鋼橋の製作

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   【4.防食・はじめに】

 鋼構造物の防食設計は,架設環境の腐食性,適用される維持管理計画に応じて,構造物の健全性を期待耐用年数以上維持できるものとしなければならない。この際に,ライフサイクルでの経済性に配慮しつつ適切な材料,工法を選択することになる。
 実用事例のある防食対策には,防食塗装(anticorrosion coating)を用いた構造,耐候性鋼(atmospheric corrosion resisting steel , weathering steel , weatherproof steel)を用いた無塗装構造(bare steel structure),亜鉛めっき鋼(hot-dip zinc-coated steel)金属溶射鋼(metal (thermal) spraying steel)を用いた構造がある。
 腐食の発生や進展は,架設環境条件のみならず,構造物部位で発生する局部的な環境条件の影響も大きい。特に,飛来海塩粒子の影響を受ける海岸環境では,降雨による付着塩などの汚染物質除去(雨洗効果という)が期待できない部位,水はけが悪く結露水の滞留で濡れ時間が長くなる部位などで,局部的に著しい腐食に至ることが経験されている。
 構造物の設計では,環境条件が極端に異なる構造部位を避ける構造,局部腐食を抑制できる防食対策を念頭において検討するのが望ましい。

 設計時の前提について
 鋼構造物の耐食性の検討では,設計耐用期間中における維持管理方法,腐食をどの程度許容するのか明確にする必要がある。
 例えば,構造物毎に,次に示す例のような,耐腐食性レベルを設定し,これを期待耐用年数内で超えない適切な鋼材や防食工法などを設計することになる。

  • 耐腐食性レベルⅠ
     レベル : 設計耐用期間中の耐力低下が生じるような断面減少を許容しない
     維持管理: 定期的な検査,定期的な塗替え塗装。
  • 耐腐食性レベルⅡ
     レベル : 設計耐用期間中の腐食による断面減少及びそれに伴うわずかな耐力の減少を許容する。
     維持管理: 定期的な検査,必要に応じて,塗替え塗装,ただし部材の取り換え,補強は行わない。
 例えば,無塗装橋梁,すなわち耐候性鋼材を裸で使用する鋼橋を選択する場合には,一般には,耐腐食性レベルⅠを選択し,片面での腐食による板厚み減少量として,50年で0.30mm,100年で0.5mm以下となる環境を目安とした設計を行っている。
 設計では,前述した局部的腐食環境を考慮しなければならない。この例として,鉄道では,架設環境により,桁端部や部材下面など濡れ時間が長くなると想定された部位に対し,新設時から塗装する対策も適用されている。
 
 【参考】
 耐候性鋼材
 溶接構造用耐候性熱間圧延鋼材(Hot-rolled atmospheric corrosion resisting steels for welded structure,JIS G3114 1968年制定 SMA材)と高耐候性圧延鋼材(Superior atmospheric corrosion resisting rolled steel,JIS G 3125 1971年制定 SPA材)がある。
 SMA材は,橋梁,建築,その他の構造物に用いる溶接性を考慮した耐候性(自然環境の大気中での腐食に耐える性質)の高い熱間圧延鋼材である。SPA材は,車両,建築,鉄塔その他の構造物に用いる高い耐候性をもつ圧延鋼材である。
 溶融亜鉛めっき鋼
 溶融めっき法の一種で,鋼材や部材を 440℃前後の溶融した亜鉛浴に浸漬して,鋼材表面に鉄と亜鉛の合金層,純亜鉛層の厚い皮膜を形成したものである。
 金属溶射
 ブラスト法で適度な粗度に素地調整した鋼材表面に,溶融した亜鉛や亜鉛-アルミニウム合金などを吹き付けて,防食皮膜を形成する方法である。

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