社会資本:鋼橋の維持管理(道路)
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鋼橋の損傷評価(部材の破断・防食機能の低下)
【部材の破断】
腐食や亀裂が進展して部材の断裂が生じており,断裂部以外に亀裂や腐食がない場合には破断としてのみ評価するが,断裂部以外にも亀裂や腐食が生じている場合にはそれぞれの損傷についても評価する。ボルト・リベットの破断,折損は「ゆるみ・脱落」として評価する。
損傷程度の評価と記録
破断の発生位置やその範囲・状況をスケッチや写真で記録するとともに,代表的な損傷の主要寸法を損傷図に記載する。
区分 | 一般的状況 |
---|---|
a | 損傷なし |
b | (評価区分なし) |
c | (評価区分なし) |
d | (評価区分なし) |
e | 破断している |
【防食機能の劣化】
防食機能の評価は,防食皮膜である塗装及びメッキ・金属溶射と耐候性鋼材の3種に分けて行う。
防食皮膜の評価は,劣化による変色,ひびわれ,ふくれ,はがれ等の状態を評価する。錆が生じている場合には腐食としても評価する。ここの評価では,コンクリート部材の塗装は対象としない。
耐候性鋼材については安定錆(保護性錆)が形成されていない状態を評価する。著しい断面欠損を伴わうと見なせる場合には腐食としても評価する。
損傷程度の評価と記録
損傷の発生位置やその範囲・状況をスケッチや写真で記録するとともに,代表的な損傷の主要寸法を損傷図に記載する。
亜鉛めっきや亜鉛溶射において,白錆や”やけ”は,ただちに耐食性に影響を及ぼすものではないため損傷とはならないが,その状況は損傷図に記録する。
耐候性鋼材の錆の色は,黄色・赤色から黒褐色へと変化して行くが,錆色だけで保護性錆かどうかを判断することはできない。また,表面処理を施した場合に,皮膜の残っている状態で錆むらが生じることもある。
区分 | 一般的状況 | ||
---|---|---|---|
塗装 | メッキ・金属溶射 | 耐候性鋼材 | |
a | 損傷なし | 損傷なし | 損傷なし |
b | (評価区分なし) | (評価区分なし) | (評価区分なし) |
c | 最外層の防食皮膜に変色を生じたり,局所的なうきが生じている。 | 局所的に防食皮膜が劣化し,点錆が発生する。 | 錆の大きさは1~5mm程度で粗い。 |
d | 部分的に防食皮膜が剥離し,下塗りが露出する。 | (評価区分なし) | 錆の大きさは5~25mm程度のうろこ状である。 |
e | 防食皮膜の劣化範囲が広く,点錆が発生する。 | 防食皮膜の劣化範囲が広く,点錆が発生する。 | 錆は層状の剥離がある。 |
【変形・欠損】
車の衝突や施工時の当てきず,地震の影響など,その原因に関わらず部材が局部的な変形を生じている状態,あるいはその一部を欠損している場合をいう。鋼部材における亀裂や破断などが同時に生じている場合には,それぞれの項目でも評価する。
損傷程度の評価と記録
変形・欠損の発生位置やその範囲・状況をスケッチや写真で記録するとともに,代表的な損傷の主要寸法を損傷図に記載する。
区分 | 一般的状況 |
---|---|
a | 損傷なし |
b | (評価区分なし) |
c | 部材が局部的に変形している。その一部が欠損している。 |
d | (評価区分なし) |
e | 部材が局部的に著しく変形している。その一部が著しく欠損している。 |
【異常なたわみ】
異常なたわみとは,橋梁の構造的欠陥または損傷が原因で,それぞれが複合して生じる場合がある。他の損傷と重複する場合であっても更に異常なたわみとしても評価する。
点検で判断可能な「異常なたわみ」は,死荷重による垂れ下がりである。活荷重による一時的なたわみは異常として評価できない。
損傷程度の評価と記録
異常なたわみの発生位置やその範囲・状況を損傷図にスケッチや写真で記録する。
区分 | 一般的状況 |
---|---|
a | 損傷なし |
b | (評価区分なし) |
c | (評価区分なし) |
d | (評価区分なし) |
e | 主桁,点検施設等に異常なたわみが確認できる。 |
【異常な音・振動】
異常な音・振動は,橋梁の構造的欠陥や損傷が原因で発生すると考えられる。他の損傷と重複する場合であっても更に異常な音・振動としても評価する。
損傷程度の評価と記録
異常な音・振動の発生位置やその範囲を損傷図にスケッチや写真で記録するとともに,発生時の状況(車両通過,風の強さ・向きなど)を損傷図に記載する。
また,発生箇所が特定できない場合は,「異常を有する(発生箇所不明)」と損傷図に記載する。
区分 | 一般的状況 |
---|---|
a | 損傷なし |
b | (評価区分なし) |
c | (評価区分なし) |
d | (評価区分なし) |
e | 落橋防止システム,伸縮装置,支承,遮音壁,桁,点検施設等から異常な音が聞こえる,あるいは異常な振動や揺れを確認することができる。 |
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