塗料(品質・試験)

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 JIS K 5500「塗料用語」の用語定義の中から,塗料の品質に関わる性能,評価試験に関連する用語を抜粋しもの,及び塗料用語辞典(色材協会),塗料原料便覧(日本塗料工業会)などを参照したSEKIGIN独自の解説を紹介します。なお,解説中の“参考追記:”は,JIS用語規定を分かりやすくするため,SEKIGIN担当者が追記した内容です。

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用語 対応英訳 定義・解説 出典
ポットライフ pot life 幾つかの成分に分けて供給される塗料を混合した後,使用できる最長の時間。JIS K 5600-2-6「塗料一般試験方法-第2部:塗料の性状・安定性-第6節:ポットライフ」 K5500
容器の中での状態 condition in container 塗料を容器に入れて貯蔵した後の状態。顔料を含む塗料では,かき混ぜるか練り混ぜるかしてみて,一様な状態になればよいとする。JIS K 5600-1-1 「塗料成分試験方法-第1部:通則-第1節:試験一般」参照。 K5500
貯蔵安定性 storage stability 貯蔵しても変質しにくい性質。塗料を一定の条件で貯蔵した後塗ってみて,塗る作業はできた塗膜に支障がないかどうかを調べて判定する。 K5500
貯蔵寿命, シェルフライフ shelf life 通常の貯蔵条件で製造時の容器に密封して貯蔵したとき,塗料が良好な状態を維持している期間。
備考:通常の貯蔵条件という言葉は,他の温度が用いられることもあるが,通常は5℃~35℃の間で貯蔵することを意味すると理解されている。
K5500
皮張り skinning 貯蔵中に容器の中で,塗料が空気と接触する表面に皮を作る現象。JIS K 5600-1-3「塗料一般試験方法-第1部:通則-第3節:試験用試料の検分及び調整」 K5500
ガスの発生 gassing 塗料の貯蔵中にガスが発生する現象。 K5500
低温安定性 low temperature stability JIS K 5500「塗料用語」では,冷却しても常温に戻せば,元の性能状態に戻る性質。JIS K 5663「合成樹脂エマルションペイント及びシーラー」 K5500
凍解安定性 freeze-thaw stability 水性塗料が凍結・融解を繰り返しても,常温に戻せば元の性能・状態に戻る性質。 K5500
希釈性 dilution stability シンナーが所定の塗料を溶解する性質。希釈性を調べるには,試料と見本品について,等体積のクリヤラッカー又はワニスを薄めたもので塗料を作り,見本品の場合と比べて,塗膜に悪影響がなければ希釈性は劣らないとする。 K5500
希釈安定性 dilution stability 塗料を大量のシンナーでうすめたときの分散系の安定性。樹脂の析出,色の変化,顔料の分離などがないことが必要である。 K5500
顔料分 pigment content 塗料中に含まれる顔料の,塗料全体に対する質量の百分率。 K5500
顔料体積率 pigment volume concentration 塗料の不揮発分全体の容積の中で,顔料,及び/又は体積顔料,及び/又はその他の非塗膜形成要素の固体粒子全体の容積が占める百分率で表した割合。塗膜の性質を同種の塗料間で比較するのに役立つ。PVC K5500
臨界顔料体積濃度 critical pigment volume concentration 固体粒子間の空げきがバインダー(※1)でちょうど充てんされて,その近傍で,ある種の塗膜の性質が急激に変化する顔料体積濃度の値。それを超えると,顔料粒子をつなぐバインダーが不足して塗膜が多孔質になり始める。(C.P.V.C)
(※1)バインダーとは,顔料を結合(bind)し,膜を形成するビヒクル,展色材ともいう。
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溶剤可溶物 solvent soluble matter 塗料の中の,溶剤に溶ける不揮発性の成分。塗膜形成要素,可塑剤の混合物などが含まれる。 K5500
溶剤不溶物 solvent insoluble matter 塗料の中の,溶剤の溶けない成分。主に顔料。 K5500
加熱減量 loss on heating, volatile content 塗料を一定の条件で加熱したときに塗料成分が揮発又は蒸発して減った質量の,元の質量に対する百分率。減量は,主として水分,溶剤などの揮発又は蒸発による。 K5500
加熱残分 solid content, nonvolatile content, non-volatile matter content 塗料を一定条件で加熱したときに,塗料成分の一部が揮発又は蒸発した後に残ったものの質量の,元の質量に対する百分率。残分は,主としてビヒクル(展色材)中の不揮発物又はこれと顔料である。JIS K 5601-1-2「塗料成分試験方法-第1部:通則-第2節:加熱残分」 K5500
揮発性有機化合物 volatile organic compound, VOC 基本的には,接している通常の雰囲気温度及び気圧で,自然に揮発するすべての有機の液体及び/又は固体。
備考:塗料分野における最近のVOCの用語の使い方については。揮発性有機化合物含有量の項参照。
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揮発性有機化合物含有量 volatile organic compound content, VOCC, VOC content 規定の条件で測定したときの,塗料中に存在する揮発性有機化合物の質量。
備考:1.考慮しなければならない揮発性有機化合物の性質と量とは,塗装環境によって異なる。塗装環境ごとに,限界値及び測定又は算出方法は,規制又は協定によって規定される。
2.U.S.のある種の政府規制の中では,VOCという用語は,大気中で光化学的に活性な化合物だけに限定して用いられている。ASTM D 3960(工業標準協会で入手できる)参照。
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不揮発物 non-volatile matter 塗料を一定条件で加熱したときに塗料成分の一部が揮発又は蒸発した後に残った物質。残分は,主としてビヒクル中の不揮発物又は,これと顔料である。JIS K 5601-1-2「塗料成分試験方法-第1部:通則-第2節:加熱残分」参照。 K5500
相容性 compatibility(of products, compatibility(of materials) 2種類又はそれ以上の物質が,互いに親和性をもっていて,混合したときに溶液又は均質な混合物を形成する性質。塗料では,2種類又はそれ以上の塗料が沈殿・凝固・ゲル化のような不良の結果にならないで混合できる性質。ISO では,“compatibility”の意味について,更に各種素地に塗ったとき,又は塗り層について違った塗料を塗り重ねたとき,不良な結果にならない性質まで含めている。適合性の項参照。 K5500
凝結性 caking 塗料中の顔料が,貯蔵中に沈降して堅く固まる性質。
凝結性の有無とその大小は,塗料をへら又は棒でかき混ぜてみて調べる。
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沈殿 settling 貯蔵中に,容器の底に,塗料から顔料,体質顔料などの固形成分が沈殿する現象。沈殿した固形物は,簡単なかき混ぜでは再分散できない。 K5500
チキソトロピー thixotropy 振り混ぜ,かき混ぜ又はそれに代わる機械的にかき混ぜたとき,粘度(コンシステンシー)が低下し,放置すると元の状態に戻る可逆的な性質。 K5500
コンシステンシー consistency 液体を変形するときに起こる力学的抵抗。液体の流動には,粘性流動,塑性流動,チキソトロピー,ダイラタンシーなどがあって,抵抗の状態に違いがある。定量的には,応力-ずり速度曲線を用いて粘度,粘度変化,降伏値などで表すことができる。 K5500
フロキュレーション flocculation 塗料中に緩く結合した顔料の凝集(アグロメレート)ができる状態。
一次粒子に分散された顔料粒子が静かに沈降し,緩い結合で再凝集した状態をいう。
アグロメレートは,一次粒子の会合であるため,間げきには空気は存在しない。このため,フロキュレーションは弱い力で容易に一次粒子に再分散する。
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つぶ   塗料中又は塗面に肉眼で見えるつぶ状のもの。
主に,塗料の皮の小片,異物,又はビヒクルと顔料の凝結物などである。塗料中のつぶは,つぶゲージで調べる。JIS K 5600-2-5「JIS K 5600-2-5」塗料一般試験方法-第2部:塗料の性状・安定性-第5節:分散度」
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つぶゲージ grid gauge, fineness gauge 塗料の中にあるつぶ状の物の存在と大きさとを判定するための試験器具。
深さが直線的に連続して変化している溝の中に,直線状の刃先で直角方向にしごきつけ,塗料の表面につぶ又はつぶの移動でできる筋が現れたところの溝の深さで,つぶの大きさを概数を調べる。
この器具は,顔料分散工程で分散程度を試験するのに用いる。JIS K 5600-2-5「塗料一般試験方法-第2部:塗料の性状・安定性-第5節:分散度」
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フローカップ,フォードカップ flow cup, Ford cup, Ford viscosity cup 塗料粘度計の一種。規定容量の円筒形の容器に塗料を満たし,その底の規定の直径のあな(孔)から顔料が流下する時間によって粘度を計測する。
容器の底のあなの直径には数種類ある。コンシステンシー(※1)が比較的小さい塗料の流動性を推定するために用いる。ISO の規格によるフローカップのほか,フォードカップがよく知られている。JIS K 5600-2-2「塗料一般試験方法-第2部:塗料の性状・安定性-第2節:粘度」
参考追記:(※1)コンシステンシーとは,液体を変形するときに起こる力学的抵抗のことです。液体の流動には,粘性流動,塑性流動,チキソトロピー,ダイラタンシーなどがあって,抵抗の状態に違いがあります。定量的には,応力-ずり速度曲線を用いて粘度,粘度変化,降伏値などで表すことができます。
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KU値 KU value, Krebs unit ストーマー粘度計で測定して得た塗料のコンシステンシーを示す数値。 K5500
ストーマー粘度計 Stomer viscometer 液状物用のかき混ぜ抵抗試験機。
円筒形の容器の中心軸に翼を付け,軸を回転して容器の中の液をかき混ぜる。回転動力となるおもりの質量と,一定時間内での回転数との関係から,KU値と呼ぶコンシステンシーを示す数値を算出する。JIS K 5600-2-2「塗料一般試験方法-第2部:塗料の性状・安定性-第2節:粘度」
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泡粘度計 bubble viscosimeter, bubble tube viscosimeter 泡が液中を上昇する速さを,粘度標準液の場合と比べ,液の動粘度の概数を図る器具。
内径と長さとが一定のガラス管を用いる。JISK5600-2-2「塗料一般試験方法-第2部:塗料の性状・安定性-第2節:粘度」
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増粘, 濃厚化 thckening 不適切にならない程度に塗料のコンシステンシーが上昇する現象。適切な作業性のためには,塗料の粘度を上げる必要のある場合がある。増粘の方法には,ポリマーの分子量,官能基及び溶剤の選択,増粘剤の添加などがある。 K5500
隠ぺい率試験紙 hiding-chart 塗膜の隠ぺい率の試験に用いる紙。アート紙を白と黒で塗り分け,色以外の面の性質が同じになるように処理したもの。
JISK5600-4-1「塗料一般試験方法-第4部:塗膜の視覚特性-第1節:隠ぺい力(淡彩色塗料用)」
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クリプトメーター cryptometer 塗料又は顔料分散体の,ぬれた状態での隠ぺい力を測定する器具。
それぞれ光学的平面をもつ白又はガラス板と,透明なガラス板とを1組とし,2枚の板の間で作るくさび形のすきまに試料を挟んで,資料が下地に完全に隠ぺいする層の厚さを測定し,一定容積の試料が隠ぺいする面積を算出する。JIS K 5101「顔料試験方法」
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比重カップ specific gravity cup 比重の概数を測定するために用いる円筒状の容器。JIS K 5600-2-4「塗料一般試験方法-第2部:塗料の性状・安定性-第4節:密度」 K5500
ガードナー色数 Gardner color (Gardner colour) standards, Gardner color (Gardner colour) scale 油,油ワニス,クリヤラッカーなどの色の濃さ(暗さ)を表すのに用いる色番号の一種。透明塗料と色が似て,色の濃さの違う色ガラス18個,又は塩類の水溶液の濃度を変えて,色の濃さ(暗さ)の違う色数標準液を作り,それぞれ等径のガラス管に入れて番号を付けて18本を1組にしたもの。規定寸法のガラス管に試料を入れ,並列して比べ,色の濃さの等しい管の番号を読んで,試料の色数を知る。JIS K 5600-2-1「塗料一般試験方法-第2部:塗料の性状・安定性-第1節:色数(ガードナー法)」 K5500
色数 color number(colour number) 透明製品の色の濃さを表すために規定した数値。
よう素色数,ガードナー色数(※1)などがある。JIS K 5600-2-1 参照。
参考追記:(※1)ガードナー色数とは,油,油ワニス,クリヤラッカーなどの色の濃さ(暗さ)を表すのに用いる色番号の一種です。
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色数標準液 standard color solution (standard colour solution) 色数を測るとき,色の標準となる液体。測色の値と組成とが定めてある。 K5500
ゲル化, ゼリー化 gelation, gelling, livering 塗料が液状から固状又は準固状に変化する現象。貯蔵中に,容器の中でコンシステンシーが異常に上昇し,ゼリー状に固まって,シンナーを加えてかき混ぜてもビヒクルが一様に解けない状態。
備考:1.制御されたゼリー化は,塗料にチキソトロピーを付与するために行われる。
2.gelling の初期の状態は,livering と呼ばれることもある(BS)。
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ゲル化時間 gel time (of a drying oil), gelation time 所定の条件のもとで,ゲル化するまでの時間。きり油のゲル化時間は,280℃で12分以内。 K5500
けん化 saponification 油脂,脂肪,エステルなどをアルカリで処理するとアルコールと酸とに分解し,次いでアルカリ塩を生成する反応。酸が長鎖の脂肪酸のときに生成するアルカリ塩をアルカリ石けんという。 K5500
けん化価 saponification number, saponification value 試料1gをけん化するのに必要な水酸化カリウムのmg数。 K5500
不けん化物 unsaponifiable matter 油脂,ろうなどのような,主成分がエステルである物質を,アルカリ溶液で加水分解したときに,けん化されないで残る物質。多くは炭化水素化合物。JIS K 5601-2-4「塗料成分試験方法-第2部:溶剤可溶物中の成分分析-第4節:アルキド樹脂」 K5500
油長 oil length 油変性樹脂,又は油性系ワニスにおいて,含有脂肪酸量をトリグリセリドに換算した値を百分率(%)で表したもの。油長45%以下を短油,油長45~58%を中油,58%以上を長油ということがある。油ワニスでは,短油,中油,長油をそれぞれ短油ワニス,中油ワニス,長油ワニスという。 K5500
ヒドロキシル価 hydroxyl value 原料1g中のヒドロキシ基に対応する水酸化ナトリウムのmg数。試料中の水酸基(-OH)アセチル化して,アセチル化に要した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量を,試料1gに対するmg数で表したもので,試料中のOH基の含有量を示す尺度。アセチル化には各種の試薬が使用されるが,通常ピリジンと無水酢酸混合物が使用され,アセチル化前後の酸濃度の差を滴定することによって測定される。 K5500
よう素価 iodine value, iodine number 油脂・樹脂に化学的に結合する酸素の量に比例し,不飽和度を推定するために用いる。試料100gと結合するハロゲンの量を換算して得るよう素のg数で表す。ウィス法とハンス法とがある。 JIS K 5421 参照。 K5500
エステル価 ester value, ester number 中性の試料をけん化(※1)するのに消費された水酸化カリウムの量。試料をけん化したときの量から酸価を差し引く。試料1gに対する水酸化カリウムのmg数で表す。
参照追記:(※1)けん化とは,油脂,脂肪,エステルなどをアルカリで処理するとアルコールと酸とに分解し,次いでアルカリ塩を生成する反応のことです。酸が長鎖の脂肪酸のときに生成するアルカリ塩をアルカリ石けんといいます。
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酸価 acid value 製品の不揮発分1g中の遊離酸を中和するのに要する,水酸化カリウム(KOH)のmg数。
備考:試料が脂肪酸のようなカルボン酸単体の場合は,むしろ中和価といい,主としてエステル化合物中の遊離酸の測定の場合に酸価ということが多い。JIS K 5601-2-1「塗料成分試験方法-第2部:溶剤可溶物中の成分分析-第1節:酸価(滴定法)」
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フーバーマラー Hoover automatic muller, Hoover's muller 顔料をビヒクルに分散させるための試験機の一つ。
2枚のすりガラス円板の一方を固定し,他方を回転させるようにして置き,その間に顔料とビヒクルの混合物を入れて,円板を回転して顔料を分散させる。
ガラス板の間の圧力と,ガラス板の回転数とで,練合わせのための力を調節し,規定する。フーバーマラーに関しては,その分散性評価のための分散方法がJIS K 5101-1-5「顔料試験方法-第1部:分散性評価のための分散方法-第5節:フーバーマラー」に規定されている。
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亜鉛化鉛定性試験 qualitative test for lead suboxide 亜酸化鉛の存在を定性的に調べる試験方法。
試料をガス炎で焼いて,暗緑色が酸化によって明るい茶色又は黄色になれば亜酸化鉛が存在したとする。JIS K 5623「亜酸化鉛さび止めペイント」
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塩化よう素試験 iodine chloride test 塗膜形成要素に含まれる高度不飽和脂肪酸を検出するための定性試験。
試料をアルカリでけん化した後,塩化よう素溶液を加えて高度不飽和酸多よう化物の白い沈殿ができるかどうかを調べる。JIS K 5421 参照。
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ロジン定性試験   ロジン(※1)の存在を検出するための試験。無水酢酸と硫酸とを用いるて呈色試験が規定してある。
(※1)ロジンとは,生松やに,又は松の木のくずを水蒸気蒸留して得た物質を,更に蒸留して,テレビン油を流出分離したときの樹脂状の残留物のことです。主成分はアビエチン酸になります。
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色合せ color matching (colour matching) 数色の塗料を混合して,得られる塗膜の色が,希望の色になるようにする作業。調色ともいう。 K5500
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