金属概論:アルミニウム合金

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 圧延用に用いるアルミニウム合金の分類に従い,参考資料1)及び JIS H 4000「アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条: Aluminium and aluminium alloy sheets, strips and plates 」,JIS H 4140「アルミニウム及びアルミニウム合金鍛造品: Aluminium and Aluminium Alloy Forgings 」を参考に主なものの特徴と用途を紹介する。

 1000 番台(工業用純アルミニウム)
 アルミニウムの純度が高ければ高いほど耐食性が良いとされている。1000 番台(純度 99 %以上)では Al-Fe-Si 系金属間化合物の形成と分布が耐食性に影響し,Fe/Si 比が高いほど耐食性に劣る
 この系の材料は,加工性,耐食性,溶接性,電気や熱の伝導性に優れ,家庭用品,電気器具,放熱材などに多く使用されているが,強度が低く構造材には適さない。


1000番台の例
  合金番号  特  徴
1085 ,1080
1070,1050
  純アルミニウムのため強度は低いが,成形性,溶接性,耐食性がよい。反射板,照明器具,装飾品,化学工業用タンク,導電材など。 
1100 ,1200   強度は比較的低いが,成形性,溶接性,耐食性がよい。一般器物,建築用材,電気器具,各種容器,印刷板など。1100 は,アルマイト(陽極酸化処理)の光沢改善のため微量の Cu を添加。 
  1N00    1100より若干強度が高く,成形性も優れる。日用品など。 
  1N30    展延性,耐食性がよい。アルミニウムはく地など。 

 2000 番台( Al-Cu-Mn 系合金)
 高力アルミニウム合金(ジュラルミン)と称され,強度の高い合金である。合金成分の Cu は,耐食性を著しく低下させる。Cu の含有率が約 0.05 %以上で悪影響を示すため,この系の合金は,塗装などの防食対策を併用した利用が望ましい。
 代表的な合金は,2017 ,2024 である。一般にジュラルミンと呼ばれるのは A2017 で,A2024 は超ジュラルミンと呼ばれる。これらの材料は,鋼材に匹敵する強度があり,構造用材や鍛造材として使用されるが,Cu 成分の影響で耐食性に劣る。航空機用材料として用いる場合は,表面に耐食性の高い純アルミニウム板を重ねた合せ板として使用される例もある。

2000番台合金の例
  合金番号  特  徴
2014   強度の高い熱処理合金である。耐食性改善のため,表面に 6003 をはり合わせた合せ板がある。航空機用材,各種構造材など。 
2017   熱処理合金で強度が高く,切削加工性もよい。航空機用材,各種構造材など。 
  2219    強度が高く,耐熱性,溶接性もよい。航空宇宙機器など。  
  2024    2017 より強度が高く,切削加工性もよい。耐食性改善のため,表面に1230 をはり合わせた合せ板がある。航空機用材,各種構造材など。 

 3000 番台( Al-Mn 系合金)
 2000 番台及び 7000 番台の耐食性向上を目的として開発された合金で,純アルミニウム程度の耐食性があり,深い孔食は発生しにくい特徴がある。
 代表的な合金は,3003 合金である。Mn の添加で 1000 番台(純アルミニウム)の加工性,耐食性を維持しつつ強度を増加させた合金で,建材,容器などに広く用いられている。3004 ,3104 合金は,Mg 添加量を増やし,強度を高めたもので,建築材料などで多く使用される。

3000番台合金の例
  合金番号  特  徴
3003 ,3203   1100より若干強度が高く,成形性,溶接性,耐食性もよい。一般器物,建築用材船舶用材,フィン材,各種容器など。 
  3004,3104    3003より強度が高く,成形性に優れ,耐食性もよい。飲料缶,屋根板,ドアパネル材,カラーアルミ,電球口金など。 
  3005    3003 より強度が高く,耐食性もよい。建築用材,カラーアルミなど。 
  3105    3003 より若干強度が高く,成形性,耐食性がよい。建築用材,カラーアルミ,キャップなど。 

 4000 番台( Al-Si 系合金)
 比較的多くの Si を添加することで,溶融温度を低くできるため,ろう付け材,溶接ワイヤーに用いられている。さらに,4032 合金は,熱膨張係数が低く,耐熱性,耐摩耗性に優れて,鍛造のピストン材料などに用いられる。耐食性は悪くないほうの合金である。
 
 5000番台( Al-Mg 系合金)
 耐食性合金の代表で海水に対して良い特性を示す。Mg (マグネシウム)が 5 %以上になると粒界割れの恐れが出てくるので注意が必要である。
 この合金系は,耐食性,溶接性に優れ,広く用いられている。Mg 添加量の少ない 5N01 や 5005 合金は装飾用,建材などに,Mg 添加量が中程度の 5052 合金は,強度も中程度である。Mg 添加量の多い合金は,船舶,車両,化学プラントなどの構造用材として用いられる。

5000番台合金の例
  合金番号  特  徴
5005   3003と同程度の強度があり,耐食性,溶接性,加工性がよい。建築内外装材,車両内装材など。 
5052   中程度の強度をもった代表的な合金で,耐食性,成形性,溶接性がよい。船舶・車両・建築用材,飲料缶など。 
  5652    5052の不純物元素を規制して過酸化水素の分解を制御した合金で,その他特性は5052と同程度である。過酸化水素容器など。 
  5154    5052と5083の中程度の強度をもった合金で,耐食性,成形性,溶接性がよい。船舶・車両用材・圧力容器など。 
  5254    5154の不純物元素を規制して過酸化水素の分解を制御した合金で,その他特性は5154と同程度である。過酸化水素容器など。 
  5454    5052より強度が高く,耐食性,成形性,溶接性がよい。自動車用ホイールなど。 
  5082,5182    5083とほぼ同程度の強度があり,成形性,耐食性がよい。飲料缶など。  
  5083    非熱処理合金中で最高の強度があり,耐食性,溶接性がよい。船舶・車両用材・低温タンク,圧力容器など。 
  5086    5154より強度が高く,耐食性の優れた溶接構造用合金である。船舶用材,圧力容器,磁気ディスクなど。  
  5N01    3003とほぼ同程度の強度があり,化学又は電解研磨などの光輝処理後の陽極酸化処理で高い光輝性が得られる。 

 6000 番台( Al-Mg-Si 系合金)
 耐食性は 5000 番台,3000 番台の次に位置し,アルミサッシなどに使用されている。不適切な熱処理を行うと粒界偏析を起こし,耐食性が劣化する場合がある。
 合金系は多種あり,強度のみならず耐食性も優れ,構造用材として広く用いられる。少量の Cu を添加した 6061 合金などは,構造用鋼材に相当する耐力を有する。特に,押出し加工性に優れる 6063 合金はアルミサッシに,6N01 合金は鉄道車両,自動車部材,陸上構造,船舶などに使用されている。

6000番台合金の例
  合金番号  特  徴
6061   耐食性が良好で主にボルト・リベット接合の構造用材として用いられる。船舶・車両・陸上構造物など。 

 7000 番台合金( Al-Zn-Mg 系合金)
 代表的な高力アルミニウム合金である。この系の合金の耐食性は一般によくないと言われている。特に Cu を含む場合には耐食性が劣り,防食対策が必要となる。Mg 3 %以上,Zn 5 %以上では応力腐食割れの恐れが大きくなる。
 7000 番台合金は,Cu を含まない合金(溶接構造用)と Cu を添加した合金に分けられる。
 Cuを含まない合金の代表である 7N01,7003 合金は,比較的高い強度と溶接部の強度が母材に近い溶接構造用材料として鉄道車両(新幹線),陸上構造物などに使用されていまる。
  Cu を添加した合金( 7075 )は,アルミニウム合金のなかで最も高い強度をもち,超々ジュラルミンと呼ばれ,航空機,スポーツ用品などで使用されている。

7000番台合金の例
  合金番号  特  徴
7075   アルミニウム合金中最高の強度をもつ合金の一つである。耐食性改善のため,表面に7072をはり合わせた合せ板もある。航空機用材,スキーなど。 
7N01   強度が高く,耐食性も良好な溶接構造用合金である。車両その他陸上構造物など。 

 8000 番台合金(その他の合金)
 これまでの合金系に属さない材料で,急冷凝固粉末冶金合金や低密度・高剛性材として開発された Al-Li 系合金などがある。アルミ箔用合金 8021 ,8079 は,Fe を添加し強度と圧延加工性を付与した合金である。
 
 【参考資料】
 1)(社)日本アルミニウム協会「アルミニウムハンドブック(第6版)」(2001)

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