社会資本鋼橋の維持管理(道路

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 定期点検の要領

(1) 定期点検の目的
 道路の管理では,安全で円滑な交通を確保すること,沿道や第三者への被害の防止することが目的となる。この中で,橋梁の定期点検は,橋梁に係る維持管理を効率的に行うために必要な情報を得ることを目的に実施される。
 このため,定期点検等において,「はじめに」の図にあるように,損傷(変状)状況の把握,対策区分の判定,点検結果の記録を行う。

(2) 定期点検の頻度
 供用後 2 年以内に初回の定期点検が行われ,2 回目以降は,原則として 5 年以内に実施される。
 初回の定期点検は,橋梁の初期欠陥の早期発見,橋梁の初期状態の把握による損傷の進展過程を明らかにすることを目的としている。
 初期欠陥の代表的なものには,
 ① 施工品質に起因する塗装のはがれやふくれ,伸縮装置の遊間不良,ボルトのゆるみ,排水不良,
 ② 設計時の配慮不足に起因する異種金属接触腐食,耐候性鋼材の異常腐食,排水不良,
 ③ その他の要因による部材の振動,損傷,コンクリート部材のひびわれなどがある。

(3) 点検項目(損傷の分類)
 定期検査は,目視による外観調査が主体であるため,携行する機械機器類は,① 点検用具(双眼鏡,点検ハンマー,巻尺,ポール等),② 記録用具(カメラ,ビデオカメラ,チョーク,黒板,マジック,スケール,記録用紙),③ 点検用補助機器(照明設備,懐中電灯,清掃用具,交通安全・規制用具,ロープ,ガムテープ),④ 近接用具(梯子,脚立)などである。
 鋼橋の点検で観察する項目,すなわち損傷は,次のように分類される。なお,ここでは鋼橋の鋼材について記述し,床版等のコンクリート部材については省略した。

  • 種類 1 : 腐食,亀裂,ゆるみ・脱落,破断,防食機能の劣化
  • 種類 2 : 変形・欠損,異常なたわみ,異常な音・振動
  • その他 : 沈下・移動・傾斜,漏水・滞水,土砂詰り,支承の機能障害,遊間の異常,変色・劣化
 なお,種類 1 及び種類 2 は,次の項で説明する「点検での注目部位・部材と点検項目」において,煩雑さを回避するため,「点検要領」で定めた便宜的なグループ分けで,一般に用いられる区分ではないので注意が必要である。
(4) 鋼橋の点検
 「点検要領」では,鋼橋の部位・部材で点検対象の種類を区分している。
 ここでの「部材」は,例えば主桁,橋脚,支承本体等を指し,「部位」は部材中の特定部位,例えば橋脚の柱部・壁部,梁部,隅角部・接合部等を指す。
 主要部材とは,損傷を放置しておくと橋の架け替えも必要になると想定される部材を指し,「主桁」,「横桁」,「縦桁」,「床版」,「主構トラスの上・下弦材,斜材,垂直材及び橋門構」,「アーチのアーチリブ,補剛桁,吊り材,支柱及び橋門構」,「ラーメンの主構(桁・脚)」,「斜張橋の斜材及び塔柱」,「外ケーブル」,「橋脚」,「橋台」,「基礎」である。

点検での注目部位・部材と点検項目
  注目部位・部材(要素)    点検対象の損傷種類 
  上部構造    主桁,横桁,縦桁,床版,対傾構,横構(上下), 
  主構トラス(上・下弦材,斜材,垂直材,橋門構), 
  アーチ(アーチリブ,補剛桁,吊り材,支柱,橋門構),ラーメン(主桁,主脚), 
  斜張橋(斜材,塔柱,塔部水平材,塔部斜材),外ケーブル 
  種類1,種類2,遊間の異常,定着部の異常 
  支承部    支承本体    種類1,支承の機能障害,変形・欠損,漏水・滞水,土砂詰り,沈下・移動・傾斜 
  落橋防止装置    種類1,種類2 
  下部構造    橋脚(柱部・壁部,梁部,隅角部・接合部),(橋台,基礎はコンクリート)    種類1,種類2 
  その他    高欄,防護柵,地覆い,中央分離帯    種類1,変形・欠損 
  伸縮装置    種類1,遊間の異常,変形・欠損,土砂詰り 
  遮音施設,照明施設,標識施設    種類1,変形・欠損変色・劣化 
  点検施設,添加物    種類1,種類2 
  排水施設(排水ます,排水管)    腐食,破断,防食機能劣化,漏水・滞水,変形・欠損,土砂詰りなど 

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