① 溶剤洗浄法(有機溶剤による脱脂,浸漬法,スプレー法や蒸気法)
      ② アルカリ洗浄法(アルカリとの化学反応による脱脂,浸漬法,スプレー法,電解法,超音波法)
      ③ エマルジョン溶剤洗浄法(溶剤を水に分散したものでの脱脂,浸漬法,浸漬・攪拌法,スプレー法)
      ④ 蒸気洗浄(高温の水蒸気による脱脂)
    がある。
  2. 酸洗工程
     脱脂工程では,油分やゆるく付着した汚染物以外の強固に付着物する酸化被膜,さび,金属切り屑,無機汚れなどを除去できない。そこで,これらの除去を目的に,無機酸と腐食抑制剤を組み合わせ,化学的に除去する方法が採用される。
     化学力のみでは十分な除去が期待できない場合は,攪拌,超音波照射など物理的な方法を組み合せることもある。
  3. めっき工程
     めっき浴として広く用いられてきたものにシアン化物浴【シアン化亜鉛(ZnCN2+),シアン化ナトリウム,水酸化ナトリウムを加えた水溶液,青化浴ともいう】であった。
     近年は,排水処理の関連からシアン化物を用いない浴(ジンケート浴,酸性浴)を用いる例が増えている。ジンケート浴は,酸化亜鉛(ZnO)と水酸化ナトリウムを主成分とする浴である。酸性浴は,塩化亜鉛(ZnCl),塩化アンモニウム又は塩化カリウムを主成分とする浴である。
     これらの浴では仕上がりを調整するため,光沢剤や添加剤が用いられる。一般的な電気亜鉛めっきでは,20~35℃,直流電圧3~10V,電流密度50~800A/m2の条件が採用されている。
  4. 化成処理
     素材表面の耐食性向上や後工程の塗料との親和性向上を目的に実施される。亜鉛めっきで一般的に用いられる化成処理には,リン酸亜鉛処理,クロメート処理などがある。
     リン酸亜鉛処理は,防食性の向上と塗料の付着性向上を目的に,リン酸(H3PO4),第一リン酸亜鉛(Zn(H2PO4)2)と酸化剤を混合した溶液を用いて,表面にホパイト(Zn3 (PO4)2・4H2O)の均一な皮膜を形成させる処理である。
     クロメート処理は,クロム酸(H2Na2CrO4),硫酸(H2SO4),硝酸(HNO3),リン酸(H3PO4)などを含む溶液に浸漬し,6価クロムから3価クロムへの還元反応と,亜鉛の酸化反応(式 1)で生成した水酸化クロムとクロム酸により,式2 で生成する網目構造を持ち亜鉛イオンを含んだゲル状の皮膜(クロメート処理皮膜)を形成する処理である。
       式1: 2HCrO4-+3Zn+10H+ → 2Cr3++3Zn2++12OH- → 2Cr(OH)3+3Zn(OH)2
       式2: 2Cr(OH)3+CrO42-+2H+ →Cr(OH)3・Cr(OH)・CrO4+2H2O
     処理後の乾燥過程で,多量の水和水が離脱し,堅牢な皮膜が形成される。
     クロメート処理皮膜には,耐食性向上,塗料付着性向上に加えて,光沢仕上げや有色仕上げ(皮膜の厚みにより青→淡黄→黄赤→緑→茶褐色と変化,クロメート液に銀を添加すると黒色クロメート)が可能なため,美装を目的として使用されることが多い。

   ページのトップ